見た目が優れていて魅力的に感じるものは、他の能力も優秀だと思い込む。美男美女を見ると、知的で仕事ができ、運動神経もよく、将来は成功して幸せになるだろうと感じてしまう。
1972年にアメリカの心理学者Karen Dion、Ellen Berscheid、Elaine Hatfield(旧名Elaine Walster)らが行った研究のほか、数多くの学者が様々な方法で実験と研究を行っている。
カレン・ディオン 画像引用 (Karen Dion | Department of Psychology) |
エレン・ベルシャイド 画像引用 (Ellen Berscheid, PhD – FABBS) |
エレイン・ウォレスター 画像引用 (Elaine Hatfield – Home) |
本能や文化の影響で魅力的かどうか判断する
魅力的かどうか判断する基準は、生物学的要因と環境的要因がある。
生物学的要因は、相手がいかに健康的な肉体を持っているかどうかで決まる。ある実験では、生後6ヶ月の赤ちゃん60名に、性別・年齢・人種に関わらず魅力的な人物と、そうでない人物のスライドを見せたところ、魅力的な人物をより長く見つめていた。他人の影響ではなく、本能的に選びとっていることがわかる。
また、左右対称のもの、シンプルなものは、脳が簡単に知覚情報を処理できるので、そうでないものより好ましく感じやすい。
環境的要因は、所属している社会・文化が影響を与える。男性であれば、”口紅を塗っている”、”ウエストがくびれている”などの、社会的に良いとされる魅力を持つ女性に惹かれやすい。
女性であれば、富と権力を持っていると、見た目が魅力的ではない男性でも惹かれやすい。しかし、環境的要因は、文化によって左右される。例えば、タジキスタンでは眉毛が繋がり、金歯の女性が魅力的であるとされ、東アフリカの一部の民族は、家畜を多数所属している男性が魅力的とされる。
見た目や雰囲気だけで重大な決定を下すことも
見た目や雰囲気によって重大な決定が下されることがある。例として、1960年のジョン・ケネディと、リチャード・ニクソンの第一回大統領選挙討論会が上げられる。
討論会をラジオで聞いた人々は、ニクソンの勝利を確信したが、テレビで視聴した人々の多くはケネディの勝利を確信した。
ケネディ、ニクソン共にディベートの声は堂々としているものの、着ているスーツやボディランゲージに大きな違いがみられる。
ケネディはTV映えする濃紺のスーツを着て、椅子にゆったり座り、堂々とした振る舞いをし、自信があるように見える。一方のニクソンは、TVスタジオの背景に溶け込んでしまうようなグレーのスーツを着て、落ち着きない様子で座っている。病み上がりだったため、顔色が悪かった事もあり、病弱で頼りなく見える。
討論会後、支持率は逆転しケネディが大統領に当選した。
見た目も中身も作りこもう
人間だけではなく、製品やサービスも見た目が魅力的だと、それだけで優れた価値があると感じてしまう。
見た目が悪い製品や、操作しにくいウェブサイトなどは、どんなに優れた価値を持っていてもユーザーの注目を引くことは難しい。
しかし、見た目は魅力的でも使いにくい製品や、中身の無いコンテンツを並べただけのウェブサイトではユーザーが離れてしまい、長く利用されなくなる。
見た目もよく、中身も充実していれば、ユーザーからの信頼を得ることができ、満足して長く愛用してくれるだろう。
関連用語
参考文献
- Attractiveness Bias
- (PDF) Predicting Elections: Child’s Play! | John Antonakis
- 魅力バイアスを理解する
- It’s Time To Expose The Attractiveness Bias At Work
- 映像の加工はどこまで許される? 「グレーゾーン」ディープフェイクの登場
- What is Beautiful is Good
- 【選挙イヤー】スーツのイメージが勝敗を決する一年? | 鹿児島のオーダーメイドテーラー メイフェア三洲堂テーラー
- Understanding attractiveness bias | by Justyna Liska
- Facial diversity and infant preferences for attractive faces.