視覚や聴覚の錯覚で、不明瞭な・抽象的な形状や模様から人間が意味を読み取り、具体的な形象や対象に認知してしまう現象や、また、本来存在しないにもかかわらず知っているパターンをあてはめてしまう現象を「パレイドリア効果」、または「パレイドリア現象」と言う。
例えば、雲の形が動物や人の形に見える、壁の染みが動物の形に見える、音楽に合わせて光が動くと、光の動きに合わせて動くように感じる、等が当てはまる。
イタリアの地図がブーツの形に見えるというのも、この現象の一種であり、シミュラクラ現象にも当てはまる。
(引用:Google Maps)
しかし、「月の模様がウサギの餅つきに見える」は、脳が知っているパターンを当てはめて解釈した結果で、「パレイドリア効果」、または「パレイドリア現象」になる。また、幽霊が写っていると言われる心霊写真も、パレイドリア効果によって、別のものが顔や人体に見えてしまうことが原因であると言われている。
シミュラクラ現象
人類の進化の過程で、周りの動物が敵なのか味方なのかを判別する必要があったため、本能的に脳が人間の顔かどうかを識別しようとすることから起こる錯覚と言われている。
例として以下にNASAが撮影した火星の地表写真を挙げる。
(引用:wikipedia)
赤い丸で囲った岩があたかも人の顔のように見えるため、実際にはただの岩であるにも関わらず、火星人が作った人工的な建造物だと騒がれたこともあった。
パレイドリア効果とシミュラクラ現象の違い
パレイドリア効果は、不明瞭な・抽象的な形状や模様から人間が具体的な形象や対象を認知することに主眼
ロールシャッハ・テスト
パレイドリア効果を応用した例として、ロールシャッハ・テストがある。スイスの精神科医Hermann Rorschachが1920年代に考案した心理テストである。
ロールシャッハ・テストでは、無作為にインクを垂らした紙を半分に折り、左右対称の形を作る。出来上がったものを被験者に渡して、何に見えるかを答えてもらう。
(引用:wikipedia)
インクの染み自体に意味はないが、そこにどんなパターンを当てはめ、どんな意味を見出したかで心理状態を診断する。
無意識の心理を分析できるということで、現代でも利用されているテストである。ただし科学的な裏付けがないことや、診断が非常に難しく効率も悪いことから、批判的な意見も多い。