なぜ認知バイアスが起こるのか
人間には直感的な思考を行う「システム1」と合理的な思考を行う「システム2」がある。「システム1」は迅速に判断を行える一方、時として非合理的な判断をしてしまう性質がある。対して「システム2」は合理的な判断ができる一方、判断に時間がかかる。
日々膨大な情報を処理しながら生活している私たち人間は、直観的な「システム1」を無意識に使っている。特に意識をしないと、経験や本人の思い込みが影響して認知バイアスが起こるのである。
認知バイアスの種類
下の図のように、認知バイアスには100種類以上ある。その中でいくつか取り上げてみよう。中にはすでにUX TIMESの用語集に掲載されているものもある。
アンカリング
情報や数値のうち、「一番最初に接したもの」または「最も印象的なもの」が意思決定や判断に影響を及ぼしてしまうこと。同じ9,000円のものでも、「10,000円から割引になったもの」の方がお得に見えてしまうことが例としてあげられる。
https://uxdaystokyo.com/articles/glossary/anchoringeffect/
ハロー効果
特定の特徴に対する評価が、因果関係を持たない別の特徴に対する評価へ影響を及ぼしてしまうこと。「学歴が高いからその人は有能だ」と思い込んでしまうことが例としてあげられる。
https://uxdaystokyo.com/articles/glossary/halo-effect/
内集団バイアス
自分が所属している集団の人の方が外部の人よりも優れていると評価してしまうこと。「日本人だから丁寧に仕事をする」と思い込んでしまうことが例としてあげられる。
バンドワゴン効果
「勝ち馬に乗る」こと。個人の判断よりも集団の決定の方が正しいと思い込み、集団の決定を採用してしまう。「行列のできる店は美味しい」と思い込むことが例としてあげられる。
確証バイアス
自分にとって都合のいい情報だけを集めて思い込みを強化してしまうこと。緊急地震速報が流れても「いつもは遠くで地震が起きてるし、ここは大丈夫」と思い込むことが例としてあげられる。ハンスの馬も確証バイアスの一種である。
https://uxdaystokyo.com/articles/glossary/clever-hans/
ピーク・エンドの法則
人間は経験したことに対して、感情のピーク(最高または最低)とその経験が終わった時のことで経験の全体を判断してしまうこと。検査の最後だけ痛かった時に「検査の間ずっと痛かった」と思い込むことが例としてあげられる。
https://uxdaystokyo.com/articles/glossary/peak-end-rule/