一定の原則や経験・知見により一般の方では見落としがちの問題発見をすることができる評価方法。ヒューリスティックは心理学における用法となり、経験則と同義で扱われている。
専門家と言えども、人それぞれ視点が異なるため、必ず正しい答えを導き出せるわけではないが、概ねの正解を導き出せる方法である。
チェック項目を利用して評価する場合もあるが、(チェックだけであれば専門家ではなくてもできるため)チェック項目以外の専門家の視点が重要になる。また、チェック項目も漠然としている場合が多いため、結果的に専門家の視点が大切とも言える。
実施方法
- ユーザビリティ等の専門家一人から実施できる
- 専門家がチェック項目に沿って対象を評価する
- チェック項目はユーザビリティ原則の項目とサービス・製品によって専門家が主観的に設定した項目を組み合わせて作成する
一般的に知られるユーザビリティ原則には以下がある。
評価を行う専門家とは?
ユーザビリティの専門家とはどういった人なのか?
評価対象を見た時、ユーザビリティ原則以外にも問題発見ができる洞察力・視点を持つ人となる。
一般の方では見落としがちなユーザビリティ上の問題発見のためには認知心理学・ユーザビリティ原則の知識に通じ、UIの観察・問題発見のトレーニング経験を積んでいる人物が専門家として必要になる。
ユーザビリティテストとの違い
ユーザビリティテストと比べて製品開発フェーズにおいていつでも実施できるという利点がある。
専門家が行うため、製品開発の初期要件だけしかない場合など完成した製品が想像しづらい場合でも、いち早く改善点を把握することができる。
ユーザーの協力を必要とせず、専門家ひとりで評価ができるため、時間とコストが比較的かからないこともユーザビリティテストと比べた利点である。
ユーザビリティテストの実施前にヒューリスティック評価を行い、テストで重点的に確認する視点を絞り込むなど評価の準備段階としても役立つ。
注意点
ヒューリスティック評価は、あくまで分析者の主観が元となるため、1度の分析で必ずしも正しい結果になるわけではないことを注意する必要がある。
判断結果に偏り(認知バイアス)が生じていることがあるため、実際のユーザーを対象としたユーザビリティテストと組み合わせて調査を実施する必要がある。同様に、ヒューリスティック評価をすればユーザビリティテストが不要というわけではない。
またヒューリスティック評価の効果対象はあくまで「ユーザーが迷わず使える状態」までのユーザビリティ向上に限られる。
関連用語
- ユーザビリティテスト
- ヒューリスティック
- 認知バイアス