KJ法
KJ Method

収集した情報や発散したアイデアを構造的にまとめる手法

ブレインストーミングによって洗い出されたアイデアや、フィールドワークなどで得られた情報を構造化してまとめるための手法。整理する過程で新たな気づきを得る発想法でもある。
提唱者は日本の地理学者・文化人類学者である川喜田二郎氏である。提唱者のイニシャルがKJケージェー法の名前の由来となっている。

川喜田二郎 氏 引用元:福岡アジア文化賞

川喜田氏は、アイデアや仮説をトライ・アンド・エラーで実行していては、計画的な行動にならないと考え、収集した情報を一度構造化した上で、仮説やアイデアを計画的に検証していく手法としてKJ法を編み出した。

KJ法の進め方

KJ法には広義のKJ法狭義のKJ法がある。ここでは、狭義のKJ法に絞って記載する。

KJ法を始める前に下準備としてフィールドワークやブレーンストーミング、議論を行うことでテーマに沿った事実や意見を収集する。情報を集め終わったら、以下のステップに沿って進めていく。

  1. ラベル作り
  2. グループ編成
  3. 図解化
  4. 文章化

1. ラベル作り

集めた情報に一行程度の見出し(以下、一行見出し)をつける。議論を行ないながら意見を書き出す場合は、記録係を1人用意する。記録係は発言内容の要点を一行見出しとして書き起こす。

議論に参加しない記録係が一行見出しにまとめていく

一行見出しを作成する際、できる限り抽象化せずに柔らかい言葉で要点を抑えるべきである。著書「発想法」の中で川喜田氏は以下のように記載している。

 

たとえば、酒を飲むことについて、それを好意的に論じた発言があったとしよう。それを一行見出しに圧縮するのに、「飲酒効果の是認的発言」などと書くよりも、「酒は飲むべし」と書いたほうが良い。

 

summarize

一行見出しは、抽象化せずに分かりやすく書き出す

small team

集めた情報、または議論に上がった情報全てに一行見出しをつけて並べる

2. グループ編成

グループ編成のステップでは、一行見出しを小チーム・中チーム・大チームの順番にまとめていく。

team flow

段階的にチームに分けて一行見出しをつける

小チーム

「ラベル作り」のステップで作成した一行見出しをテーブル等に並べ、同じような内容や、関係がありそうだと感じるものをまとめたもの。

仮に、5枚の一行見出しが1つの小チームとして集まったとする。5枚の内容をじっくり確認して、5つの内容に沿った新しい一行見出しを小チームの上に乗せる。

new topic

一行見出しをまとめて小チームを作る

一行見出しをまとめて小チームを作る

直感によって集められた小チームの一行見出したちを改めて確認してみると、無関係な内容がまとめられていると感じる場合があるが、作成した小チームを解体させるのではなく「これらを一行見出しで表現するとしたら、どうなるか?」と考えてみると、新たな発見が得られる。

どの小チームにも属さない一行見出しが発生した場合は、無理にどこかの小チームに入れるのではなく、単独で残しておく。中チームや大チームを作る際に関連してくる可能性もあるため、小チームの段階で全てを無理にまとめる必要はない。

中チーム

middle team

小チーム同士をまとめて中チームを作る

小チームにつけた一行見出しや、単独で残っている一行見出しを眺めて、関連しそうなもの同士をまとめる。その後、小チームを作成した時と同じように、新しいまとまりにふさわしい一行見出しを作成する。

大チーム

large team

中チーム同士をまとめて大チームを作る

中チームを作成した時と同じように、関連しそうなもの同士をまとめて、再びそのまとまりを表す新たな一行見出しを作成する。

グループの大枠を先に決めてはいけない

グループ編成では、最初からグループの枠を決めて一行見出しをまとめてはいけない。例えば、集まった情報を「企業の課題・消費者のニーズ・競合製品の情報」などに分けてからグループ分けをしてはいけない。自分たちが理解している区分けにすると、新たな気づきや発見が得られない可能性が高くなる。

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最初からグループを分けると新たな発見が少なくなる

最初からグループを分けてはいけると新たな発見が少なくなる

3. 図解化

グループ編成された大中小のチームごとに一行見出しを並び替える。KJ法では図解化を「KJ法A型」と呼ぶ。

大中小各チームの一行見出しを、どのように空間的に配置したら論理的に納得いくかを考えてテーブル上に配置する。大チームであれば、中チームにつけた一行見出しを並び替え、小チームであれば一番最初に書き出した一行見出しを並び替える。

small team new topic

それぞれの小チームに含まれている一行見出しを配置する

middle team new topic

中チームの配置をするときは、小チームにつけた一行見出しだけを配置する

一つのチームに属する一行見出しを配置したら、一度どのような繋がりを持っているかを言葉にして説明してみる。すらすらと説明できる場合であれば、適切な配置である。逆に説明がしづらい場合は再度、配置方法を考え直す必要がある。

全てのチームを配置し終えたら、それぞれがどのように関係しているかを図解していく。たとえば、関係性によって矢印で表記したり(相互関係のものを←→、対立関係のものを→←、因果関係のものを→)、同類の内容であれば輪で囲ったりする。

illustrate

全体の図解化とチーム単位の図解化を行う

4. 文章化

図解化した情報をテキストに書き起こす。KJ法では文章化を「KJ法B型」と呼ぶ。

文章に起こす場合は、図解化した内容のどこから書き起こしても問題はない。ただし、一つのグループを文章化した次は、文章化した箇所と繋がりがあるグループである。

図解化の段階で説明しやすかったとしても、文章化する際にうまく描き起こせない場合がある。その場合は、図解化が文章化できるほど完成されていないと判断して、もう一度図解化しなおすことが必要である。

文書化する際は、客観的な事実と主観的な解釈を明確に分けて記載することを意識する必要がある。文章化によって得られたアイデアを検証した時に、事実と解釈を明確に区別しておくことで、より正確な分析を行える。

事実と解釈を明確に分けるのであれば、文章化する際により多くの解釈を組み込むべきである。KJ法は発想法の一つであり、得られた情報から新たな発見を見つけ出すためにも、解釈を多く含ませることが重要である。

documentation

整理した情報から新たな発見を見つけ出す

繰り返し行うことで精度が高まる

KJ法を用いて作成した文章を見返すことで、新たな発見や気づきを得られる場合がある。得られた情報を一行見出しに書き出していき、KJ法を用いて整理していくことで、より納得感のある結論や仮説を導き出せる。

ただし、通常はKJ法を一巡すればいくつかの仮説が生じるため、もう一度KJ法を行うよりも検証作業を行う方が得策である。はじめに集めた情報の量が多く、関係性が複雑な場合は、KJ法を繰り返し実施した方が効果的だ。

関連用語

参考文献

参考サイト

この記事を書いた人:藤原 脩平

現在、システムエンジニアとして自社サービスの企画/開発を行なっています。
ユーザーファーストなサービス開発を心がけたいという思いから、UX DAYS TOKYOのスタッフとして活動を始めました。

最近はリサーチスキルを伸ばすために統計学を勉強している。