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離脱・解約を減らす

解約は、解約ボタンの前で起きているわけではありません。数字に表れるずっと手前、最初の説明でつまずいたり、入力欄で手が止まったり、読み込みを待たされたりする場面で、人は静かに離れていきます。このページでは、どこで離れているかを知るところから、引き止め方を間違えないところまでを、読む順に並べました。

15用語を読む順に並べています

まず、いつ・どこで離れているかを知る

離脱対策がうまくいかないときは、打ち手ではなく計測のほうがずれていることがよくあります。満足度アンケートに答えてくれるのは残っている人だけですし、率だけを見ていると、いったん離れて戻ってきた人が数字から消えてしまいます。

  1. 1 リテンション retention 新しい客を足し続けても、底が抜けていれば水は溜まらない。獲得より、二度目が来る理由のほうが安い。まず、いつ離れるかを日で測れ。
  2. 2 SaaS Software as a Service (SaaS) 売り切りではなく、使われ続けて初めて成立する。解約は最後ではなく、二か月目あたりで静かに始まっている。初月より、その先を見ろ。
  3. 3 ファネル Funnel 落ちていく図は分かりやすいが、人は一直線には進まない。率だけで見れば、戻ってきた人は消えてしまう。詰まりの理由は、数字の外で聞け。
  4. 4 CSAT Customer Satisfaction Score 満足したかを直後に聞けば、たいてい高く出る。答えるのは、まだ続けている人だけだからだ。数字より、やめた人に何を聞くかを決めろ。
  5. 5 CES Customer Effort Score 満足しているかより、面倒だったかのほうが継続を当てる。褒め言葉の裏で、人は静かに疲れている。問い合わせの後は、手間の量を聞け。

入口で落とさない

使い始めの数分で、続けるかどうかはだいたい決まります。ここで説明を増やすほど読まれなくなりますし、エラーが続くと「何をしても変わらない」と学習されてしまいます。

  1. 6 オンボーディング Onboarding 最初の数分で、使い続けるかどうかが決まる。機能を全部見せる案内は、覚えられずに終わる。最初の成功体験を一つに絞れ。
  2. 7 ウォークスルー(オンボーディングUI) Walkthrough 使う前の説明は、ほとんど読まれず残らない。スライドを増やすほど、飛ばす指が速くなる。説明は前に出さず、詰まった場所に置け。
  3. 8 ツァイガルニク効果 Zeigarnik Effect 終わっていないことほど、頭に残り続ける。途中で止まった手続きは、思い出すたびに気が重くなる。中断させるなら、再開の場所を見せておけ。
  4. 9 学習性無力感 Learned Helplessness 「何をしても変わらない」と学ぶと、人は動くのをやめる。エラーが続くUIは無力感を教え込む。失敗を責める前に、行動が報われる手応えを設計しろ。

使っている最中の摩擦を減らす

悪意がなくても、確認画面や入力項目や待ち時間を少し足すだけで、人は脱落します。摩擦は感覚で語るものではなく、手数と秒数で数えられます。

  1. 10 スラッジ Sludge 悪意がなくても、書類と確認を足すだけで人は脱落する。減らしたい行動だけでなく、必要な手続きも同じだけ止まる。手間の数を、実際に数えろ。
  2. 11 ポステルの法則 Postel's law 入力は緩く受け、出力は厳しく揃える。ハイフンの有無で弾く欄は、機械の都合を人に押しつけている。形を整える手間は、こちらで引き受けろ。
  3. 12 レスポンス時間の法則 Response Time Limits Law 0.1秒なら即座、1秒で流れが切れ、10秒で人は離れる。速さの目標は、感覚ではなく境目で決まる。どの境を守るかを、先に決めろ。
  4. 13 ストリーミングレスポンス Streaming Response 少しずつ出せば、同じ待ち時間でも短く感じる。ただし出始めが遅ければ、途中の速さは効かない。最初の一文字が出るまでを、何より先に削れ。

引き止め方を間違えない

やめようとしている人を強く止めにかかると、短期の数字は上がります。ただしその分は、後から不信として返ってきます。ここは最後に読んでください。

  1. 14 心理的リアクタンス psychological reactance 選ばせないと決めた瞬間、人は選び直したくなる。同意を迫る画面ほど、拒む気持ちを強くする。求めるなら、断る道を同じ大きさで置け。
  2. 15 ディセプティブデザイン deceptive design 解約を隠せば数字は上がる。上がった分は、いずれ不信と問い合わせで払い戻すことになる。やめる導線を、始める導線と同じ見つけやすさで置け。