特に集団の中にいると、自分の考えに自信があっても「周りと違うのは不安だ」「みんなが正しいはずだ」と思い、無意識に集団に同調してしまう現象である。時に嘘さえもついてしまう。
提唱者

ソロモン・アッシュ(引用)https://psykologisk.no/2022/12/asch-konformitetsstudie-hvem-tor-a-ga-mot-strommen/
同調バイアスの基礎を築いたのは ソロモン・アッシュ(Solomon Asch) である。
1951年に行った「線分の長さの比較実験」によって、人は明らかに間違っているとわかっていても、周囲が一致して誤った意見を言っていると、それに合わせてしまうことを実証した。
デザイン上の利用方法と具体例
デザインの現場では、同調バイアスを逆手に取ることも避けることもできる。ただし、ナッジとして誘導し、誇大表記にならないようにする。
【利用の例:社会的証明としての活用】
ユーザーが「他の人もこの製品を使っている」「人気がある」と認知すると、同調バイアスが働き、安心して購入・行動に移りやすくなる。これは「レビュー数」「星評価」「売上ランキング」「人気マーク」などの表示によって意図的に誘発できる。
具体例:
- Amazonの商品ページにおいて「ベストセラー」「〇人がカートに入れています」の表示。
- 食べログなどのグルメサイトにおける「みんなの口コミ」「人気の評価順」フィルター。
【注意の例:ユーザビリティテスト時のバイアス】
複数人で行うユーザビリティテストにおいて、参加者同士で意見交換をすると、他人の意見に引っ張られて本来の自分の使用感が言えなくなることがある。これは同調バイアスによるものであり、テスト設計時には個別インタビューや同調が起こりにくい環境を整える必要がある。
プロダクト・コンテンツデザインにおける活用シーン
【シーン1:新規ユーザーの導入ハードルを下げる】
- 目的: 初回利用者の不安を軽減し、導入を促進する。
- 施策: 「他の〇〇人がこのステップを完了しました」と表示することで、集団の行動を明示し、安心感を提供する。
【シーン2:ユーザーに望ましい行動を促す】
- 目的: 継続利用やアップグレードの促進。
- 施策: 「プレミアムプランは今、全体の65%が利用中です」などと表示することで、ユーザーに「みんな選んでいるなら私も」と思わせる。
【シーン3:ABテストの設計】
- 目的: テストの純粋性を保つ。
- 注意点: オフィスで複数人が同時にテストに参加する場合、互いに影響を与える可能性がある。同調バイアスを避けるために、個別のリモートテストを採用する。