人間の思考は、自覚ができている顕在意識と自覚できていない潜在意識が存在する。その割合は、顕在意識がおよそ10%程度で、その他の自覚できない潜在意識が90%だと言われている。90%占める潜在意識の深くに、感情に影響を与える深層心理が存在する。
深層心理は普段は表面化していない
深層心理は、普段は表面化しておらず、就職試験やプロポーズ、入試、スポーツの大会等、極度の緊張を強いられる局面に直面することで初めて意識レベルの段階へと表面化する。
深層心理を形成するもの
- 幼少期や思春期におけるポジティブまたはネガティブな体験
- 劇的な体験(近親者の死・犯罪に出くわした(または起こした)当事者としての体験)
- その他、多大な失敗・失恋・負傷・疾病など
トラウマや勇気、底力に
様々な体験の中で、心に大きな傷を負うような体験は「トラウマ」とも呼ばれ、その後の当人の行動に多大な影響を与える。
逆に、過去の成功体験は、勇気や底力等、ポジティブな影響を与える。
気分が乗らないのは深層心理からの影響?
「必要だとは分かっているが、なんか気が乗らずに動きだせない・・」といった自覚と行動のギャップは、深層心理が原因になっていることもある。
深層心理へのアプローチ
人の行動の意思決定は、顕在意識だけでなく、深層心理を含めた潜在意識の影響も大きい。そのため、ユーザーが自分のした行動の理由を正確に理解できていないこともある。
したがって、インタビューやアンケートだけでユーザーの本質を理解するのは難しい。
深層心理へのアプローチとして、「行動心理学」「ニューロマーケティング」がある。
行動心理学
「人間の行動は、深層心理が具体的な形で現れたものである」
ということを前提に、人の行動からその人の深層心理を導き出すための学問。
ニューロマーケティング
脳科学の知見や技術を用いて、消費者の無意識的な感情の変化などを読み取る手法。脳波などを分析しつつ、従来のアンケートやインタビューなどの主観的な評価や、視線の動きなどの無意識の行動を同時に行い、それらをかけ合わせて調査を行う。
現代マーケティングの第一人者、Philip Kotler Ph.D.は、著書「マーケティング3.0」で「現代のマーケティングは、どれだけ顧客の深層心理に迫れるかの勝負です。マーケティング部門は数字をいじり回しているだけでは存在価値がありません。」と述べている。