ユーザーにサービスの価値や機能を説明し、操作スキルを身につけてもらうことで、ユーザーがサービスに魅力を感じ、効果的に利用できるようサポートをする一連の導入プロセスをオンボーディングという。「新人研修」という意味のアメリカ英語圏の人事用語に由来する。
オンボーディングの役割
オンボーディングで期待される役割は主に以下の3つである。
- サービスの価値を伝える
- 機能を説明し利用に慣れてもらう
- サービス提供に必要な情報をユーザーから得る
サービスの価値を伝える
短い時間でユーザーにとって価値があるサービス・機能であることを伝え、利用につなげる。
機能を説明し利用に慣れてもらう
サービスの操作方法を説明し、使いこなすために必要な知識や操作スキルをユーザーに身につけてもらう。
一度に説明が表示されるだけのものと、アプリケーションを操作をすると説明が進むものがある。基本操作を教えるものは、チュートリアルとも呼ばれる。
サービス提供に必要な情報をユーザーから得る
会員情報や通知許可・ストレージ利用許可など、サービス提供のためにユーザーから情報を得る必要がある場合に、オンボーディングで取得する。
オンボーディングでユーザーに情報を求める際に、その情報がサービスに必要なのか納得できなければ離脱することがある。そのため、情報を得る際は、情報の目的を伝えることが大切である。
オンボーディングに利用されるUIの例
ウォークスルー
スライド式で、使用方法やサービスのできることを説明する。
コーチマーク
実際のUI上に表示され、矢印や吹き出しで機能を説明する。
チェックリスト
サービスを活用するために推奨されるユーザーのアクションを明示する。
オンボーディング設計のポイント
UIグラフィック・コンテンツの美的効果を利用する
オンボーディングは、ユーザーにとっては知識やスキルを得るだけでなくサービスの導入体験としても重要であり、魅力的なサービスだと感じられるような心を揺さぶる動画・イラスト・アニメーション表現もユーザー定着に有効である。
使いやすさへの期待という点でも、美しい見た目を持つUIは「簡単で使いやすい」とユーザーに思い込まれる美的ユーザビリティ効果という心理効果を利用できる。
オンボーディングのフローやコンテンツを改善した後に、グラフィック表現を作り込むことで、オンボーディングの効果を最大化できる。
説明のためのコンテンツは簡潔で柔軟に
オンボーディングのフローやコンテンツ、アニメーション表現を多くし過ぎると、早くサービスを利用したいユーザーや利用に習熟しているユーザーにとって煩わしくなってしまう可能性がある。
説明のコンテンツは、多くなりすぎないように配慮し、オンボーディングをスキップしてもサービスを利用できる状態にすることが望ましい。
長い説明が必要なオンボーディングはUIを見直す
操作説明する必要のあるUIを、説明がなくても利用できるUIにすることで、説明のコンテンツを少なくすることもできる。オンボーディングが長いと感じられる場合は、説明対象のUIの見直しをするとよい。
オンボーディングは繰り返し行う
オンボーディングはユーザーの初回利用時にまとめて行うのではなく、ユーザーが必要とするタイミングを見極めて、段階的に繰り返し行う。
ヒックの法則でも説明されているように、人は提供される情報が多ければ多いほど、判断力が低下する。ユーザーが説明対象の機能を利用するタイミングでない時は、利用する際にはオンボーディング の説明を覚えていられるとは限らない。