グラフィックレコーディングは、壁などに貼り出された大きな紙に図形やイラスト、文章などの表現を使い、会議中にその議題内容をリアルタイムに記録していく手法である。この記録者のことをグラフィックレコーダーと言う。
グラフィックレコーディングの目的は、「内容を伝わりやすくする」「会議へのより深い共通理解をもたらすこと」「画像優位性効果の働きによって内容が記憶に残りやすくすること」である。
可視化する際に文字ではなくグラフィックで表現するのは、画像優位性効果によって会議内容を記憶に残りやすくするためである。
典型的な会議において参加者は、言葉を聞いているだけでは注意力が散漫になり、理解がまちまちになってしまう可能性がある。しかし、会議の流れを「見る」ことで、内容を理解することができ、集中して会議に関与することができる。
また、話し手にとっても可視化は有効となる。視覚化して共有されたものを見ることで、参加者に内容がどのように理解されているかがわかるからである。
話し手の意図した内容と異なって表現されたグラフィックレコーディングは、その場で指摘・修正を行うことでその内容に齟齬が生まれることを防げる。
このように、グラフィックレコーディングは聞き手と話し手の障壁を超え、会議に関与する全員の視点を揃えることが可能となる。
グラフィックレコーディングの効果
記憶に残りやすい
画像優位性効果によって、言葉よりも画像のほうが記憶に残りやすい。そのため、言葉だけでやりとりするよりも参加者の記憶に残りやすくなる。
議論の合意形成に役立つ
会議後も文字だけの議事録より直感的に理解しやすいため、見返したり参照されたりしやすくなることで、会議で合意したアイデアやチームの行動指針が明確になる。
理解を深め共通認識を生む
異業種間のような多種多様な人々と価値観を共有するための橋渡しをグラフィックが担うことで、共創やコラボレーションを起こしやすくする。
俯瞰したアイデア発想に役立つ
グラフィックレコーディングによって、参加者は会議の内容を俯瞰して客観的に見ることができるので、会議の内容からアイデアを発想できるようになる。
グラフィックレコーディングの事例
関連手法
関連手法にスケッチノート・グラフィックファシリテーションがある。
スケッチノート
個人のメモとして作成されるもので、主に手元のノートやスケッチブックに描かれる。通常、会議の他の参加者はスケッチノートを見ることはできない。
グラフィックファシリテーション
グラフィックファシリテーター(会議の記録兼進行者)によって進行を行いながら記録されるもの。グラフィックレコーディングとの違いは記録者が会議の進行者を兼務するか否かであり、グラフィックレコーダーは会議中にファシリテーターと協力して記録のみを行う。
関連する3つの手法の違いは以下である。
参考記事
- What is a Graphic Recorder? Meeting Production Solutions
- What is graphic Recording? (動画)
- グラフィックレコーディング入門 | Schoo