学習した時間と習熟度の関係性をグラフで表現したもの。習熟度は常に一定の割合で増加せず、学習の期間が長いほど習熟するスピードは早くなる。1885年にドイツの心理学者Hermann Ebbinghausによって提唱された。
学習曲線は、横軸に試行回数や時間経過を元にした累積経験数、縦軸に正しい反応を示した数や所要時間などを元にした達成度合をとる。成長のステージとステップは、それぞれ3段階に分かれており、ステージは1st / 2nd / 3rd、ステップを「準備期」「発展期」「高原期」と、それぞれいう。
①準備期
学習を始める段階であり、比較的簡単なステップになる。進度は進みやすいが、現時点では「成果」と呼べる状態には直結しにくい。
②発展期
準備期に蓄えた力が発揮され、最も効率的に成長へ繋がりやすい期間となる。
③高原期
次の発展期を迎えるために準備となる期間。頭打ちでなかなか伸びを実感しにくくなる。とくに、1stステージでは、発展期への成長に対し最も時間がかかるため、不安になったり、学習をやめたくなったりすることもある。この期間は、次の発展期への準備期でもあり、この時期を乗り越えると、より大きな発展へ繋がりやすい。
成長するスピードは次第に早くなる
「準備期」「発展期」「高原期」の3段階は一度経験するものではなく、何度も繰り返し経験するものである。一般的には、周期が増えるごとに、準備期から高原期までの期間が短くなり、成果に繋がる度合いも高まる。最初の周期よりも2回目、3回目、4回目…と周期を重ねるうちに、学習を始めた頃とは比べものにならないほど短い時間で成長を実感できるようになる。
成長が止まっていると感じている人や組織に対し、この曲線を例に説明することで、「うまくいかない」と感じている期間において励ますことができ、諦めてしまう行為を防げる。成果と自信、挑戦心を得るためには、伸びない時期も諦めず、この成長過程を辿ることで成長するイメージを共有することが大切である。
ピロリとアンダーソンの式
学習曲線は、練習量と反応時間の関係を元に、数式で表すことができる。この数式は「ピロリとアンダーソンの式」と呼ばれている。
RTは反応時間、Nは累積練習量である。
ピロリとアンダーソンの式に当てはめて考えると、学習量が2倍になると反応時間が84.7%になることを表す。学習量の累積が増えるほど、反応時間が短くなる。これは普遍的なもので以下のようなグラフとなる。
同じように「経験した量」と「習熟までの期間」の関係を表す言葉として「80%カーブ」がある。
「80%カーブ」とは、仕事の経験が2倍になれば時間は80%でできるようになる、という意味で使われることが多い。