「Java × AWS × アジャイルをベースに新しい技術を積極的に採用する技術者集団」株式会社アットウェアでエンジニアをされている菊池さんに UX DAYS TOKYO 2024のカンファレンス及び、ダン・サファー氏のワークショップ「ユーザーセントリックAIデザイン設計」での学びをシェアいただきました。
自己紹介をお願いいたします
アットウェアというシステム開発会社でエンジニアをしている菊池です。
普段はフロントおよびバックエンドのプログラムデザインから実装を中心に、チームの技術的リードのような役割で開発をしています。
開発プロセスに UX の考え方をどのように取り入れていくかに関心があり、以前コンテキストの理解と実践ワークショップやセルフユーザビリティテスト検定講座に参加したこともあり、今回のカンファレンスとワークショップに参加しました。
エンジニアもビジュアル化することの大切さに大きな共感を得た
UX DAYS TOKYO 2024の全てのセッションでそうでしたが、言語化と表現が上手だなと感じました。自身でもなんとなく「こんな感じ」と思っていること、普段感覚的にやっていることが言語化されることで自身の思考の整理、アップデートになることがありとても充実感を覚えました。
特に Evaさんのセッションはそれが強くありました。プログラミングを始め普段から頭の中やツールで情報の関係性、計算する内容、実装のプロセスなど、簡易的な絵を描きながら物事を図形的に把握、理解するようにしているのですが、その感覚的にしている行程が明文化されていくようでした。もちろんスケッチと合わせて、というのは言うまでもありません。
瞬間的な認識、関係の表現、そこに言葉でフレーミングをする、コンテキストを与えるなど、まさにスケッチすることに自分が感じていることが現れていました。
“スケッチ、描く = アート” のような先入観が、描くことにナーバスになってしまうこともあり、簡単な絵や図だけでも、コミュニケーションの円滑化、情報を伝えるためのスケッチとしても良いという同じ考えで、共感が大きかったです。
日頃の仕事でも後輩や周りの人に「プログラマはもっと思考をビジュアル化して描いたらいい」と伝えていますがこれからも言い続けて広めていきたいと感じることができました。
“知ったつもりになっている” ことをより “わかる” 機会が得られる場
普段思っている、考えていることが言語化されるカンファレンスに参加することで自身の思考のアップデートにもなりました。折角受講したカンファレンスです、単純に知識を得ることも大事ではありますが、それだけでなく “知ったつもりになっている” ことをより “わかる” 機会が得られる場だと感じることができました。
ダンさんのワークショップにも参加されましたが、参加動機は何ですか?
今後 AI を使って何か〜といったプロジェクトはどんどん増えていくだろうと思い、ダンさんのワークショップに参加しました。
実際に仕事で扱っていないこともあり、正直なところ、学べることを具体的にイメージできていませんでした。ただ単純に、ニュートラルに、得られるものを得ようというという感じで参加しました。
授業で何が得られましたか?
まず今の AI 関連プロジェクトの状況がどういうものかを把握することができました。AI に関しての情報は日本でも多く出ていますが、世界の視点での情報の捉え方を知ることができました。
そして実務に役立たせるためのワークショップのエクササイズでは、 AI を使おうとしていること、それが AI に向いているかの評価、 UX を踏まえたUI デザインをしました。
具体的なサービスやアプリのデザイン作業を通して AI を使ってデザインする際の考慮や思考が、これまでなんとなくだったものから論理的に述べられるものに変わっていく感覚が得られました。
1日だけのワークショップに参加しただけなのでまだ消化しきれていなかったり、実際の仕事ではプロジェクトに割けるリソース、機密情報や個人情報かどうかといった AI の入出力で扱えるデータの範囲など様々なことを考えることがあったりするので、ワークショップの内容をベースに知識と思考をアップデートしていければと考えています。
誰がこの授業を受けるべきだと感じましたか?
AI を使ってサービスをデザインする、もしくはその開発に関わる人は誰でも有益なワークショップだと思います。
単純にプロダクトを作るのではなく、ユーザーにどのような価値をどのように届けるかの思考回路を作っていく基礎ができると感じています。
今後、AI開発において、今回の学びを得ているのと得ていないのでは、どのような影響があると考えられますか?
今は “AI” がバズ状態なので、そこに安易に飛びつくのではなく、今回のようなワークショップで AI 技術をサービスに用いるための AI への向き合い方を一度改めておくと、 AI プロジェクトの90%が失敗とされる90%に入らないと感じました。
事前にこれらの内容が理解できたので、社内でも伝えていくことができれば失敗せずに済むと感じました。
仕事やチームにも依りますが、今回のワークショップの内容をそのまま実際の開発プロセスに取り入れることができると思います。特にサービスデザインの初期に AI を用いることの評価と判断は大事だと思います。
事案でも良くあるのが、AI を使うことが目的となってしまっているケースです。技術先行で進めても、それは本当にユーザに届けたい価値を生み出せない、誤ったプロダクトができあがると思います。
まずは “今の AI” がどのようなもので、どのようなことが得意で苦手で、サービスがどのような価値をユーザに届けたいか、これらをチームメンバー、顧客と共に評価し認識を共有することから始めるのがいいことを知ることができました。
これらも”なんとなくわかっている”だけでは良くないので、チームメンバーに言語化して伝えられたらと感じています。
アットウェアさんでは、どのようなUXデザイナーやメンバーを募集していますか?
アットウェアでは UX デザイナーとしてのポジションは募集していませんが、本質的な部分として “ユーザに価値を届ける” というところはエンジニア、プログラマ、 デザイナーなどの肩書きには依らないと思います。
開発では “誰かが” 考えるものではなく、携わる “誰もが” ユーザの価値を、その価値をどう上げていくかを考える必要があると考えます。このマインドが根底にある人を募集しています!