時計やソファなど人々にとって好きでも嫌いでもない印象のものに対して、鋭角な輪郭を持つものと曲線の輪郭を持つものから好みに合うものを選んでもらうと、曲線の輪郭を持つものが選ばれる傾向。
2006年に神経科学者のMoshe Barと心理学者のMaital Netaの研究レポート「Humans Prefer Curved Visual Objects」で科学的に実証された。
モッシュ氏とメイタル氏は、輪郭線バイアスを実証するために、鋭角な線のものと曲線のもの、どちらが好まれるかの実験を行った。実験では、時計やソファなど実在する物のグループと、図形のグループのそれぞれに鋭角な物と曲線の物の写真を用意した。また、実在する物のグループには、鋭角と曲線が混在する物の写真も用意した。
18から40歳までの14人の被験者に曲線か鋭角のどちらかの画像を見せて、好きかどうかを即時に判断してもらった。なお、一つの対象物に対する回答数は同じになるようにした。鋭角と曲線が混在する物はすべての被験者に好きかどうか回答してもらった。
被験者に選んでもらった結果、以下のグラフのように曲線のものがより好まれることがわかった。
曲線のバランスが重要
曲線を多用すれば、必ず人々が好むわけではない。丸みを多用した場合、子どもっぽさや幼稚さが強くなる。
一方、直線や角を利用することで緊張感も生まれるため、コーポレートサイトなどは誠実さや真面目さを際立たせるために直線を多く用いている。
鋭角な輪郭が及ぼす効果
鋭角な輪郭はナイフなど危険なものを連想させ、脳の中で恐怖の感情を司る扁桃体を活性化させる。恐怖から逃れようと意識する結果、危険なものに対して注意を向けるようになる。
デザイン会社のQuinineは、米国最大のインターネットサービスであるXfinity向けに新しいキオスクを設計する際に、鋭角なデザインを意識し顧客が注目するようにした。
道路標識も、危険を知らせるものは丸い標識ではなく三角形の標識が多く採用されている。
参考サイト
- Research Report Humans Prefer Curved Visual Objects
- Contour Bias | Quinine Design
- 企業 – Webデザインリンク集 – 現在デザイン
- 幼稚園・保育園のホームページを作るなら参考にしたい。Webサイトデザイン40選!!
参考文献
- Susan Weinschenk(2012) 『インターフェースデザインの心理学』(著), 武舎 広幸 (翻訳), 武舎 るみ (翻訳), 阿部 和也 (翻訳) オライリージャパン