タンスなどの家具には表面が綺麗な木目調でも、裏側は板のままというものがある。
一方で、裏側が綺麗で表側が板のままというようなことは滅多にない。
目に触れる部分より目に触れない部分の方が、品質が低くなるのが一般的である。そのため、目に触れない部分の品質が、製品の総合的な品質の指標になる。
雑誌PLAY BOYで行われた、Apple社創設者であるスティーブ・ジョブズ氏へのインタビュー記事での発言が「バック・オブ・ザ・ドレッサー」の由来とされている。
記事には以下のように記載されている。
「自分がタンスを作る大工だとしたら、壁に面していて見えない背面にも、合板ではなく美しい木材を使う。」
When you’re a carpenter making a beautiful chest of drawers, you’re not going to use a piece of plywood on the back, even though it faces the wall and nobody will ever see it. You’ll know it’s there, so you’re going to use a beautiful piece of wood on the back. For you to sleep well at night, the aesthetic, the quality, has to be carried all the way through.
(引用元:Playboy Interview: Steve Jobs)
iMacの背面のように、「見えない所にも気を使う」という考えは製品にも反映されている。
Webサイト・サービスでも、家具の裏側を作らないようにする
ユーザーがよく使う機能だけ品質を高め、あまり利用しない機能を「家具の裏側」とみなして品質向上を手薄にした場合、コストは低く抑えられる。しかし、品質向上を手薄にした機能を使ったユーザーは製品全体に対して「品質が高くない」という印象を持ってしまう。
「品質が高くない」という印象を与えないためには、製品全体で一貫した品質を担保することが重要である。
下の画像では、①の画面ではコンテンツを配置しているが、②の画面では「商品回収のお知らせ」という重要な情報なのにも関わらず、内容をWebページ上で閲覧できずPDFへのリンクがあるのみで、手を抜いている印象を受けてしまう。