入力に多くの規制が入るとユーザーは不快感を感じるため、ユーザーのアクションや情報の入力の設計は柔軟にする。
その理由は、ユーザーがサービスや製品が直感的に使えることを期待し、使う前にあれこれ指示されることを嫌うからである。
また同様に、画面や文字の大きさを変更すると、レイアウトが崩れる・タイトルが見切れるなどの現象も不快に感じる。可能な限り、誰でも・どのような状況でも耐えられる柔軟な設計が求められる。
このように「入力の多様性には寛容でありつつ、出力の品質を高める」原則のことをポステルの法則(ロバストの法則)という。
多様な入力を受け入れて解析するという堅牢性(ロバスト性)の高い設計原則は、アメリカのコンピュータ科学者、Jon Postel(ジョン・ポステル)氏によって提唱され、ポステルの法則と名付けられた。
発想の起源はTCPから
ポステル氏はコンピューター科学者であり、インターネットの基礎となるTCP(Transmission Control Protocol)の構築に貢献した。TCPは信頼性の高い通信を実現するためのプロトコルであり、インターネットには欠かせない。
TCPでは、サーバー側は厳格なフォーマットでなくても受信し、フォーマットが異なった場合でも内容がわかるものであれば解析する、堅牢性(ロバスト性)を持つべきとしている。
ブラウザも同様にポステルの法則が採用され、HTMLの記述に閉じタグがないなどの誤りがあっても、ブラウザ上ではなんらかの表示をする。
ユーザーに対して柔軟な設計をしよう
入力に対しては寛容に
ユーザーのスキルや置かれている環境は様々である。使っている言語が異なる場合や、体が不自由で文字の入力が難しい場合もある。デザインする時は、起こりうるあらゆるパターンを予測した上で実装しよう。
例えば、住所の入力画面で、全角しか受け付けない番地の数字やハイフンが必要な電話番号があると、スマートフォンでは全角の数字やハイフンを入れるために入力の切り替えをしなくてはならず、面倒である。
結果的に、ユーザーをイライラさせてしまうため、半角やハイフンなしでも受け入れるように設計するとユーザビリティーが向上する。ユーザーに対して柔軟な設計をすることが、UX向上には不可欠である。
関連用語
参考文献
Jon Yablonski (著) 相島 雅樹 (翻訳) (2021)、UXデザインの法則