昨年12月に開催した「生成AI時代の価値のつくりかた」の読書会での学びを、2019年からAIを勉強し始めたエンジニア、かじしまが紹介します。
ChatGPTをはじめとする生成AIが登場した現在、私も技術調査、文書作成などでAIを便利に使っています。しかし、それだけで本当に価値を生み出せているのか、疑問を感じていました。
読書会では、AI活用の成否は「ユースケース選び」から始まる、という視点が印象的でした。効率化に留まらず、どうすれば価値創造につながるのかを考え直すきっかけになりました。
書籍では「すべてのビジネスでAI活用が必須の時代が到来した」と述べられており、価値あるAIの構築が成功の鍵だと強調されています。私自身、AIの本質を理解し、「価値創造へ使う」視点の転換に役立つ一冊だと感じました。
AIの「ネットスケープモーメント」とイノベーションの波
書籍の冒頭では「ネットスケープモーメント」が紹介されています。約30年前、ブラウザの登場でインターネットが一般化し、イノベーションが加速した現象です。
私も初めてブラウザを使ったとき、「PC=オタク」というイメージが大きく変わったことを覚えています。
AIも今、同じ局面にあります。技術の進化により、AIは社会やビジネスの形を根本から変える存在となりました。
書籍では「インターネットの波に乗り遅れた企業が衰退したように、AIの波に乗り遅れれば競争力を失う」と警鐘を鳴らしています。

+AIからAI+へ、シフトレフトからシフトライトへ
多くの企業が進める業務効率化やコスト削減は「+AI」と呼ばれますが、これだけで創出できる価値は限定的です。
対して「AI+」は、AIを活用して新しい価値を生み出すことを指します。
コスト削減(シフトレフト)で生まれた余力を、新たな価値創造(シフトライト)に振り向ける。これがAI活用の本質です。

書籍では、Kodakがフィルムに固執してデジタル化に乗り遅れた一方、Garminはナビからスポーツ・アウトドア領域へ展開し、AI+で価値を拡大した事例が紹介されていました。
もしKodakが「思い出を残す」というユーザー体験に焦点を当て続けていれば、デジタル化の波にも別の打ち手があったかもしれません。手段ではなく、ユーザーのやりたいことに(Jobs To Be Done)向き合うことがAI+の真髄です。

AI+のイメージを掴む難しさと価値創造
「AI×既存事業=新しい価値」と言葉にするのは簡単ですが、実践は容易ではありません。
読書会でも話題になりましたが、新しい価値創造は「コロンブスの卵」。方法を知ればシンプルに見えますが、そこに辿り着くまでが困難です。
ここで重要になるのが、ユーザーの「Jobs To Be Done」なのです。
単にAIを導入するのではなく、ユーザーが本当に成し遂げたいことは何か?を起点に考えること。この問いを続けることが、価値創造への第一歩です。
ユースケースの選択が価値創造の鍵
書籍では、価値創造者になるために以下の4点が重要だと述べられています。
- ユースケースの整理
- 適切なモデルの選択
- 社内独自のデータを活用
- ガバナンス
中でも重要なのが「ユースケースの整理」です。AI活用の目的は、技術導入ではなくビジネス課題の解決にあります。モデルやデータが良くても、ユースケースがズレていれば価値は生まれません。

以前の読書会「UX for AI」でも、AI導入失敗の大きな原因はユースケース選択の失敗だと体得しました。
サービス提供者は思い込みを捨て、ユーザーのJobs To Be Doneを把握し、正しいユースケースを選び取る必要があります。
ミッションステートメントと学ぶ文化が価値創造の土台
書籍では、AIが生み出す価値は20兆ドル規模になり得るとし、その道のりを「スキージャンプ」に例えています。いまは助走で、これから大きく飛べるフェーズに入る、という見立てです。
単なる効率化で終わらせず、新たな価値を生む“価値創造者”になるためには、変化を受け入れ学び続ける文化が不可欠です。
「価値創造はすぐに生まれるものではなく、ユーザーのJobs To Be Doneに向き合い続けることで生まれる」
この視点を持ち、適切なユースケースを選び抜くことこそが、これからのビジネスにおいて最も重要だと気づきました。
まとめ
- AIは社会変革の波:乗り遅れれば競争力を失う
- 「+AI」から「AI+」へ:効率化(ツール利用)から価値創造へ視点を転換する
- Jobs To Be Doneへの集中:ユーザーの本質的課題に向き合うことが成功の鍵
- 学び続ける文化:変化に対応できる組織だけが成長できる
AIをただ使うのではなく、「価値」を生むためにどう使うか。この本質を忘れずに実践していきたいと思います。

