バニティメトリクス
vanity metrics

サービス改善につながらない指標、意味のない指標

計測した結果、業務の改善に繋げられない指標を表す。「虚栄の指標」ともいう。典型的なバニティメトリクスとして、ユーザー数やプレビュー数があげられる。

ユーザー数はサービスが継続運営されていれば、右肩上がりに増えるのが当然なので業務の改善方法を見出すのは難しい。提供しているコンテンツが一時的に話題になり、プレビュー数が増加しても同じような増加は再現できないため、次に取るべき行動が分からない。

KPIを定める際には、バニティメトリクスにならないように注意すべきである。

次の行動が明確にわからない数値は、バニティメトリクスである。

バニティメトリクスを避ける方法

企業はバニティメトリクスに誘惑されがちである。数値が向上すると、自分たちが成功しているような自己満足を味わえるが、ビジネスにおいて自己満足は何も意味が無い。

掲げている指標がバニティメトリクスであるか、以下の質問で判断しよう。

1. 指標から次に取るべき行動が明確に分かるか

数値が向上、もしくは低下した後にどのような行動を取るべきか、即座に答えられなければ、バニティメトリクスの可能性が高い。

2. 指標を再現することはできるか

突然増加した数値はバニティメトリクスの可能性が高い。指標の増加を再現できないようであれば、ビジネスの成功が運任せになっている。

3. 指標は時間の経過とともに自然と増加しないか

プレビュー数やユーザー数が典型的な例である。同じ傾きで右肩上がりをしているようであれば、日頃の努力が指標に表れていない。

計測すべきは“数”ではなく“率”

コンバージョンは、バニティメトリクスに陥りやすい典型的な指標である。

有料の動画配信サービスを運営している会社が、サービスに加入したユーザー数をコンバージョン数(以下、CV)として測っていたとする。一見、CVが増加することでビジネスの成長を計測できているように見える。

ところが、多大な広告費用や営業の人件費をかければCVは増加させられる。サービス自体の魅力は向上していなくても、ビジネスが成長している錯覚に陥る。多額の資金を使ってCVを伸ばしたとしても、費用対効果(ROI)が減少していき、いつしかCVを獲得するたびに赤字を生み出す可能性がある。

数を指標にした場合

改善行動の実施前 改善行動の実施後
CV数 100ユーザー 150ユーザー
閲覧者の母数 1,000ユーザー 10,000ユーザー

CV数は増えたが母数も増えている。閲覧者の母数を獲得するための費用が高くなり、赤字になる可能性がある。

本来、計測するべき指標は、コンバージョン率(以下、CVR)である。CVRを上げるためにはサービスの魅力を向上させたり、効果的な広告や営業企画を練る必要がある。CVRの向上がビジネスの成長を表す。

率を指標にした場合

改善行動の実施前 改善行動の実施後
CV数 100ユーザー 150ユーザー
閲覧者の母数 1,000ユーザー 10,000ユーザー
CV率 10% 1.5%

CV数、閲覧者の母数は共に増えているが、CV率を計測すると適切にビジネスが成長しているかが把握できる。ユーザー獲得できる確率が下がっており、費用対効果の悪い集客方法を採用していることが分かる。

ビジネスの成長にはアクショナブルメトリクスが必要

適切な指標を計測すれば、ビジネスの成長を測るだけでなく、自分たちの業務をどのように改善すべきか明確になる。適切な指標のことを、次の行動につながるという意味でActionable Metrics(アクショナブルメトリクス)と言う。

改善活動の効果を測るために、データを活用すべきである。指標がバニティメトリクスであれば、取得したデータが無駄になるだけでなく、今までの業務活動も再現性を持たないため、無駄に終わってしまう。指標を掲げた際は、必ず自問してバニティメトリクスを設定しないよう心がけるべきだ。

関連用語

  • アクショナブルメトリクス
  • ROI
  • SMART

参考文献

この記事を書いた人:藤原 脩平

現在、システムエンジニアとして自社サービスの企画/開発を行なっています。
ユーザーファーストなサービス開発を心がけたいという思いから、UX DAYS TOKYOのスタッフとして活動を始めました。

最近はリサーチスキルを伸ばすために統計学を勉強している。