ヒックの法則
Hick's Law/Hick-Hyman’s Law
ヒック・ハイマンの法則

選択肢(2を最小とする不確定要素)を増やすと、ユーザーの決定時間も相対的に増えてしまうという法則。また、人間の認知できる情報容量における評価のことも指す。

この法則は、1951年にウィリアム・ヒックによって提唱されたものを、レイ・ハイマンがさらに発展したもの。「ヒック・ハイマンの法則」とも言う。

人間は、10個の選択肢から1つを選ぶより、5個の選択肢から1つを選ぶ方が早いとされている。この時、「選択肢が多いほど迷う」という心理が働く。非常に単純な法則だが、多くの人が現場で活用できていないものでもある。

公式

意思決定に必要となる時間に関しては、下記の公式で導くことができる。

RT = a + b•log2(n)

RT=反応するまでの時間(Reaction Time)
a=意思決定を除く所要時間
b=意思決定にかかる時間
n=等しく可能性のある選択肢の数

ヒックの法則の実践

この法則を実践に用いるためには、ユーザーにとって本当に必要な選択肢を絞る必要がある。その手法のひとつとして、ウェブサイト設計の初期フェーズである情報設計段階から選択肢の最適なカテゴリー分類を検討する方法が挙げられる。

この場合、Google Analyticsの最もクリックされている部分の分析やカードソーティングを行って情報を整理すると良い。

また、この法則は選択肢に対してのみ利用可能なものではない。複数のボタンや入力フォーム数が一画面に増えれば増えるほど、ユーザーの反応までの時間は多くなるからだ。

ヒックの法則への異議とAmazonの工夫

ヒックの法則に異議を唱えるものとして、「一度に全ての選択肢を見せた方が、ユーザーは効率よく選択できる」という見解もある。例えば、Amazonのような総合ECサイトでは、一度に全ての項目をドロップダウンなどで見せた方が商品が探しやすい、といったものだ。

しかし、この場合、登録されている何万もの商品項目を展開すると画面スクロールが発生したり、スマートフォンサイトで実践しようとすると画面全体を覆ってしまったりとユーザービリティに難点が生じる。そこでAmazonでは、商品カテゴリのナビゲーションをオレンジ色の目立つ見出しにしてチャンクを作り、選択肢を少なく見せる工夫をしている。

見出しがオレンジ色で入ることで区切られて見える。

見出しがオレンジ色で入ることで区切られて見える。

 

見出しがないと選択肢が多くなったように見える。

見出しがないと選択肢が多くなったように見える。

選択肢は少ない方が、決断は早い

この法則を実証した有名な実験がある。
ある高級スーパーにフルーツジャムの試食ブースを設置し、購入割合を調べるという実験で、1回目は6種類、2回目は24種類のジャムを並べて実施された。

24種類並べた時は通りかかった客の60%が立ち止まって試食をしたが、6種類の時はわずか40%だった。ここまでだと、選択肢を増やした方が良いように思えるかもしれない。

しかし、最終的に、6種類では立ち止まった客のうち購入した割合は31%、24種類ではたったの3%という、10倍以上の差がつく結果となった。選択肢が多いために迷った客が、コンバージョンには至らなかったのだ。この結果からユーザー(人)は判断が多くなると判断力がなくなるということが実証されており、この結果自体も「ジャムの法則」と呼ばれている。

ただし、商品数を増やすことで売上を伸ばす結果も出ているため、全てのケースに当てはまるものではない。人の判断力に関する理論のひとつとして覚えておきたい法則である。

参考文献

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この記事を書いた人:Kie Nakai

フリーランスとしてWebディレクター、プランナー、コンサルタントなど、様々な立ち位置で案件に携わっています。戦略策定から企画、サイト設計に携わることが多く、UXの重要性をひしひしと感じ目下勉強中です。