すでに確立された前提(普遍的真理やルール)をもとに、特定の状況についての結論を必然的に導き出す手法であり、「全体から部分へ」の論理構造を持つ。大きなルールや原則から、小さなことを考える・導き出す方法である。
提唱者・起源

アリストテレス(引用)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%86%E3%83%AC%E3%82%B9
源流は、古代ギリシャの哲学者アリストテレスにさかのぼる。
彼は三段論法(syllogism)という形式で、演繹的推論を体系化した。
三段論法の例(演繹法の典型)
すべての人間は死すべきものである。
ソクラテスは人間である。
ゆえに、ソクラテスも死すべきものである。
このように、前提が正しければ、結論も必ず正しくなるのが演繹法の特長である。
デザイン領域での活用方法と具体例
適用領域 | 活用方法の説明 | 具体例 |
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UX戦略設計 | 既知のユーザビリティ原則を前提にし、特定のUI改善策を導出する。 | 「ヒックの法則」に基づき、選択肢数が多いナビゲーションを整理する。 |
ユーザーテストの解釈 | 行動理論(例:行動経済学の法則)を前提とし、観察結果の理由を演繹的に説明する。 | 「選択の逆説」により、選択肢が多いと購入率が下がると仮定し、それをUI変更で検証。 |
ペルソナ設計 | ユーザー調査から得られた広い傾向を「一般原則」として扱い、特定のシナリオにあてはめる。 | 「子育て中の母親は通知音に敏感」という前提から、静音モード機能のUI強化を導く。 |
この場面で使える:プロダクトデザインの意思決定支援
シーン:複数のデザイン案のうち、どれが望ましいかを論理的に選定する場面。
-
状況:デザインAとBがあり、どちらもテスト前である。
演繹法の活用:
- 前提1:モバイルファースト原則では、指の動線と視線の一致が重要である。
- 前提2:A案は親指の自然な動線上にCTAがあるが、B案は上部にある。
- 結論:A案の方が視認性と操作性が高く、離脱率が下がる可能性が高い。
このように、演繹的に理由を構築することで、説得力のある意思決定が可能となる。
注意点
- 前提が誤っていれば、結論も誤るというリスクがある。
- ユーザー行動が感情や文脈に左右される場合、演繹法だけで説明できないことがある。
- 帰納法とのバランスが必要(演繹:理論→実例、帰納:実例→理論)。
■ まとめ
演繹法は、プロダクトデザインやUX戦略の中で、理論的根拠に基づく施策判断に極めて有効である。
明確な前提がある場合に、意思決定の納得感と説明責任を高める設計ロジックとして活用できるである。
特にチームの合意形成、ステークホルダーへの提案資料、プロトタイプの選定根拠などにおいて、その有用性は大きいである