人は本能的に一貫性・統一感を求め、良いものを知ってしまうと質を下げて一貫性を損なうことを嫌う傾向がある。
ディドロ効果とは、今までの生活の中に、理想的な価値や雰囲気をもった物を手に入れると、他の物や環境を理想的な物に合わせようとする行動心理である。
人類学者のGrant McCrackenが、後述する18世紀のフランスの哲学者Denis Diderotのエピソードにちなんで、ディドロ効果と名付けた。
ガウンに合わせて部屋の調度品を揃えたディドロ
18世紀フランスの哲学者デニス・ディドロが、友人から優雅な紅いガウンをプレゼントされた。
その後、元々もっていた家の家具が、ガウンの優雅さに釣り合わないと感じたディドロは、自分がもっていた家具を捨てて、高級なものに買い換えていった。気づくと部屋は高級品で埋め尽くされ、かわりに借金を抱えるようになってしまった。
ディドロ効果はモノだけに限らず、以下のように新しい価値観を取り込んだ際にも働く。
- サーフィンを始めた人が、自然と海関連のグッズを買うようになる
- 素晴らしい友人や環境に出会うと、自らの意識や行動を改めようとする
ディドロ効果をマーケティングに応用する
ディドロ効果が働くことで、ユーザーは複数の製品をセットで購入する確率が高くなる。
例えば、IKEAは店舗内に様々なスタイルのショールームを設置している。IKEAで販売している商品を使って部屋のレイアウトを揃えて見せることで、ショールームの魅力的なレイアウトを再現するために、セットで家具を購入してもらう確率を高めている。
他にも、ソーシャルカードゲームでは、有料ガチャをたくさん回してもらうためにディドロ効果が使われる。
強いカードや、限定カードをコンプリートしたいがために課金を行い、目的のカードを全て手に入れるまでガチャを回し続ける。この現象は、強いカードや限定カードを全て揃えたいというディドロ効果と、中途半端なものが気になってしまうツァイガルニク効果が影響している。