ユーザーが選べない環境で使う業務ツールに特化したUX改善モデルで、BtoBなどの業務系・強制使用型プロダクトに焦点を当てた設計基盤のフレームワークである。
HEARTメトリックスでは捉えきれない「思考負荷」「高度機能の活用」「エラー管理」など、業務に直結する観点をカバーするため、成果を挙げやすい職場向けプロダクトのUX設計に不可欠な指針である。
以下6つの意味の単語の頭文字からCASTLEフレームワークと呼ばれる。
CASTLE Frameworkの構成
- C (Cognitive load):ユーザーの思考負荷
- A (Advanced feature usage):上級者向け機能の使用率
- S (Satisfaction):満足度
- T (Task efficiency):作業効率
- L (Learnability):習得しやすさ
- E (Errors):エラー発生の頻度・質
提唱者

ペイジ・ラウブハイマー https://www.nngroup.com/people/page-laubheimer/
Nielsen Norman Group(NN/g)のペイジ・ラウブハイマー(Page Laubheimer)により提案されたもので、社内ツールやB2Bプロダクトなどユーザーが選べない環境へのUX評価手法として設計されたことが背景である。
デザインにおける利用方法・具体例
CASTLEの各視点は、プロダクト開発においてUX評価や機能改善の指標となる。
視点 | 活用方法 |
---|---|
ユーザーの思考負荷 Cognitive Load |
アンケート調査で測定する |
上級者向け機能の使用率 Advanced Feature Usage |
既に利用している人に対し、使用状況・使いやすさを分析する →ワークフローの高速化・機能強化が期待できる:発見可能性&使いやすさの向上 |
満足度 Satisfaction |
ユーザーがどう感じているかを測定 →タスク完了だけでなく楽しさやフラストレーションなどを調査 |
作業効率 Task Efficiency |
タスク完了の時間を計測 →作業効率・短縮、ステップの削減やインライン編集の導入 |
習得しやすさ Learnability |
学ぶまでの時間がどれだけかかるかなどを調査 →主に、新メンバー向けに実施し、15分以内に主要タスクの完了を目指し、チュートリアルやUX改善を図る |
エラー発生の頻度・質 Errors |
エラー発生の頻度・質を、ユーザーエラーとシステムのエラーの両面でチェックする →入力誤りデータ(無効な値など)のエラーログの可視化とフォームバリデーション強化によって問題を減少。 |