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デザインの欲求階層説 Design Hierarchy of Needs

デザインにおけるユーザー欲求を階層化した概念。機能性を底辺にし、各要素が積み上がるにつれて、そのデザインに対する愛着が育まれる。

デザインの欲求階層説

心理学における人の欲求を段階的に論じたマズローの欲求段階説に基づき、Steven Bradley
スティーブン・ブラッドリー
がデザインに適用させた説

デザインにおいても下から機能性、信頼性、ユーザビリティ、上達、創造性の欲求という5階層のピラミッドが形成されており、より上位の欲求に移る前には下位のものを満たす必要がある。

アーロン・ウォルターによるエモーショナルデザインにおける欲求階層説のヒエラルキー

スティーブン・ブラッドリーによるデザインの欲求階層説

5つの欲求は、最下層から順に以下の通り。

  1. 機能性の欲求:基本的な機能に関する欲求が満たされると、ユーザーは満足を得る。
  2. 信頼性の欲求:継続的に使用したときに、動作が確実で一貫していると、信頼感が育まれる。
  3. ユーザビリティの欲求:使いやすさを実感すると、ユーザーは愛着を持つようになる。
  4. 上達の欲求:生産性が高まり統御感が強化されると、ユーザーは愛着を持つようになる。
  5. 創造性の欲求:新しい工夫を加えて自分なりに使いこなせると、ユーザーは代替製品に見向きもしなくなるほど惚れ込む。

Design Rule Index 要点で学ぶ、デザインの法則150より引用

エモーショナルデザインの欲求階層説

UX DAYS TOKYO 2015で登壇をした元MailChimp UXディレクター、現在はInVisionのデザイン教育担当であるAarron Walter
アーロン・ウォルター
もまた、自身の著書「
Designing for Emotion」の中で、マズローの欲求階層説を元にデザインにおけるヒエラルキーを説いている

アーロン・ウォルターの肖像

アーロン・ウォルター(出典元:UX DAYS TOKYO 2015

スティーブン・ブラッドリーによるデザインの欲求階層説のヒエラルキー

アーロン・ウォルターによるエモーショナルデザインにおける欲求階層説

機能性、信頼性、ユーザビリティの欲求までは、スティーブン・ブラッドリーのデザインの欲求階層説と同様だが、その上位に感情のひとつである「楽しい、快い(Pleasurable)」が来ている。

機能性のないデザインは本質的な好ましさを生み出すことはできない

デザイナーのみならずWEBやアプリの制作者、下位階層の要素を飛ばし「創造性」や「楽しさ」を求めてしまう傾向に陥る。

このピラミッドが指し示すように「機能性」や「使い勝手」などの基本的な部分が整っていないデザインは、上位階層の「創造性」や「楽しさ」を獲得することは出来ない。

UX DAYS TOKYOでは、これらの階層説と狩野モデルを合わせて以下のような図式を解説している。まずは、「当たり前品質」の追求が最重要となる。

UI操作のレベルと狩野モデルの図

関連用語

参考文献

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