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ギャップ分析 Gap analysis

問題を発見するために、あるべき姿と現状のギャップを分析すること。

ギャップ分析(As is-To be)とは、あるべき姿と現状を分析し両者の差異を明らかにして、問題を正しく発見する手法である。

問題は現状とあるべき姿のギャップ

私たちは、仕事でもプライベートでも何らかの問題解決を行う。しかし、解決策が成果に結びつかないことも多い。

問題解決がうまくいかない原因には、解決策が悪いだけでなく問題そのものが誤っていることが往々にしてある。

問題とはあるべき姿と現状のギャップである。「入力フォームからの離脱率が高い」ことや「売上が上がらない」ことは困っている事実であって「問題」ではない。

あるべき姿と現状を分析し両者の差を明らかにして問題を発見する方法に、ギャップ分析(As is To be)がある。あるべき姿や現状が異なると問題が異なってくるのである。

日常生活の中から1つ例を挙げよう。太っている人の中には、痩せている人は「問題」がないと思っている人は多い。その人たちから見て、痩せている人は理想の体型(「あるべき姿」)そのものである。すなわち痩せている人は、あるべき姿-現状=ゼロで、問題なしなのである。しかし、立場を変えて、痩せている人が考える「あるべき姿」がもう少し太って健康的に見える体型だとしよう。そうすると、そこには「問題」が生じる。

(出典:問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」

問題を発見できない原因

正しく問題を発見できないと解決には至らないが、問題自体を発見できないことがよくある。問題を正しく発見できない原因には大きく次の4つがある。

  1. あるべき姿が明らかでない、または間違っている
  2. 現状を把握できていない
  3. あるべき姿と現状に対するギャップの構造を具体化できていない
  4. 解決策から短絡的に問題をとらえている

1. あるべき姿が明らかでない、または間違っている

問題を発見するには、あるべき姿を明らかにする必要がある。それを明らかにせず目の前にある困ったことを片付けても、本質的な問題は解決できない。また、現実に即していない荒唐無稽なあるべき姿を設定しても、間違った問題を解決することになる。

そして、一度明らかにしたからといって安心してはいけない。あるべき姿は時代とともに変化していくため、あわせて問題も設定し直す必要がある。古いあるべき姿は間違ったあるべき姿に変わってしまっていることに注意しなければならない。

2. 現状を把握できていない

問題発見には現状を明らかにする必要もある。現状に対して自信過剰でいたり、あるべき姿に固執するあまり現実逃避したりしていると、現状を正しく把握できず、本当の問題を発見できなくなる。

また、現状をマニュアルに当てはめて処理するのではなく、徹底的に分析することも正しい問題を発見するために必要である。

現状を把握できないために問題を発見できない

現状を把握できないために問題を発見できない

3.ギャップの構造を具体化できていない

問題発見にはあるべき姿と現状のギャップを把握することが必要であるが、ギャップを深堀せず曖昧にとらえていると、問題の本質が見えてこない。

例えば、「サイトからの離脱率を下げる」という問題と「会員登録画面の住所入力フォームで発生している離脱率を下げる」という問題では、後者の方が問題が具体化されており、的確な解決策を検討しやすい。

また、発生する問題に対してやみくもに解決策を講じても、問題は解決されない。どの問題が重要か把握し、優先順位をつけて解決するためにも、ギャップの構造を具体化することが必要である。

ギャップの構造を具体化できていない

ギャップの構造を具体化できていない

4.解決策から短絡的に問題をとらえている

実行可能な解決策ばかりに注目していると、解決不可能なことを問題から除外してしまい、問題の本質を見失う。会社など成果を求められる場面では、「問題を何件解決したか」という定量的な結果が重視されやすいため、解決策を設定できない問題を避けることも多い。

しかし、できることばかりに目を向けて問題をとらえていると、問題そのものに潜む大きな落とし穴を見逃してしまう。

解決策は脇に置いて、まずはゼロベースで問題をとらえることが重要である。

安易な解決策に走り、問題を見失う

安易な解決策に走り、問題を見失う

UXの向上にも問題発見が重要

UXの向上には問題発見が重要である。いくら解決策を検討しても問題そのものが間違っていると、困っている事実に対する根本的な原因は解消されず、結果としてUXの向上は実現できない。

デザイン思考でも正しい問題の発見を重要視しており、UX TIMES(当サイト)でもその重要性を紹介している。

参考文献

フリーランスのエンジニア。 2001年東京都立大学(現首都大学東京)経済学部卒業。独立系ソフトハウス(システム開発)、株式会社シンプレクス(金融機関向け取引システムの開発・運用)を経て2011年よりフリーランス。フリーランスになってからは、スマホアプリ、サーバーサイド(Java,Railsなど)と様々なプロジェクトで開発に携わる。現在は会社員時代にお世話になった企業様でRPAプロジェクトで開発を担当している。 ダイエットのためにランニングとヨガを5年ほど続けているが、どちらもガチになる一方で全く痩せないことが最近の悩み。

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