相手に対して勝手な思い込みで、認知心理学的には「認知のショートカット(ヒューリスティック)」によって生じ、情報処理を効率化する一方で、誤った判断や差別につながる場合がある。
例
-
採用 → 「性別や年齢に基づく無意識の判断」
採用面接で「若い方が活躍できるだろう」と無意識に考えてしまう。 -
UIデザイン → 「色やアイコンが文化的に偏って解釈される」
日本のデザインは情報が多い方が好まれると思い込んでしまう。 -
マーケティング → 「モデルの属性が無意識に購買意欲へ影響」
アイドルやインフルエンサーが持っているものが欲しくなる。 -
教育コンテンツ → 「教育者が偏ると学習者の認識も偏る」
親や先生の言うことや思考をそのまま受け継ぐ。
提唱者について
「アンコンシャス・バイアス」を最初に広めたのは心理学者 マハザリン・バナジ(Mahzarin Banaji) と アンソニー・グリーンウォルド(Anthony Greenwald) である。彼らは1995年の論文において「インプリシット・アソシエーション(Implicit Association)」の概念を提唱した。
デザイン上に関わる利用方法と具体的事例
アンコンシャス・バイアスはデザインにおいて「ユーザーの無意識の思い込み」を理解することに役立つ。
- フォームデザイン:入力欄に例を添えることで「どう入力すべきか」という利用者の誤解(バイアス)を減らすことができる。
- アイコンや色彩:文化やジェンダーによる暗黙の連想を考慮しないと、誤解や排除的な印象を与えることがある。
- テスト設計:ユーザーテストにおいて多様な背景を持つ被験者を選ぶことで、特定の集団だけのバイアスに基づいた設計を避けられる。
具体例として、就職サイトのUIで男性の写真ばかり使うと「男性向けサービスだ」と無意識に解釈される可能性がある。そのため男女・年齢・人種を多様に反映させたデザインが有効である。
プロダクトやコンテンツデザインの観点で使える場面
- 採用管理システム:候補者の名前や性別を隠した「ブラインド採用モード」をデザインに組み込む。
- Eコマース:レビュー表示を多様な層の顧客写真で補強し、ある属性だけを強調しない。
- 教育サービス:教材の登場人物や事例に偏りがないようにデザインすることで、利用者の無意識のバイアスを軽減できる。