TOP お知らせ UX DAYS 本編 組織の成長を加速させるOKRの極意

組織の成長を加速させるOKRの極意

本記事は、プロダクトマネージャーが利用する世界的に有名なツール「Prodpad」のブログで紹介されたものです。

プロダクトマネージャーやチームリーダーは、チーム全体の目標が不明確であったり、個々の進捗がバラバラだったりすると、全体で向かうべき方向を間違える可能性があります。また、目標をどのように測定し、成果に繋げるかも大きな課題です。OKRsはこれらの問題を解決し、目標達成に向けた一貫性と透明性を提供します。 Appleの目標設定も紹介していますので、参考にしてください。

原文:https://www.prodpad.com/glossary/okrs/

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Dan Collins(ダン・コリンズ)

OKRとは?

OKR(目標と主要な成果)は、組織やチームが目標達成に向けた進捗を測定し、改善を促進するための目標設定手法です。各目標(Objective)は「主要な成果(Key Results)」に分解され、チームがその進捗を簡単に評価できるようにします。実際のOKRの例を参考にすることで、自分自身のOKR作成にも役立てることができます。

OKRの基本概念は、会社が「北極星」と呼ばれるトップレベルの目標を設定し、チームがその達成にどのように貢献するかを決めることです。この方法は、従来の管理手法とは異なり、管理者がチームに目標を設定し、進捗を細かく管理する方式とは一線を画します。

OKRを正しく活用すれば、目標達成に向けた進捗を計測するツールとして機能し、チームが複数の目標を同時に達成できるよう支援します。この結果、プロダクトマネジメントのプロセス改善にもつながります。

また、OKRはチーム全体の知識を活用して目標を設定するため、目標達成に向けたギャップを自然に見つけ出し、解消できます。チームはより自律的に作業し、上層管理者や中間層に縛られることなく、目標達成に向けて効率的に取り組むことが可能です。北極星の責任は一人に限らず、チーム全体で共有し、協力して達成を目指します。

ProdPad's Ultimate Collection of Product OKR Examples

目標達成に向けた進捗を測定するのが目的

OKRやKPI(主要業績評価指標)など、進捗を測定するためのツールに名前を付けること自体は重要ではありません。大切なのは、それらがすべて組織の目標達成に向けた進捗を測定する手段であるという点です。数年後には、新たな略語が登場し、同じ目的を果たすかもしれません。しかし、名前にこだわることなく、OKRが果たす役割に焦点を当てることが重要です。

ビジョンとの整合性を保つ

OKRは、リーダーシップ、マネージャー、一般社員の間で、個人が達成すべき目標に対する透明性を促進することで、短期的な目標と長期的な目標設定の曖昧さを排除するのに役立ちます。

目標(Objective)と主要な成果(Key Results)は、四半期ごとの目標達成を目指して特定されるべきであり、これらは明確で測定可能であることが重要です。この透明性によって、全員が一貫して目標に向かって進み、戦略に対して責任を持つことが促されます。

目標(Objective)を設定するにはどうすればよいか?

まず、現在直面している最大の課題について考えましょう。

解決すべき問題は何かを特定し、その問題を解決するための目標を設定します。この目標は、測定可能で具体的でありながら、チーム内の複数のプロジェクトや取り組みに対応できるよう、ある程度の幅を持たせることが大切です。

次に、その取り組みが他の成果に繋がるかどうかを自問してみましょう。例えば、このプロジェクトが収益の増加、顧客のエンゲージメント向上、または従業員体験の改善につながるのであれば、その目標はビジョンと整合している良い兆候と言えます。

OKRの例

Appleの2016年の目標は2015年6月に発表され、その中には「小売店の数を15%増加させる」や「アクティブインストールを10億台から20億台に倍増させる」などが含まれていました。

これらのOKRは、収益を生み出す機会を創出するというプロダクト戦略に一致しており、目標をプロダクト(インストール数)に関連付けることで、戦略と一貫性を持たせています。また、対面での製品や既存顧客を通じて顧客満足度の向上にも注力していました。これらの目標は、同年の他の目標と関連付けて整理され、評価可能な形でグループ化されていました。

SaaS業界では、さまざまな共通のOKRが使用されています。

eコマース

あなたの製品がオンライン販売の成長に特化している場合、以下のようなOKRを設定すると良いでしょう。

  • コンバージョン率の向上
  • 平均注文額の増加
  • ショッピングカート放棄率の削減
  • 新規 vs リピーターのバランス改善
  • リピート購入率の向上

コンテンツ提供

コンテンツを活用してエンゲージメントや売上を促進したい場合、以下のOKRが役立つでしょう。

  • ページビュー数の増加
  • ペイウォールのコンバージョン率の向上
  • 広告のクリック率(CTR)の向上
  • サイト滞在時間の増加
  • 直帰率の削減
  • 記事のエンゲージメント向上

パイレート・メトリクス(Pirate Metrics)

顧客ファネルを管理する際に、「パイレーツ・メトリクス」を活用すると効果的です。この指標は、各ステージの頭文字をつなげると「AAARRR(アー)」と読めることから名付けられました。実際には、顧客がプロダクトやサービスを知る段階から、購入、継続利用、紹介、そして収益に至るまでのカスタマージャーニー を測定するフレームワークです。

  • Awareness(認知)
  • Acquisition(獲得)
  • Activation(活性化)
  • Retention(継続)
  • Referral(紹介)
  • Revenue(収益)

その他の指標

  • 潜在顧客数
  • 顧客獲得コスト(CPA)
  • エンゲージメント
  • 研究開発
  • パートナーシップ
  • コンプライアンス
  • 継続利用
  • エンタープライズ/高度な利用

OKRsの書き方

目標を設定する際には、会社が問題を解決している、または新しいことを実行しているかのように記述することが役立ちます。目標は、顧客の成功、価値の成長、従業員(および顧客)の満足度向上などに焦点を当てるべきですが、それが測定できるよう具体的である必要があります。

目標は、どのような改善が必要かを質的に説明する形で設定し、主要な成果(Key Results)と組み合わせることで、チームが自分たちの組織にとって重要な仕事に集中できるようになります。目標は、達成すべき内容を明確にし、プロダクト戦略の策定にも貢献します。

Appleの2016年の目標のように、「素晴らしいプロダクトをもっと作る」といった組織的なテーマを使うことは効果的です。曖昧な表現である「最高であること」よりも、具体的な目標の方が良い結果を生みます。目標は共有され、全員が参加できるように設定することが大切です。

目標は主観的であってはいけません。例えば、「最高であること」は具体性に欠け、測定が難しいため適切ではありません。目標を戦略に結びつけることで、目標は具体的で測定可能なものになり、実現可能なゴールとなります。例えば、「新しいユーザーのオンボーディング時間を短縮する」や「モジュールXに関するサポートチケットを減らす」といった目標に対して、「新しいユーザーのオンボーディング時間をQ3終了時までに7日以内にする」や「サポートチケットを100件から75件に減らす」といった主要な成果(Key Results)が付随することで、目標がより具体的になります。

通常、プロダクトチームごとに3〜5つの目標が最適です。それ以上多くなると、目標が曖昧になり、何が成功を意味するのかが不明確になってしまいます。

OKRの計測と評価

OKRは通常、四半期ごとに結果が計測されますが、目標達成までに影響を与えるのが難しい場合は長期的な期間を設定することも可能です。一方、すぐに成果が上がると予測できる場合は短期間に設定することもあります。どの期間を選んでも、進捗を記録し、成功または失敗を振り返ることが重要で、これが学びにつながります。

OKRは、チームへの目標伝達の手段としてよく利用されます。これにより、すべての目標が文脈に沿って優先順位をつけられ、重要度に基づいて行動計画が立てられます。また、必要な変化に影響を与えにくいアイデアを排除する際にも役立ちます。

会社のOKRとプロダクトOKRの違い


OKRは、会社レベルで設定されることもあれば、プロダクトのレベルで設定されることもあります。もし会社がプロダクトと同じレベルであれば、会社のOKRとプロダクトのOKRは本質的に同じであることもあります。しかし、プロダクトに関わる人々にとっては、サービス部門など、自分の担当外の他の目標が存在する場合もあります。

また、プロダクトやビジネスの種類によっては、特有の目標が設定されることもあります。

プロダクトマネジメントツール「ProdPad」の共同創業者であるJanna Bastow(ジャナ・バストウ)が、UX DAYS TOKYO 2025に出演します。イベントでは、記事で紹介した内容をさらに深く学ぶことができます。活字だけでは理解しきれないポイントも、リアルな場で直接学ぶことでより深い理解が得られるでしょう。

ワークショップのご案内

優先順位をつける行為は、無駄を省くリーン開発のベースになります。2025年3月30日には、リーン思考と、組織を成長させるためのOKR(目標と成果指標)のワークショップが開催されます。

優先順位の付け方のやり方をこの記事で理解できたとしても、オブザーバーがどのようにサポートするのか、また、剪定するのかの視点や考え方は、実際にワークしながら学ぶものです。ジャナ氏の考え方とレクチャーの仕方を1日で学びましょう!

プロダクトサクセスの設計図:リーンロードマップ×OKRで実現する組織変革
開催日時:2025年3月30日(日)9:00〜

BtoB人事業務アプリのコンサルタント→エンジニア→BtoCのWebディレクターを経て、再度BtoB業務アプリとなる物流プラットフォームのUIUXに挑戦。オンライン/オフライン双方でのBtoBUXを改善すべく奮闘中。

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