繰り返し決断していると疲れてしまい、現状のままを受け入れたり単純な決定をしやすくなる。判断や決定するときに利用する脳のリソースは限られており、休みなく繰り返し決断すると枯渇してしまうためである。
裁判官も終業近くには現状維持の判決をしがち
裁判は判断と決定の繰り返しである。日々裁判をこなす裁判官であっても1日の終わりには決断疲れが生じる。
「仮釈放を承認する割合」は朝と休憩後には平均65%と高くなり、時間が経過するにつれ、ほぼゼロに近い状態まで低下している研究結果がある。脳が疲れてくるとリスクを取らない判決を下しやすい。
会議やワークショップでも決断疲れは起きる
仕事の中でも決断疲れは起きる。会議やワークショップが休憩なしに長時間続いた場合、参加者の集中力が低下し、難しい決断を避けてしまうことがある。会議やワークショップを実施する時に、休憩するタイミングを設けると決断疲れを避けられる。
デザインスプリントのスケジュールでは「1時間のランチ休憩」「午前と午後に休憩時間を設ける」という休憩時間のルールと、「10:00~17:00までに工程を終える」というルールがあるので、決断疲れにならずに常に最大のパフォーマンスを持続するために必要である。
決断疲れさせないUI
決断疲れは、仕事や会議の日常だけでなく、オンラインでも起こりうる。
例えば、オンラインショッピングで、ユーザーが商品購入を即決できる場合もあるだろう。いろいろな商品を見回って疲れてしまったユーザーに対して、Amazonでは「あとで買う」ボタンで、その場で決断させないようにしている。
「買わない」という選択肢から「今は買わないがあとで買うかも?」との判断をさせることで販売の機会損失を防いでいる。
わかりにくい、決定しずらいものはデフォルト設定でユーザーに優しく
オプションやメニューを選んでもらう際、どれを選択していいのかよくわからない場合もあるだろう。そう言った判断がしにくいものには、推奨プランやデフォルト設定にすることで、ユーザーは意思決定をスムーズに進めることができる。
Google広告の計測ツールでは、コンバージョンのデータを作成するにあたり、あらかじめデフォルトの項目が設定されているので、一般的なものがスムーズに作成することができる。
わざとユーザーを疲れさせるのはダークパターン
上記で紹介したデフォルト設定も含めて、企業の都合の良いように設計することはダークパターンになる。決断疲れ自体をわざとさせることもダークパターンである。ユーザーを疲れさせて選択の余地をなくすようなとしての使い方はするべきではない。
例えば、メールマガジンの解除をわかりにくくするUIは、ユーザーを疲れさせて諦めさせる例である。