ユーザーの日々の生活や環境に身を置き、調査者の存在を意識させないようにユーザの体験や行動をその場で観察すること。影のような存在になって調査することに由来する。サービスデザインで利用するエスノグラフィー調査手法のひとつである。
同じようにユーザーの日々の生活や環境下で調査を行うコンテクスチュアル・インクワイアリはユーザーへインタビューしながら潜在ニーズを調査するものであるが、シャドーイングは行動観察によってサービスの課題を明らかにするものである。
ユーザー体験に共感して課題を定義する
サービスデザインの初期段階においては、ユーザーとその体験に共感したうえで、課題を定義することが重要である。ユーザーから新たな発見をより多く得るため、ユーザーの発言だけでなく、ユーザー自身が気づかなかった状況や行動を先入観なく観察する。
ユーザーに対する共感を重要視する調査方法には、調査者自身がユーザーとなってサービスを体験するサービスサファリという方法もある。
ユーザーが調査者を意識しなくて済むように調査する
シャドーイングはあらかじめユーザーから調査許可を得た上で、一定期間に渡りユーザーの活動を追跡して調査を行う。ユーザーが調査者を意識して行動してしまったり、調査者がユーザーの行動を邪魔してしまうと、ユーザー体験に影響を与えてしまい、重要な課題を見つけられなくなる。
観察の記録は写真やビデオ撮影で行い、ユーザーへの質問はその場で答えられる範囲にする。事前にタスクのプロセスを確認したり、ユーザーにインタビューしてシャドーイングで調査するポイントを明確にしておくと効率良く調査できる。
ユーザーの思考や行動理由を把握できる
アンケートやインタビューと異なり、シャドーイングはユーザー体験に影響を与えるヒト・モノ・情報や、環境とユーザーのインタラクションを直接観察できる。シャドーイングを行いながらユーザーの声も聞くことで、何を考え、なぜその様な行動に至ったのかも知ることができる。
関連用語
- サービスデザイン
- エスノグラフィー調査
- コンテクスチュアル・インクワイアリ
- サービスサファリ
参考サイト
参考文献
- 武山政直(2017)『サービスデザインの教科書─共創するビジネスのつくりかた』NTT出版