― いま、制作のスタイルが産業革命的に変わっている
話題になっている「みらい議会」というAIをご存じでしょうか。
政党「みらい党」が公開したもので、国会で議論されている内容を誰にでもわかりやすく解説してくれるAIです。政治という専門的な領域においても、こうした「説明するAI」が登場する時代になりました。
このAIに対し、「右上のトグルボタンに違和感を覚えた」というデザイナーが、即座にAIにUI改善案を出してもらい、その結果をX(旧Twitter)に投稿していました。
まさに、人間とAIが共創しながらプロダクトを改善する新しい制作スタイルが現実になっているのですね。
NoUIという都市伝説
AI駆動型プロダクトの文脈でよく聞く言葉に、「NoUI(ノー・ユーアイ)」というものがあります。
「AIが判断してくれるからUIは不要になる」という意味で語られることもありますが、これは誤解です。
この言葉の本質は、「UIを排除すること」ではなく、「UIよりもAIが出すデータや体験の質を重視すること」にあります。
つまり、AI駆動型プロダクトでは「見た目」ではなく、「AIが導き出す出力の価値」を中心にデザインを考える必要があるということです。
従来のウェブサイトのように、Figmaで静的な画面をつくってユーザーテストを行う時代は終わりを迎えつつあります。
AI駆動型プロダクトでは、プロトタイプそのものがAIを通して動くため、Figmaに落とし込むことができません。
だからこそ、テストの方法も大きく変わります。
AI駆動型プロダクトで検証すべき2つのポイント
AIを活用したプロダクトのデザインでは、次の2つの観点を検証することが重要です。
- ユースケース自体がずれていないか
AIが提供する価値が、ユーザーの実際の目的や状況に本当にフィットしているかを確認します。 - AIモデルの設計が正しいか
AIが学習しているデータやアルゴリズムが、期待する出力を正しく導く構造になっているかを検証します。
この2つを見極めることこそ、AI時代のプロダクトデザインの核心です。
開発のスピードを上げるRITE手法
AI駆動型プロダクトでは、検証と改善を**RITE(Rapid Iterative Testing and Evaluation)**で繰り返します。
RITEは「素早い反復テストによる評価」を意味し、AIを使ってユーザーの反応やモデルの出力を即座に改善していく手法です。
RITEの本質は、「解決策をすぐに見つけること」。
問題を発見したら、すぐに仮説を立て、AIに改善案を生成させ、再テストする。
このサイクルを高速で回すことにより、プロダクト開発のスピードと精度を飛躍的に高めることができます。
デザインの“産業革命”が始まっている
これまでのデザインは、「見た目をつくる仕事」でした。
しかし、AI駆動型の時代では、「AIがどんな体験を生み出すか」をデザインする仕事へと変わっています。
UIの形やボタン配置よりも、AIの判断プロセスやデータの流れ、ユーザーとの対話構造がデザイン対象になる。
まさに、制作のスタイルが産業革命的に変わってきているのです。
AIと共に創る。
その新しい時代のデザインが、いま始まっています。
まとめ
- 「NoUI」はUIが不要という意味ではなく、AIが出すデータの価値を中心にデザインするという考え方
- AI駆動型プロダクトではFigmaでの画面テストではなく、RITEでAIモデルとユースケースの妥当性を検証
- デザインの焦点は「見た目」から「体験とモデル設計」へ
- 制作のスピードと方法が、まさに産業革命レベルで変わっている
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