Retrieval-Augmented Generation の略語で、外部知識ベースやドキュメントから関連情報を検索(Retrieval)し、それを基に生成AI(Generation)が回答を作成する仕組みである。
大規模言語モデル(LLM)は内部に膨大なパラメータを持つが、知識の最新性や専門性には限界がある。RAGは検索と生成を組み合わせることで、正確性・信頼性・説明可能性を向上させる技術である。
提唱者
RAGは2020年に Meta AI(当時Facebook AI Research, FAIR) の研究者らによって提案された。
代表的な論文は Patrick Lewis, Ethan Perez, Aleksandra Piktus らによる “Retrieval-Augmented Generation for Knowledge-Intensive NLP Tasks” である。
デザインにおける利用方法と具体的事例
活用場面 | 内容 |
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FAQやヘルプデザイン | ユーザーが入力した質問に対して、社内ナレッジやマニュアルから適切な情報を検索し、自然な文章で回答を提示する。 |
検索体験の改善 | 通常の検索は「文書の断片」を返すだけだが、RAGを用いれば「統合的で理解しやすい答え」を生成できる。 |
パーソナライズドUX | 個々のユーザー履歴やドキュメントを検索対象とし、状況に即した応答を提供することで、より文脈に合った体験を実現できる。 |
業務支援ツール | 社員がマニュアルや規程を探す時間を短縮し、自然言語で質問するだけで必要な情報を取得可能にする。 |
「この場面に使える」具体例
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カスタマーサポートチャットボット
単なる定型文回答ではなく、最新のマニュアルやナレッジベースを参照して、正確な回答を提示できる。 -
社内検索ポータル
大企業の従業員が規程や業務マニュアルを探す際、検索結果の羅列ではなく、自然な文章で要約を返す。 -
ECサイトの商品検索
「夏に合う軽いジャケットが欲しい」など曖昧な検索でも、商品説明やレビューを検索・統合して提案できる。 -
医療・金融分野の説明
複雑な専門知識を含む場合でも、最新ガイドラインや法令を参照して、利用者にわかりやすく説明する。