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カスタマージャーニーマップ Customer journey map

顧客がサービスやプロダクトを利用する際に辿る一連の経緯を時系列にまとめたもの

サービスやプロダクトを利用するユーザー心理や行動を明らかにするマップ(地図)で、一連の流れが時系列に表示されているのが、旅に似ていることからジャーニー(旅)の名がつけられている。ウェブサイトの設計や、ユーザー体験(UX)の設計でメジャーなツールだ。

カスタマージャーニーマップでわかること

ユーザーの心理と行動の明確化

カスタマージャーニーマップを作成し、ユーザー心理・行動を明らかにすることで、ユーザーが面倒に思うこと(ペイン)や離脱の原因・知りたいことなどを探ることができる。またその中で、企業が提供するプロダクト・サービスの一連の流れも確認することができる。

スキー板を送るというジャーニーマップを描いてみた

カスタマージャーニーマップ例

スキー板を配送するためのカスタマージャーニーマップ

ユーザーが、スキー板を配送するところから帰宅して戻るところまでのカスタマージャーニーマップを描いた。スキー板の配送の見積もりをしようとするが、ユーザーはスキー板のサイズや重さを知っていないことに気がつく。

また、専用のカバーが何を指しているのかわからないことや、スキー板はどこで受け取れるか、往復便があるのが嬉しいこともわかった。
サービスとして重要な決算方法についてもどれが利用しやすいのか検討する機会にもなった。

明らかになったこと

  1. 見積もりの段階で正確な住所を知っているとは限らない
  2. スキー板の長さや重さはすぐにわかるものではなく調べなければならないので面倒
  3. 専用カバーが必要であるわからない
  4. 住所の入力が面倒
  5. 場合によっては現金を持っていないことがある

解決方法

ペインに対応した解決方法として、以下のようなことが挙げられる。

  1. スキー場やホテルの名前など簡単な情報で調べられる
  2. 参考になるサイズ感の情報がある(靴サイズなども)
  3. 専用カバーについての料金や再利用・保管についての情報を記載する
  4. 往復サービスの提供
  5. 4でカバーか、オンライン決済もできるようにする

カスタマージャーニーマップ作成の目的は明確に

カスタマージャーニーマップを描く際には、その目的を明らかにする必要がある。
UX設計だからとりあえずカスタマージャーニーマップを描いてみるという思考や、よくあるテンプレートを採用しても項目を穴埋めするだけで描いた意味がなくなる。目的がないと絵に描いた餅になりやすい。

また、サービスやプロダクトのCV(Conversion コンバージョン)までの動線をこと描くことが多いが、ユーザーの心理などを明らかにすることが目的であるため必ずしもCVは必要ではない。

その他、陥りやすいNG思考も紹介しているので参考にしてほしい。参考記事:カスタマージャーニーマップを描くときに陥りやすいNG思考

カスタマージャーニーマップは描くだけでなく、そこから何をどうみるかが重要

ユーザー行動と心理を描くことで、明らかになることがたくさんある。しかし、カスタマージャーニーマップは、一度描いてOK!ということでなく、俯瞰してみたり、情報を追加したり、何度も見直すことが大切になる。それは、どう見るかの視点でアイディアは大きく変わるからだ。

そのため、壁に張り出して利用することが多い。張り出すことで自然と目に入るため、考えるきっかけにもなる。カスタマージャーニーマップを壁に張り出し、チーム内でディスカッションを行うと、共通の認識にもなるため有効だ。オンラインツールも存在しているが、その場合には定期的に見直すようにする。

UX設計でカスタマージャーニーマップは必ず描くべきなのか?

カスタマージャーニーマップは、ユーザーの心理や行動を明らかにするツールであるが、それらが明らかになっている場合は描く必要はない。

カスタマージャーニーマップの構成要素

カスタマージャーニーマップで必要な要素は、「行動」「心理」「コンテキスト(タッチポイント)」で、各項目は時系列に並んでいる。
コンテキストは、場所・時間・デバイスなど様々なものが含まれるため、プロダクトで重要な要素だけをピックアップすることが多い。

その他、精度を上げるためにペルソナの採用・感情曲線・MoTを検討することがある。

  • 行動:ユーザーがプロダクトやサービスを使うまでの流れや行動
  • 心理:使う際の心理や感情
  • コンテキスト(タッチポイント):ユーザーとプロダクト、サービスの接触点

ペルソナの必要性

カスタマージャーニーマップのユーザーとしてペルソナを利用することがある。使うユーザーが明らかに自分とは異なる場合や特徴的なペルソナである場合は想定したペルソナを利用するべきだ。しかしながら、必ずしもペルソナがなければカスタマージャーニーマップが描けないというわけではない。

MoT(The Momemts Of Truth)を見つける

カスタマージャーニーマップの中に、ユーザーの表情のアイコンがある場合があり、曲線で結んでいることがある。感情の起伏が大切なプロダクトや一定のラインを越してしまうものの改善を知るために必要な表現であることもあるが、必ずしもいるわけではない。また、ユーザーがそのプロダクトを使い続けるかまた、優良顧客になるかの決定はある一定の瞬間であるというMoTを知ることもできる。

カスタマージャーニーマップ作成ツール

カスタマージャーニーマップはオンラインで作成可能だ。以下に作成ツールを紹介する。ツールによっては、テンプレートが用意されているので自分の利用目的に合わせたものを選ぶと良い。

形に囚われない、実践ベースのカスタマージャーニーマップ作成ワークショップ

UX DAYS TOKYO 2018では、Boon Sheridanブーン・シェリダン氏から「カスタマー・ジャーニーをはじめてみよう」を開催した。テンプレートに囚われない描き方に参加者からは驚きの声が出ていた。

関連用語

  • サービスデザイン

ペルソナ

プロトペルソナ

ステークホルダーマップ

モーメント・オブ・トゥルース MOT

タッチポイント

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参考文献

UX DAYS TOKYO オーガナイザ/デジタルマーケティングコンサルタント 著書 ・ノンデザイナーでもわかる UX+理論で作るWebデザインGoogle Search Consoleの教科書 毎年春に行われているUX DAYS TOKYOは私自身の学びの場にもなっています。学んだ知識を実践し勉強会やブログなどでフィードバックしています。 UXは奥が深いので、みなさん一緒に勉強していきましょう! スローガンは「早く学ぶより深く学ぶ」「本質のUXを突き止める」です。

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