リモート・ユーザビリティテスト
Remote Usability Test

被験者とモデレーターが遠隔でユーザビリティテストを行う手法

ビデオチャットツールなどを用いて被験者とモデレーターが遠隔でユーザビリティテストを行う手法で、「ユーザビリティテスト」の一種。
被験者がモデレーターの目の前でテストを実施するのではなく、被験者とモデレーターがそれぞれ別の場所でテストを行う手法である。

リモート・ユーザビリティテストの種類

リモート・ユーザビリティテストは大きく分けて「モデレーターあり」「モデレーターなし」の2種類存在する。
モデレーターの有無で得られる情報の量や費用が異なるため、調査する内容によって使い分ける必要がある。

テストの種類 特徴 メリット デメリット
モデレーターあり 被験者と評価者がリアルタイムでテストを行う ・被験者の表情や動きを確認し、臨機応変に掘り下げることができる ・モデレーターなしの場合と比べると少々コストがかかる
・モデレータ側がリモートユーザビリティに慣れている必要がある
モデレーターなし 事前に設計したテストメニューに基づいて、被験者一人でテストを実施する。録画した映像と音声をを送ってもらい、後日分析する ・比較的低コストでの実施が可能
・被験者の好きなタイミングで実施ができる
・一人でも思考発話ができる被験者に依頼する、または事前にトレーニングが必要
・状況に合わせたヒアリングができない

モデレーターあり

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ビデオチャットツールを用いて評価者がテストの進行を行い、被験者がテストを実施している様子を観察する方法。
モデレーターはテストの様子を見ながら質問することが可能なため、被験者の行動を深堀りすることができる。
また、実施する際はコストや、モデレータ側がリモートユーザビリティに慣れているかどうかも確認しておくと良い。

モデレーターなし

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事前に被験者にテストメニューを送り、実際にテストを実施した動画を共有してもらう方法。
被験者が好きな時間、好きな場所で試験を進められるため、日程の融通がききやすい。
しかし、被験者と事前にテスト内容の認識合わせを行っていないと、意図していないテスト結果になってしまったり、一人でも思考発話ができる被験者に依頼しないと意見をもらえなかったりするため注意が必要である。

リモート・ユーザビリティテストのメリット・デメリット

リモート・ユーザビリティテストは対面式で行うラボ型ユーザビリティテストと比べて以下のようなメリット、デメリットがある。

メリット

低コスト

会場設営費がかからないため、対面式のユーザビリティテストと比べて安価

場所の制約がないため、より適切な被験者に依頼できる

「地方在住」「海外在住」「体の不自由な方」などラボ型では依頼しづらい被験者にもアプローチが可能。テストやサービスに合わせて適切な被験者に依頼することで、本質的な課題を発見しやすくなる。

デメリット

被験者の緊張を解きほぐす工夫が必要

オンラインでは特に互いの様子が見えづらいため、被験者に自然な発話を促すためにも緊張を解きほぐす必要がある。テスト開始前に雑談などのアイスブレイクを行うと良い。

参加者の顔出しが必要

対面ではないため、被験者の表情を直接確認することができない。
そのため、カメラをONにしてもらうなど被験者の表情が確認できるような環境を整える必要がある。

インターネット接続環境に左右される

被験者のインターネット環境が整っていない場合、テスト中にインターネットが切断されてしまう可能性がある。
緊急連絡先を用意したり、重要度の高い設問を優先的に聞くなどの緊急時の対応を準備しておくとよい。

すべてのテストがリモート・ユーザビリティテストに適しているわけではない

テストを実施する前に、評価する対象がリモート・ユーザビリティテストに適しているかを判断する必要がある。
下記の項目を満たしていると、リモート・ユーザビリティテストに適している。

  • あらゆる居住地域・あらゆる属性のユーザーにテストに参加してもらう必要がある。
  • テストを効率的かつ低コストで実施したい。

また、以下のケースはリモート・ユーザビリティテストに適していないため、他のテストを検討する必要がある。

  • 被験者がインターネットに接続することができない環境にいる
  • 被験者のリテラシーが低く、リモートで行うことによるバイアスが強く出る可能性がある場合
  • ボディーランゲージなどのリモートでは確認することができない項目を評価する必要がある

ユーザビリティテストを体験する

UX DAYS TOKYOでは、プロジェクトメンバー間や社内でできる簡易的なセルフユーザビリティテストが学べるワークショップを開催している。
被験者、モデレーター、記録者に分かれてテストを実施するため、モデレーターありのテストがどのようなものなのかを体験することができる。

セルフユーザビリティテストのワークショップ

関連用語

ユーザビリティ

ユーザビリティテスト

参考サイト

Naoya Tsuchida

システムエンジニアとして組み込みソフトウェアの設計・実装・評価を担当しています。ユーザーに寄り添ったシステムを作りたいという思いからUXDTに参加しました。慣れないことも多く大変ですが、楽しい日々を送っています。