UX DAYS TOKYO 2024 のカンファレンスに登壇した、カーネギーメロン大学の助教授でありプロダクトデザインディレクターでもあるDan Saffer(ダン・サファー)氏に、AIプロジェクトにおける問題と対策についてインタビューを行いました。
AIプロジェクトの課題とアプローチ
Q:AIを使ったプロジェクトを行うとき、どのような障壁がありますか? 障壁に遭遇したとき、私たちは何をすべきですか?
(ダン氏):AIに対する過剰な期待が最初の大きな障壁です。まず、AIに求めるものが実現可能かどうか、既存の製品で既に実現されているかを確認する必要があります。もし誰もやったことがなければ、非常にリスクが高く、挑戦的なものになります。
また、AIを製品に組み込むには、データサイエンティストが必要です。そして、次に重要なのは、データの入手先です。データは容易に入手できるものか、それとも探し出さなければならないものかを考える必要があります。また、データ解析モデルが既に準備されているかどうかも確認が必要です。今では「基盤モデル」と呼ばれる、汎用的に分析可能なモデルがあります。
Q:データとモデルの準備が整った上で、どのようにしてUXデザインと技術的スキルを組み合わせて、AIプロジェクトを成功させることができますか?
(ダン氏):デザイナーが技術的スキルを持っていると非常に役立ちますが、ほとんどのデザイナーはデータサイエンスレベルの技術を訓練していません。デザイナーとデータサイエンティストが一緒に仕事をすると、プロジェクトは成功に近づきます。
例えば、Analyticsでいう場合、1年のデータで分析するのか、1つの買い物のシーンでデータを見るのかは、UXデザイナーとのコラボレーションが必要となります。
デザイナーは、ユーザーが何を好むかを深く理解しており、データサイエンティストは、技術的に何が可能かを知っています。これら二つの領域が交差する部分こそが、AIプロジェクトの成功の鍵となるのです。
まとめ「デザインと技術の融合を通じたAIの未来」
ダン・サファー氏の講演とインタビューを通じて、AIプロジェクトにおいてユーザー中心のデザインと技術的能力の融合がいかに重要かが強調されました。この融合は、プロジェクトの成功にとって不可欠であり、同時にAIの倫理的側面を考慮することも重要です。AIがもたらす利点を享受しながら、潜在的な負の影響を理解し、管理する必要があります。Saffer氏の洞察は、AIとデザインの未来に大きな影響を与えることでしょう。
スピーカー紹介
ダン・サファー(Dan Saffer)
デザインと人間・コンピューターインタラクションの分野で稀有なキャリアを持ち、現在はカーネギーメロン大学の助教授として新技術を教育と研究に応用する先駆者です。また、Flipboardのプロダクトデザインディレクターとして、最先端のユーザーエクスペリエンスを創出しています。
彼の経歴は広範囲にわたり、Adaptive Path、Twitter、Smart Design、Samsung、Jawbone、CNN、Philips、Microsoftなど、世界的な企業でのプロジェクトを手掛けてきました。それぞれの役割で、彼は革新的なデザインを通じて技術の可能性を広げてきました。