UX DAYS TOKYO 2024 のカンファレンスに登壇したプロダクトリーダー、コンサルタントのMatt LeMay(マット・ルメイ)氏に、仕事をビジネスインパクトで評価する方法や、チームの士気を高めるためのアプローチについてインタビューを行いました。
カンファレンスでは、プロダクトチームがビジネスゴールに対して影響力(インパクト)を高める方法が紹介されました。マット氏は、チームの潜在力を最大限に引き出し、ビジネスの成功に貢献するための具体的な戦略と実践方法について詳しく語ってくれました。
今の仕事のビジネスインパクトを振り返るべき
Q:ビジネスインパクト(影響)が出ない場合、どうすればよいですか? 最初に戻ってやり直すべきですか?
(マット・ルメイ氏):まず、インパクトのない仕事を続ける価値があるのか確認することが重要です。現時点で成果が出ていないだけかもしれませんが、続けてもゴールに到達しない可能性もあります。
もし、アプローチが根本的に誤っていると感じるならば、なぜそのやり方を選んだのか、どのような仮定に基づいているのかを振り返ることが必要です。次に、どのようにして仕事の価値を再評価するのかを考えましょう。 このプロセスは、チームメンバーと一緒に地道に対話を重ねることをお勧めします。
「大人」として接するとチームの士気が高まる
Q:ビジネスインパクトのある結果を具体的に示すことで、チームメンバーに自由度を与える」ということについて、 具体的に教えてください。
(マット・ルメイ氏):「特定の機能を特定の日付までに構築する」といった目標を設定すると、チームメンバーはその機能の実装に向けてのみ動くことになります。しかし、「四半期末までに自社プラットフォームに新しいユーザーを1000人増やす」というようなビジネスゴールを示すと、チームメンバーはこの目標を達成するための多様な方法を考え、自由に行動することができます。
これは、プロダクトの成功を測るための目標を設定する一方で、その目標にどのように到達するかについては、チームメンバーが自由に発想し、実行できる環境を提供するという意味です。具体的なアプローチや手段については、チームが自主的に考え、最も適した方法を選択する自由が与えられます。このようにすることで、チームメンバーの創造性と柔軟性が最大限に引き出され、より効果的な結果を生むことができるのです。
Q:チームの士気とマインドセットはどのように改善できますか?
(マット・ルメイ氏):「大人として扱う」ことが重要です。 チームメンバーに対して「期待していること」を明確に伝え、「何をすべきか、なぜそれが重要なのか」をしっかりと教えてください。
チームを「子どものように」保護し、外部からの干渉を完全に排除しようとすると、短期的には一見効果があるように見えますが、長期的には士気が著しく低下する可能性があります。
まとめ「チームへのアプローチ」
マット・ルメイ氏は、チームが高次元なビジネス目標に焦点を当て、自分たちの責任を認識しながら調和を保ち、ビジネス全般に意味のある結果を生み出せるようにすることが重要だと述べています。このようなリーダーシップの下、チームは実質的な影響力を発揮し、各メンバーは自由でクリエイティブな方法で独創的な解決策を考えることができます。
マット・ルメイ氏の豊富な経験と知識は、あらゆる段階の組織において、協力と効率性を促進するために不可欠な洞察を提供しています。
スピーカー紹介
マット・ルメイ(Matt LeMay)
プロダクトチームがビジネス収益およびプロダクトの成長目標を最大限に達成できるよう支援するエキスパートです。GoogleやIntuitの買収プロジェクトに関与し、Spotifyの戦略顧問としても活動してきました。また、時価総額数百万ドルに達するスタートアップの初期フェーズでプロダクトチームをリードした豊富な経験を持っています。
彼の著書『Agile for Everybody』(O’Reilly Media、2018)と『Product Management in Practice』(第2版、O’Reilly Media、2022)は、6つ以上の言語に翻訳され、世界中の様々な国と業界に実践的なガイドを提供しています。
チームの意見を引き出し、直接的な成果に結びつかない時間のかかる業務を最小化するために「One Page/One Hour」メソッドを提唱しました。このアプローチは、Amazon、Walmart、Adobe、Disneyなど、100以上の個人およびチームに採用され、高い評価を得ています。