市場において独自優位性を発揮するマーケティング戦略を考えるためのフレームワーク。以下の手順に沿って独自優位性を考えることで、効果的なマーケティングを実施できる。
- セグメンテーション:市場を細分化する
- ターゲティング:細分化した市場のうち、どこに集中するか
- ポジショニング:ターゲティングした市場でどのような価値を発揮するか
現代マーケティングの第一人者であるフィリップ・コトラー(Philip Kotler)氏が提唱した。
STP分析を実施するためにはデータが重要である。データを取得するためにGoogle Analyticsなどのサービスが役立つ。
差別化の重要性
差別化が重要となったのは、1990年代以降、需要の多様化が進み、すべての消費者に対して同じ方法で行うマスマーケティングが通用しなくなり、万人に同じ商品が売れなくなったためである。差別化により、他社との明確な違いを顧客にアピールすることがマーケティングにおいて有効となった。
差別化するための手順
市場における差別を行うために、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの手順で行うことが重要である。
- セグメンテーション(市場を細分化する)
- ターゲティング(ターゲットを絞る)
- ポジショニング(競争優位性を設定し、立ち位置を確立させる)
家具販売を例に、各手順を説明する。
セグメンテーション(市場を細分化する)
市場を、サービスの種類や提供されている場所、顧客の性質などで細分化する。
分けるための軸(セグメント)
市場を細分化する方法に4つの分け方(セグメント)がある。自社のサービスにとって最適な軸を選択する。
- ジオグラフィック:地理変数(例:居住場所・配達地域)
- デモグラフィック:人口動態変数(例:家族構成・年齢・性別)
- サイコグラフィック:心理的変数(例:好きな家具の種類)
- ビヘイビア:行動変数(例:カタログ請求の有無)
家具販売のセグメント例
家具の販売例では、家族構成や、価格帯といったデモグラフィックから顧客を分けることができる。
ターゲットを絞る(ターゲティング)
セグメンテーションで細分化した市場のなかからターゲットを絞る。
ターゲットを選ぶ基準(判断材料)
ターゲットを選ぶ基準(判断材料)は以下のようなものがある。
- 市場の規模や成長性
- 自社の強み
- 競合企業のアプローチ
- 外部環境
家具販売のターゲティング例
家具の販売例では、競合企業がターゲットにしていない、「高価 かつ 独身向け」のユーザーに狙いを定めることができる。
顧客に認知してもらい、立ち位置を確立する(ポジショニング)
ターゲティングで市場を定めた後、立ち位置(ポジション)を確立させるために、競合他社にはない競争優位性とサービス内容を顧客にアピールする。
競合他社よりも、競争優位性を打ち出せれば、ユーザーにとって自社のサービスを伝えやすくなり、立ち位置を確立させることができる。
家具販売のポジショニング例
前述の家具の販売例では、「高級 かつ 独身向け」というポジショニングを顧客に認知してもらうために、以下2つのマーケティング施策が行える。
- ハイエンドな商品詳細を、事細かに説明する
- Web上で、独身の部屋の間取りに合わせた「家具の配置シミュレーションサービス」を提供する
ターゲットとなる顧客に認知してもらうことで、競争優位性を確保でき、他社とは違うポジションを得ることができる。
STP分析に必要なデータを取得できるサービス
STP分析を行うために必要なデータを取得できるサービスがある。必要なデータとしてWebのクッキー情報が利用できる。
クッキー情報では、ユーザーのデモグラフィック、ジオグラフィックに加え、最近では、ビヘイビア(サイト上での振る舞い、行動)やサイコグラフィクの一部も取得可能となっている。
Google社の提供するGoogleアナリティクスでは、訪れたユーザーのセグメント(属性)がわかりやすく図式化されて表示される。
ユーザーのデータを利用することで、より詳細な条件に絞ったターゲティングが可能となり、差別化できる市場を見つけやすい。