ウェブサイトやアプリでは、ユーザーの意図しない商品を購入させる、契約に同意させる、キャンセル・解除だけわかりにくくするなど、紛らわしい言葉やUIで騙すデザインを指す。
2017年頃まではダークパターンと呼ばれていたが、訴訟案件も増えていることから、言葉の生みの親であるUXデザイナーのハリー・ブリヌル(Harry Brignull)は、直接的な言葉である「ディセプティブ:欺瞞 (人の目をごまかし騙す)デザイン」と名称を変更した。
ディセプティブデザインの種類
ハリー・ブリヌル氏が紹介しているディセプティブデザインの種類を一部抜粋する。
トリッククエスチョン
フォームを記入する際、一見すると、あることを尋ねているように見えるが、よく読むと全く別のことを尋ねており、意図しない回答をさせるような質問をする。
カートに忍び込む
商品を購入して、購入までのステップで割引情報などで誘導し、ユーザーが意図しない数や金額で購入させる。
隠れたコスト
ECサイトでの決済ステップまで来て、配送料や消費税など、予想外の費用が加算されている。また、購入した金額と異っている。
ミスディレクション
ユーザーの注意をそらすために、意図的に違うものに注意を向けさせる。
偽装広告
他の種類のコンテンツやナビゲーションに見せかけて、広告をクリックさせる。
強制的な継続
無料トライアルが終了すると何の音沙汰もなくクレジットカードに課金される。解約が困難な場合は、さらに悪質。
認知心理を逆手に利用する
人を騙すデザインは認知心理を逆手にとって利用している。
以下の例はメールの配信停止の完了後の画面だが、ボタンをクリックするとメールが再度配信されてしまう。日本人に対してボタンを英語表記でわかりにくくさせ、解約させるまでのボタンデザインと統一することで一連の行動をしてしまうように誘っている。
システムボタンで変更できず、一応、説明文を追加しているのかもしれないが、このUIによってユーザーはブランドへのイメージを良くは感じないはずだ。
自然と騙していることもあるかも?
アマゾン・Googleもかつては、ディセプティブデザインに陥っていた。企業の売上を伸ばすために、グロースするために良いと思ってしたことが結果としてディセプティブデザインになってしまうこともある。Facebookでは、意図した以上に、自分に関する情報を公的に共有するようにしていたことから、CEOのマーク・ザッカーバーグにちなんで「プライバシー・ザックリング」と名付けられた。
二重価格問題や直感的でない言葉の利用
アマゾンや楽天市場では二重価格問題が日本でも話題となった。二重価格とは「通常価格1000円のところ、本日限り700円」というように、販売価格とそれよりも高い価格を併記することである。販売価格よりも高い価格を併記することでアンカリング効果を狙っていると思われる。二重価格は出店者によって金額が変わるケースもあり、一概に騙しているとは言えない場合もあるが、直感的でなくわかりにくいデザインもディセプティブデザインになる可能性があるので注意したい。
1300万ドルもの金額が必要になることも!
ビジネス特化型SNS「LinkedIn(リンクトイン)」は、[add to network(ネットワークに追加)] というボタンから、ユーザーの知り合いの連絡先を利用して拡散されるように設計しました(フレンド・スパム)。わかりにくい文言で、ユーザーが意図もしないことが起こり、ユーザーからは「プロとして評判が下がる」と訴えられ、1300万ドル(約17億円)の賠償金を支払うことになった。この仕組はローンチ当初のLINE(日本)でも行われていた。
日本でも訴訟問題になることもあるので、心がけておこう。[deceptive.design]では、今後このようなデザインがでないように戒めのためにか?ディセプティブデザインの例を紹介している。自分たちのプロダクトにもそのようなことがないかぜひチェックしてほしい。
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