AIを使うだけじゃないAIを活用・設計するデザイナーを目指す動画
こんにちは、デザイナーのnayumiです。
私は動画も音楽もまったくの未経験ですが、UX DAYS TOKYOオーガナイザーの大本あかねさんから、「イベントの告知CMを作ってみないか」と声をかけていただき、作成しました。
技術の細かい手順ではなく、「AIとどう向き合い、どのように判断・工夫したか」を中心に記録した体験記です。
まず、動画を見てみてください。
AIとデザイナーの“関係”をどう表すか
今回の動画は、2025年11月15日開催のワークショップ「UX for AI」のCMです。
テーマは「AIとデザイナーの付き合い方」です。
よく「初心者とプロだけが残り中間層*1が消える」と語られますが、実際には“初心者も、中間も、そのままでは残らない”と感じています。
学び続け、設計力を磨き、意図を言語化できる人が残る。その現実を前提に、「UXを理解した設計の力」を映像として表したいと考えました。
*1(大本追加:なお、中間層が消えるのではなく、AIエージェントの普及によって、人の手で行われていた中間的な工程が自動化され、単なる“つなぎ”の仕事、つまり「中間の作業」が不要になります。
しかし、その一方で、完成図をイメージし、AIに的確な指示を与えて、責任ある仕事を進められる人が生き残る時代になります。
もちろん、人をマネジメントする力や、顧客・ユーザーのニーズを洞察する力といった、人間にしかできない領域は今後も重要です。ただし、組織が省人化に向かう中で、従来型のマネジメントとは異なるスキルセットが求められるでしょう。)
アイデア段階からAIと対話した(プロンプト例)
歌詞と大枠のイメージを共有いただき、最初の発想整理からAIに相談しました。
ここでは“何をどう考えるか”が伝わるよう、ごく短いプロンプト例のみを記載します。
依頼時に共有されたのは、CMソングの歌詞とおおまかなイメージでした。
そこから自分なりに映像を膨らませ、Geminiに歌詞を読み込ませて情景アイデアを引き出し、構成を組み立てました。
共有いただいた歌詞とイメージ
要約と骨子出し
「歌詞の構成をもとに、各シーンの静止画プロンプトを作成します。出力形式は「シーン番号+日本語の情景説明+英語プロンプト」。目的は、Hedra(Veo3)の映像生成前にリファレンス画像を作ることです。」
視覚メタファの案出し
「マスコットキャラクターを使用し、歌詞を表現するようなシーンにしたいので、アイデアを3案出してください」
秒単位の設計
「開始1秒で画面が発光、明転するプロンプトを出して」
禁止事項の明示
「このシーンでは、キャラクターが過剰発光する表現は使わない。リファレンス画像のキャラクター造形を忠実に再現して。」
以降のプロセスでも、“何を狙い、何を避けるか”を言葉で明確にするほど生成のブレが減ると実感しました。
ツールを探りながら組み立てる
今回のCMは、複数ツールを役割で分担して制作しました。
-
SONO:歌詞をもとにしたCMソングの生成
-
プロンプト例:「歌詞のテーマに沿ったCMソング。1分のJPOP・エレクトロポップ調。男性が歌い、AIという部分は”エイアイ”と発音させる」
-
-
Gemini:各シーンの静止イラスト生成/動画用プロンプト草案
-
例:「キャラクターの周囲のオブジェクトが何もなかった空間からポンポン現れ、キャラクターは現れたオブジェクトに次々に顔を向けて反応する。オブジェクトはフワフワと浮かび、ポジティブな印象に。」
-
-
Hedra:静止画を参照画像として動画化(Geminiで練った文面をプロンプト投入・微調整)。プロンプトは全て英語で作成。
-
例:「flat 2D animation, minimal, soft lighting and color palette, a clean and positive-feeling light green background. A cute, simple, purple mascot character ‘Yux’ (reference image provided for character style) stands in the center with a bright, positive, and enlightened smile, arms spread wide in a welcoming pose.
**Animation:**
The scene starts with Yux in an empty space.
Then, one by one, abstract, simple graphic elements like circles, squares, the text “UX”, and flowing lines, representing UX and design concepts, appear with a soft “pop” effect around Yux.
Yux’s head gently turns to acknowledge each new appearing object, showing curiosity and deepening understanding.
Each generated object then gently floats and drifts around Yux, creating a light, positive, and ethereal atmosphere.
The animation should convey a sense of discovery and the gradual unfolding of knowledge.」
-
-
Clipchamp(PC標準の編集ソフト):ショットの切り貼り・BGM同期・字幕・告知テロップ
ツールの多くは英語UIで、最初は操作がまったくわからず戸惑いました。
それでも、直感的に「ここに素材を入れるのかな?」と試しながら進めるうちに、なんとか形になっていきました。
生成結果がイメージと違うことも多く、プロンプトを修正して再生成を繰り返しました。
意図しない演出が出たときには、「この表現を避けて」と指示を出すなど、AIとの対話を重ねながら調整していきました。
ざっくり指示でも対応してくれるGemini
AI任せでは思うようにならない
音楽のタイミングに合わせてエフェクトを入れたい場面では、プロンプトに秒数を指定してみたところ、意外にも成功。このように「AIに対して人間がどう指示するか」で結果が変わる面白さを感じました。
一方で、マスコットキャラクター「ユークス」を映像に登場させた際、同一デザインを維持できず、キャラの崩れを妥協せざるを得ませんでした。
「できること」と「難しいこと」を見極め、AIが苦手な部分は編集で補正するのが現実解だと感じました。
キャラクターの造詣を差し替えてほしかったが、余計に変な顔になり生成結果に思わず笑ってしまった
足りないフレーム問題を人が見極めて改善
私は動画生成のTipsや解説記事を一切見ずに、あえて自分の感覚だけで進めてみました。
非効率ではありましたが、「自分の頭で考えて動かす」感覚を確かめたかったからです。
その中でも印象に残っているのが、動画と動画の間を自然につなぐ方法を探していたときのことです。
AIで生成した動画は最長でも8秒ほどで、音楽の尺と合わずに足りない部分が出てしまいました。
そこで、前のシーンの最後の静止フレームと、次のシーンの最初の静止フレームをそれぞれリファレンス画像としてAIに読み込ませ、「この2枚の間を自然につながる映像を作って」と指示してみました。
すると、AIは前後の構図を理解し、被写体が滑らかに動いていくような映像を生成してくれました。

リファレンス画像を活用して、中間の映像を作成する
もしかしたら生成の世界では当たり前の手法かもしれません。
それでも、自分の発想で試し、試行錯誤しながら成功させた瞬間には、確かに人間らしい創造の実感がありました。
AIが描けない“間”や“つなぎ”を、人の感覚で補う――この体験は、生成ツールと向き合う中で最も印象的な学びでした。
AIは助けてくれるが、置き換えない
AIは、未知の領域に踏み出すときの“底上げ”をしてくれますし、専門知識がなくても、形にできる。頼もしい存在です。しかし、「どんな映像で何を伝えたいか」を決めるのは人間です。AIはあくまで道具であり、創造の主体は自分にある。この気付きが、今回の一番の成果でした。
まとめと未来
完成した動画を見返すと、細部のぎこちなさや表現の粗もあります。
それでも、「何もわからない状態からここまで作れた」という達成感は大きいです。
次は、先人たちの知見やTipsも参考にしながら、より精度の高い生成に挑戦してみたいと思います。
何もわからなくても、まず触ってみること。
それがAI時代のクリエイティブにおける第一歩だと感じました。
「AIを使う」のではなく、「AIと考える」。
今回の体験は、そんな未来への入り口だったのかもしれません。
ワークショップ紹介
大本よりメッセージ
音楽やアニメーションが、プロンプトの工夫がありつつも誰でも簡単に生成できる時代になりました。
今回のAIで動画作ることで、人にしかできない領域とAIに任せる部分が理解できたらと思います。そして、この動画でもあるように、ツール使いだけでなく、UXデザイナーやプロダクトデザイナーは、AIをベースにしたプロダクト開発をしなければなりません。
それを見つけるために、AI時代のUXデザインが重要になります。AIリテラシーを高め、ユーザーのニーズを知り、的確なプロダクトデザインの設計力を身に着けましょう。今こそ、真のUXデザイナーになる時です。
―― 大本あかね(UX DAYS TOKYO オーガナイザー)

