顧客満足度を数値で測定する指標である。一般的に、顧客が製品・サービス・体験に対してどれほど満足しているかを「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」などのスケールで尋ね、ポジティブな回答(例:「満足」「やや満足」)の割合をもってスコアを算出する。
CSATの提唱者
CSATは特定の個人によって提唱されたものではなく、1970年代後半〜1980年代初頭にかけてアメリカを中心に企業のマーケティング・顧客サービス部門で広まった概念である。
NPS(Net Promoter Score)などとは異なり、Fred Reichheld のような特定の発明者がいるわけではない。
デザインにおけるCSATの活用方法
CSATは、プロダクトやサービスの特定のタッチポイントにおけるユーザー体験の良し悪しを評価する指標として有効である。ユーザーが何かの操作や体験を終えた直後に設置することが推奨され、「この体験に満足しましたか?」というシンプルな設問によって、即時の感情を定量化できる。
活用例:
- アプリのオンボーディング完了後に「このステップはわかりやすかったですか?」とCSATスコアを尋ねる
- カスタマーサポート対応後に「今回のサポートに満足しましたか?」と表示する
- フィーチャーリリース後に対象機能に限定してCSATを測ることで、UX改善の優先順位を定める
プロダクト・コンテンツデザイン観点での具体的な利用シーン
● 利用シーン1:FAQやサポート記事の評価に利用
ユーザーが自己解決を図ろうとする場面では、記事の末尾に「この記事は役に立ちましたか?」というCSAT形式のフィードバックUIを設置することで、コンテンツの有効性を評価できる。
● 利用シーン2:エラーメッセージやトラブル対応後
たとえば「通信エラーが発生しました」と表示されたあとに、ユーザーが再試行した際、「問題は解決しましたか?」と簡単なCSATを表示することで、エラーメッセージの伝わりやすさや再試行設計の妥当性を検証できる。
● 利用シーン3:A/Bテストや実験後の比較指標として
新旧UIの比較時に、単なる定量指標(CVRなど)に加え、CSATを併用することで主観的満足度を測定できる。
これは、例えば旧バージョンの方が慣れているなどの理由でコンバージョン率が高くても「新バージョンの方がユーザーが満足している」ことがわかるケースに有効である。
デメリット:
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主観的な回答が影響する顧客の主観的な感情が回答に影響し、数値が正確でない場合がある
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中間の選択肢を好む傾向日本人は中間の選択肢を好んだり曖昧なものも必須の場合選択させるため、CSATの数値が偏る可能性がある