UX DAYS TOKYO 2024 のカンファレンスに登壇したUXデザイナー、Aaron Walter（アーロン・ウォルター） 氏に、創造性を高めるための具体的な努力や行動についてインタビューを行いました。
カンファレンスでは、創造性を育むためには、集中できる環境と学びが不可欠であることが強調されました。ピクサーやアップルなどの革新的な方法論だけでなく、コメディグループ「モンティ・パイソン」のジョン・クリーズや、ミュージシャンの「OK Go」のような著名な文化人の考え方が紹介されました。プロダクトデザイン、音楽、執筆、アニメーション、演技、ファッションデザインなど、様々な分野において、個人やチームが創造性を発揮する事例が取り上げられました。
誰にも邪魔されない時間が創造性には必要
Q:日常での創造性を高める上で重要な要素は何だと思いますか？
（アーロン・ウォルター氏）：創造性を高める上で重要な要素の一つは、「1つの仕事に集中する」ことです。私たちはしばしば、複数の仕事を同時に行うため、頭の切り替えに時間がかかります。クリエイティブな作業を行う際には、「フロー」と呼ばれる集中状態に入る必要がありますが、外的な妨害があると、再び集中するのにかなりの時間がかかります。
したがって、時間と注意を妨害から守ることが不可欠です。たとえば、朝の集中できる時間帯にクリエイティブな仕事をするのは効果的です。さらに、昼食後も創造性が高まる時間帯とされています。
Q：どのようにして創造性を刺激する環境を作ることができますか？
（アーロン・ウォルター氏）：創造力は、常に自由で邪魔されない環境で最もよく発揮されます。シャワーを浴びているときや、犬を散歩させているときに創造的なアイデアが浮かぶのは、誰にも邪魔されない時間があるからです。自分の創造力を最大限に発揮できる時間と空間を見つけ、それを守ることが重要です。
歴史から視点や経験則を学ぶ
Q：若いUXデザイナーたちがデザインの歴史を知ることが重要だと強調されましたが、具体的にどのように努力すべきか教えてください。
（アーロン・ウォルター氏）：歴史を理解することは、私たちの生活に存在するものがどのように生まれ、何が成功し、何が失敗したのかを知る上で非常に重要です。私は年間約75冊の本を読み、これが私の知識を深める助けとなっています。たとえば、昨年初めて読んだ『フランケンシュタイン』は、現代のAIと深い関連があります。本を読んだり、映画を観たり、博物館を訪れることは、すべて創造性を刺激する可能性があります。
また、YouTubeは多様なデザイナーが作品を広める素晴らしいプラットフォームです。誰かが言及した本やアイデアを追いかけるように、常に好奇心を持ち続けることが重要です。過去の映画を観るのも良い方法です。たとえば、最近私は1930年代のバズビー・バークレーの映画を観ました。彼が描く水泳選手たちの花柄のような動きは、現代においても再解釈する価値があります。
まとめ「創造性のための継続的な調査」
アーロン氏のアプローチは、創造性を刺激する様々な方法を強調しています。彼は、日常生活の中で創意工夫を促進するための環境作りと、持続的な学びの重要性を説いています。彼の経験は、デザインのみならず、すべての創造的な職業に従事する人々にとって貴重な洞察を提供します。アーロン氏の話は、私たちが創造的な人生を追求するために必要なインスピレーションを与えてくれるでしょう。
スピーカー紹介
アーロン・ウォルター（Aaron Walter）
「Designing for Emotion」の著者として知られる著名なUXデザイナーです。2015年のUX DAYS TOKYOに初めて登壇し、2024年に再び登壇することとなりました。
アーロン氏は、Mailchimpの感謝画面で有名なチンパンジーデザインを手掛け、テスラのハリネズミ画面の原型も作り出したことで知られています。また、プロトタイピングツールを開発するInVisionの副社長を務めた経歴もあります。さらに、COVID-19の時期には、アフリカCDCや米国政府機関を支援するなど、公共機関向けのデザイン作業にも従事しました。
