ユーザーを理解する
人は自分の行動を正確には語れませんし、作り手は自分が知らなかった頃を思い出せません。この二つを前提に置かないと、調査は「聞きたかったこと」を確認するだけの場になってしまいます。このページでは、聞き方から、その場で見る方法、そして早く回す型までを順に並べました。
どう聞くかを決める
台本が無いことと、準備が無いことは違います。深掘りは問いを足すことではなく、黙って待つことで起きます。
言葉を鵜呑みにしない
本人が説明できることと、実際にできることは別です。自己申告のスキルや理解度は、そのまま数字にはできません。
- 4 心の理論 Theory of Mind 相手の頭の中を想像する力は、自分が作ったものには働きにくい。知っている側は、知らない状態を思い出せない。使ったことのない人に、黙って触らせろ。
- 5 メタ認知 Metacognition 人は自分がどこで詰まっているかを、正しくは言えない。わかったつもりのまま先へ進む。理解を尋ねるのではなく、やらせて確かめろ。
- 6 顕在記憶 Explicit memory 聞かれれば答えられる知識と、手が覚えた動きは別物だ。説明できることが、できることの証明にはならない。言わせるより、やらせて見ろ。
- 7 レイク・ウォビゴン効果 The Lake Wobegon effect 多くの人が、自分は平均より上だと答える。自己申告のスキルや理解度は、そのまま鵜呑みにできない。腕前は、聞かずに作業で測れ。
使っている場所で見る
聞いた話と、実際の机の上は違います。会議室に呼ぶのをやめて、貼り紙や付箋だらけの画面を見に行きましょう。
- 8 フィールドワーク fieldwork 聞いた話と、実際の机の上は違う。付箋だらけの画面や貼り紙は、設計が負けた記録だ。会議室に呼ばず、使っている場所へ行け。
- 9 コンテクスチュアル・インクワイアリー Contextual Inquiry 教える側に回ってもらうと、人は手順を細かく話す。会議室での質問では出ない例外が、作業中には必ず出る。弟子のつもりで、隣で聞け。
- 10 シャドーイング shadowing 見られていると分かった瞬間、人の手つきは丁寧になる。質問を挟むほど、普段の姿から離れていく。黙って後ろに立ち、口を出すのは最後にしろ。
- 11 思考発話法 Think Aloud Protocol 声に出させると、詰まった理由がその場で分かる。ただし喋りながらでは、普段より慎重に操作する。速さの計測とは、分けて実施しろ。
早く回す
条件の合う協力者を待っている間に、直せたはずの問題が残ります。人数を集めるより、回数を増やすほうが効きます。