ある集団やカテゴリーに属する人々について、実際の個人差や多様性を無視して「みんな同じだ」と決めつけてしまう認知の枠組みである。
社会心理学においては「カテゴリー化の副作用」として説明されることが多い。
例:
- 「理系の人はコミュニケーションが苦手だ」
- 「高齢者は新しい技術に弱い」
提唱者について

ウォルター・リップマン(Walter Lippmann, 1922) が著書『Public Opinion(世論)』で初めて広く用いた。
リップマンはジャーナリストであり、社会におけるイメージ形成や固定観念の影響を指摘した。
デザイン上の利用方法と具体例
ステレオタイプは偏見や差別を助長するリスクもあるが、デザインの文脈では「ユーザーがもつ期待」や「共通イメージ」を活用することが有効である。
- UIデザイン
例:ゴミ箱アイコンを「削除」として使うのは、世界的なステレオタイプに基づく共通理解を利用している。 - 広告・ブランディング
例:健康食品の広告で「白衣の医師」を登場させるのは、「医師=信頼できる」というステレオタイプを利用して説得力を高める手法である。
由来と
印刷用語としての「ステレオタイプ」
18世紀頃、印刷の世界では「ステロ版」と呼ばれる鉛版印刷の技術を指しました。これは、型を抜いて同じものを繰り返し印刷する技術であり、そこから「型にはまった」「画一的な」という意味合いが生まれた。
転じて「固定観念」に
マスメディアが特定のイメージを大量生産し拡散するようになったことで、この「型」が人々の頭の中に定着し、固定観念や思い込みを表す言葉として使われるようになりました。
プロダクトやコンテンツデザインで使えるシーン
- ポジティブな期待を活かす
→ 例:「青色=信頼」「緑=安心」といった色彩のステレオタイプを利用して、UIの意味を直感的に伝える。 - ステレオタイプを崩す体験を作る
→ 例:金融サービスの広告で「スーツ姿の男性」ではなく「カジュアルな若者」を登場させ、既存の固定観念を揺さぶる。 - グローバルデザインに注意
→ 国や文化によってステレオタイプが異なるため、国際展開するプロダクトでは「文化固有のアイコン」や「ジェスチャー表現」を避けるべきである。