物理的に距離が近いもの同士を、関連性があると認識する傾向。色や形、サイズや要素が異なっていても、距離が近ければ1つのグループとして認識する。
近接はグラフィックデザインやUIでも利用されており、意図的に余白を作り、グループを認識して、見やすく使いやすい設計を行うことができる。近接を効果的に使うために、適切に情報設計していることが重要だ。
近接は、人が情報を目にして認識する際の特徴をまとめた「ゲシュタルト原則」のひとつである。
1910年にチェコ出身の心理学者Max Wertheimerらを中心に仮現運動というアニメーションの研究が始まる。それを基に1923年「ゲシュタルト原則」の基礎となる6原則の近接・類同・連続・閉合・共通運命・良い形が発表された。
近接を使って誤解なく情報を伝える
関係のない要素同士が近づくと、ユーザーの誤解を招いてしまう。近接を使うことで、読み手に誤解なく伝えることができる。フォームを例に、近接の効果を説明する。
誤解してしまう例(クレジットカード発行申し込みフォーム)
誤解してしまう例として、フォームがある。
あるクレジットカード発行申し込みフォームでは、タイトルと入力フィールドが離れているため、タイトルが一つ前の入力フィールドを指していると誤解してしまう。
他にも、タイトルの下にラインがあるため、関連している項目をグルーピングしているように誤解が生じてしまう。
近接の効果をわかりやすくするため、元のデザインからタイトル下の黄緑色のラインを削除した。ラインによるグループの区切りはなくなったが、タイトルが上下どちらの入力フィールドを指しているのかわかりづらい。
関連性を明確にするため、タイトルと入力フィールドを近づけた。要素同士が近づいたことで、タイトルがどこの入力フィールドを指しているのか、誤解なく伝わるようになった。
改善前と改善後のフォームを比較すると、タイトルと入力フィールドに強力な関係性が産まれ、誤解のないグルーピングを行うことができた。
まずは関連する情報を整理する
情報を誤解なく伝えるためには、伝えたい情報を明確にし、関連する情報を集める必要がある。情報をなんとなく配置してしまうと、伝えたいことが不明確になり、近接を使っても誤解が生じてしまう。近接も含めた人の知覚や認知の原則である「ゲシュタルト原則」は、情報設計ができて初めて正しい効果を発揮することができる。