ユーザビリティ
Usability

特定の利用状況・ユーザによって、指定された目標を達成するために用いられる際の使いやすさ、使い勝手

ある製品に対する「使いやすさ」や「使い勝手」という意味。操作方法が分かりやすいことや便利な機能が豊富であることを指して「ユーザビリティが良い」と表現する。
use(使う)と able(できる)から来ており「使えること」が元々の意味である。

ヤコブ・ニールセンによるユーザビリティの定義

ウェブ・ユーザビリティの権威であるJakob Nielsenヤコブ・ニールセンは、『ユーザビリティエンジニアリング原論(1994)』において、インタフェースのユーザビリティとは以下5つの特性から構成されると示した。

1. 学習しやすさ
2. 効率性
3. 記憶しやすさ
4. エラー
5. 主観的満足度

Jakob Nielsen

提唱者:ヤコブ・ニールセン氏
写真:ヤコブ・ニールセン

ユーザビリティを構成する5つの観点

ユーザビリティエンジニアリング原論で紹介されている5つの観点を、旅行サイトを例に説明していく。

学習しやすさ

学習しやすさとは「初回でも使うことができるか」を意味する。

旅行先の検索方法が分からなかったり、目的のホテルを見つけても予約方法が分からなければ「学習しやすさ」が不十分である。

効率性

効率性とは「効率的に使用することができるか」を意味する。

使い方を理解し、一度予約を完了しても、別の予約をする際に自分の住所をもう一度入力する必要があるならば、「効率性」に欠けている。

travel

記憶しやすさ

記憶しやすさとは「使い方を思い出すことができるか」を意味する。

しばらく時間をおいてから使用した際に、すぐに使い方を思い出せない場合は「記憶しやすさ」が不十分である。記憶のメカニズムについては「記憶の多思貯蔵モデル」で詳しく説明している。

エラー

エラーとは「問題が発生しても、ユーザーが操作を続けられるか」を意味する。

スムーズに予約手続きを進められても、最後に生じたエラーにより、今まで入力してきた情報がなくなってしまったとする。最初のフォームからやり直す必要があるものはユーザーの意欲を低下させてしまうため「エラー」の観点を満たしていない。

主観的満足度

主観的満足度とは「ユーザーが満足し、何度も使用しているか」を意味する。

ユーザーが一度は使ったものの、二度と使用しなかった場合は「主観的満足度」が低い。

ISOによるユーザビリティの定義

1998年に成立したISO 9241-11で、ユーザビリティは以下のように定義された。

特定の利用状況において、特定のユーザによって、ある製品が、指定された目標を達成するために用いられる際の、有効さ、効率、ユーザの満足度の度合い

ISOによるユーザビリティは、以下の4点で構成されている。
1. 有効性
2. 効率性
3. 満足性
4. 利用状況

ユーザビリティを構成する4つの観点

ISO 9241-11で紹介されている4つの観点を、ニールセンの定義と同じく旅行サイトを例に説明していく。

有効性

有効性とは「ユーザーが目標を達成することができるか」という観点である。

航空機のチケットを予約する場合、席を仮確保しているのか予約完了しているのかが分かりにくかったり、予約フォームでの日付選択がカレンダーから選択するのではなく日付を数値を直接入力する形式の場合、「有効性」が不十分である。

効率性

効率性とは「ユーザーが最小の時間や負荷で目標を達成することができるか」という観点である。

ホテル一覧画面から予約したいホテルを選択しても、何度も予約の確認画面・完了画面を行き来しなければいけない場合や、一つの情報が複数ページに別れていて繰り返しウインドウを開閉する必要がある場合は「効率性」が欠けている。

満足性

満足性とは「ユーザーが不快感なく目標を達成することができるか」という観点である。

ユーザーが効率的に予約を行えたとしても、サイトに不愉快だと感じる文章やバナーが記載されていた場合、「満足度」が低下する可能性が高い。

利用状況

利用状況とは「ユーザーが置かれた状況や環境が目的と一致しているか」という観点である。

ユーザーが空き時間にスマートフォンで利用することが多い場合は、スマートフォンで操作しやすい画面設計にした上で絞り込み検索欄を追加するなど、短時間でも目的を達成できるように設計する。
ユーザーの状況や環境を把握した上で、適切に設計することが必要である。

ユーザーが置かれた状況や環境は「コンテキスト」と呼ばれ、コンテキストはサービスを考える際に重要な要素である。UX DAY TOKYO では、コンテキストを体験的に学習することができるワークショップを開催している。

コンテキストのワークショップ

2つの定義の違い

2つの定義違いを表にまとめると以下のようになる。

ヤコブ・ニールセンによるユーザビリティの定義(1994) ISOによるユーザビリティの定義(1998)
学習しやすさ 有効性
効率性 効率性
記憶しやすさ 満足性
エラー 利用状況
主観的満足度

ヤコブ・ニールセンによる定義はISOの定義に比べてユーザビリティの定義が限定的になっている。
ISOで定義されている「有効性」は、ニールセンの定義ではユーティリティ(実用性)に含まれる内容である。そのため、ヤコブ・ニールセンによるユーザビリティの定義は「その機能をユーザがどれくらい便利に使えるか」という観点になっており、ISOに比べて狭義の定義となっている。

なぜユーザビリティを考慮することが重要であるのか

ユーザビリティーを考慮することが重要な理由は「ユーザーがサイトから離れてしまう」「作業の生産性が下がってしまう」の2点である。ユーザビリティーを考慮せずに作成してしまうと使用ユーザー数の低下を招き、サービスとしての品質が落ちてしまう。

ユーザーがサイトから離れてしまう

サイト上でユーザーが求めているものを見つけられない、文章が多く読みにくいなどの設計にしている場合はユーザーが離れてしまう。初めて使用するユーザーでもわかりやすいような設計にする必要がある。

作業の生産性が下がってしまう

ユーザビリティが悪いサイトだと内容を理解するのに時間がかかってしまう。内容理解に時間がかかればかかるほど、不必要な時間を費やすことになり時間の無駄になってしまう。

ユーザビリティテストで確認する必要がある

ニールセン、ISOの細かい定義は異なるが、いずれも「ユーザーが使いやすいか」という点をユーザビリティの重要な要素として捉えている。

開発者だけで、ユーザーが使いやすいように設計されているか判断することは難しい。実際のユーザーに操作してもらう「ユーザビリティテスト」を実施することで、ユーザビリティが十分であるか確認するべきである。UX DAY TOKYO では、プロジェクトメンバーや社内でできる簡易的なセルフユーザビリティテストの方法を学ぶことができるユーザビリティテスト検定講座を開催している。

ユーザビリティテスト検定講座

関連用語

記憶の多重貯蔵モデル

参考サイト

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Tsuchida

システムエンジニアとして組み込みソフトウェアの設計・実装・評価を担当しています。ユーザーに寄り添ったシステムを作りたいという思いからUXDTに参加しました。慣れないことも多く大変ですが、楽しい日々を送っています。