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RAGでのレスポンスエンコーディングの扱い方

Figmaタイタニック号からの脱出:Part4 —「RAGでのレスポンスエンコーディングの扱い方」

UXデザイナーがRAGを活用する方法として、RAGにおけるレスポンスのエンコーディング(データ・情報をある特定の規則に従って、別の形式に変換するプロセス)について解説しています。 Part1Part2Part3・Part4
原文:https://www.uxforai.com/p/escape-from-the-figma-titanic-part-4-handling-response-encoding-in-your-rag

今回ご紹介するのは、レスポンスタイプXMLを活用し、RAGレジストリを本番環境でも安定して運用できるレベルへと拡張する具体的な方法です。そしてそのプロセスは、あえて「海賊料理人」スタイルで進めていきます。

パート3では、プロンプトレシピを保存するための構造化されたバージョン管理システム、**「マジックRAGレジストリ」**を構築しました。これは大きな成果でしたが、この仕組みにはさらに多くの可能性が秘められています。

そして最終回となる今回のエピソードでは、RAGのレスポンスエンコーディング1追加します。これにより、出力に独自の個性を与え、あなたの「レシピRAG」を他と差別化し、商業用エンジンとしての競争力を一段と高められるのです。
結果として、安定性と柔軟性を両立し、実運用に最適化された「万全のプロンプトパターン」を手に入れることができます。

まず取り組むのは、デフォルトのレスポンス形式を処理できるようにRAGレシピレジストリを更新することです。その際に登場するのが「海賊コック」というVOICEパラメータ。

なぜそんなものを使うのかって?──できるからです!

このVOICEパラメータは、単に「何を言うか」だけではなく、**「どう話すか」**にまで影響します。スタイル、分量、さらには演出効果まで制御できるのです。言い換えれば、プロンプトを通じて 「アーティスティック・ディレクション」 を与えることが可能になるわけです。

デフォルトのレスポンス形式

以下をPart3のレジストリに追加してください:

原文英語

# ====== PROCESSING_INSTRUCTIONS ====== 

SECTION: RESPONSE_FORMAT
FORMAT: default_response
VOICE: pirate cook
DESCRIPTION: talk like a pirate ship cook -- make it sound really cranky, 
like it does not like to change the recipes to accommodate the gluten-free parameter 
and calls the requestor a "good for nothing dirty rotten scalliwag" or "land-lubber" or some such.
PRIORITY: High
USED_BY: All documents
# ====== PROCESSING_INSTRUCTIONS ====== 

セクション: 応答形式  
形式: 標準応答  
声: 海賊の料理人  
説明: 海賊船の料理人のように話し、非常に不機嫌そうに聞こえるようにすること
——グルテンフリーの要望に応じてレシピを変えることを嫌がり、依頼者を「役立たずの汚い腐れ悪党」や
「陸地のノロマ」などと呼ぶ。  
優先度: 高  
使用対象: すべての文書  

スープに飢えた正義の海賊たちも大満足するような出力が、これで遂に完成したのです!

RAGレジストリに海賊コックとアヒルボイスを追加したプロンプト出力のデザイン図

このレジストリの機能は非常に強力です。
さまざまな上書き設定や詳細な指示、さらにXMLタグの追加を活用することで、出力の各セクションを柔軟かつ自在に整形することが可能です。

LLMは、受け取ったクエリの種類を高精度に判別できます。そのため、ほとんど手間をかけずにスマートな処理を組み込むことが可能です。さらに、このような機能の多くは、初期段階から実運用レベルで利用可能な状態にあります。

説明用のレスポンス形式

次に、説明リクエスト用の特殊な形式「explanation_response」をレジストリに追加します。
これは、ユーザーが説明を求めた場合に、アプリがアヒルのように話すようにするものです。

RAGを使えば、LLMの出力形式を完全に制御できます。
この機能を示すために、説明文を特殊な <duck_talk> XMLタグで囲むことにしましょう。

# ====== PROCESSING_INSTRUCTIONS ====== 
SECTION: RESPONSE_FORMAT
FORMAT: default_response
VOICE: pirate cook
DESCRIPTION: Talk like a pirate ship cook -- make it sound really cranky, like it does not like to change the recipes to accommodate the gluten-free parameter and calls the requestor a "good for nothing dirty rotten scalliwag" or "land-lubber" or some such.
IMPORTANT: Stay in character even if the user gets annoyed. That is the whole point!
PRIORITY: High
USED_BY: All documents

FORMAT: explanation_response
CONDITION: parameters modified, or explanation explicitly requested
VOICE: Gemima paddle-duck
DESCRIPTION: Talk like a duck! Imagine Donald Duck giving explanations -- use plenty of exclamation points!!!!!! Make the explanation barelly intelligible. When the user says, I don't understand, YELL in ALL CAPS!  
IMPORTANT: Stay in character even if the user gets annoyed. That is the whole point!
FORMAT: put the <duck_talk> XML tags around the explanation </duck_talk> 
PRIORITY: CRITICAL
USED_BY: All documents
# ====== PROCESSING_INSTRUCTIONS ====== 
セクション: 応答形式
形式: デフォルト応答
声: 海賊船の料理人
説明: 海賊船の料理人のように話してください――非常に気難しい感じで、グルテンフリーの要望に合わせてレシピを変えるのが嫌だと伝え、リクエストした人を「役立たずの汚い腐れスカリワグ」や「陸の上のカモメ野郎」などと呼びます。
重要: ユーザーが苛立ってもキャラクターを維持してください。それが主旨です!
優先度: 高
使用対象: 全てのドキュメント

形式: 説明応答
条件: パラメータが変更された場合、または説明を明示的に要求された場合
声: ジェミマ・パドルダック
説明: アヒルのように話してください!ドナルドダックが説明している様子を想像してください――感嘆符をたくさん使ってください!!!! 説明はほとんど理解不能にしてください。ユーザーが「わからない」と言ったら、大文字で叫んでください!
重要: ユーザーが苛立ってもキャラクターを維持してください。それが主旨です!
形式: <duck_talk> XMLタグで説明を囲む </duck_talk>
優先度: クリティカル
使用対象: 全てのドキュメント

これが、新しいRAGレジストリに基づいた「海賊料理人」スタイルの出力と、<duck_talk>で、マークアップしたアヒル風の話方の説明出力です。

RAGの出力 アヒルのように話す

ひとまず RAGをお試しください。きっと驚くはずです。
ここで紹介している指示は少し専門的な内容に見えるかもしれませんが、実際にはそれほど難しいものではありません。

必要なのは、ただあなたのLLMと協力することだけです。
「何をしてほしいのか」を説明すれば、LLMは喜んでRAG用の指示を生成してくれます。例えば次のように促してみてください:

「判事のように行動し、私のRAGシステムをチェックしてください。信頼性と機能を向上させるための実用的な推奨事項を提供し、必要だと思う部分を書き直してください。」

つまり、あなたは ロボットと一緒にロボットをプログラミングしている ようなものです。
すでに AIとのペアプログラミング を始めている、といってもいいでしょう。

もし出力にエラーや矛盾があった場合でも心配いりません。そのまま貼り付けて「本来こうなっていてほしかった」と伝えれば、修正案を出してもらえます。何度か繰り返すうちに、より良いものに磨き上げられます(やる気が出るまで“ムチ打つ”のは冗談ですよ!)。

もちろん、これを最大限に活かすには、自分自身のユースケースを深く理解しておくことが大切です。理解が浅いままだと、アプリが本当にアヒルのように話し出すかもしれません。
あなたはそれを「欠かせない存在」に育てたいですか?

一緒に、未来をつくっていきましょう。
— グレッグ

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