インタビューリサーチ


筆者注:この記事は、Erika Hallのワークショップの参考記事です。Erikaが自身のワークショップの参加者は事前に読むように勧めているものです。

ユーザーにインタビューをする目的は、あなたが作った物をユーザーがどう使うのか、ユーザーの使い方に影響するあらゆることを知るためです。良い聞き手になることは一つのスキルであって、練習が必要です。インタビューするには「話が上手くなくては。」というのは一昔前の思い込みです。

実際、良いインタビューを行うには、黙っていることのほうが肝心です。特にユーザーが夢中になっているときには、黙っているのがとても難しいことだったりします。

まず、インタビューの前に知っておかなければならないことは、インタビューアーは、自分の賢さを見せたい(バカだとは思われたくない)と思っています。そして、あなたはまだインタビューアーについて何も分かってはいません。まったく新しい、面白い題材、つまりその人について学んでいる最中なのです。

準備

「インタビューをしたい対象」と「何が知りたいか」を決め、自分のインタビューのガイドラインも作りましょう。
これはインタビューをする時にそばに置いておくメモで、トピックの中心から逸れることなく、必要とする情報を確実に得るためのものです。

インタビュー・ガイドラインに含むべきこと

  • 調査の簡単な説明、およびその目的。これは参加者と共有し、トピックの中心から話が脱線しないよう自分が覚えておくために使います。
  • 参加者の答えをコンテキスト(文脈)に据えるための、基本的または属性情報についての設問。これらはインタビューの目的によって変わってきますが、多くは、名前、性別、年齢、住んでいる場所、そして職種や役職名などです。
  • 参加者が話しやすいように、場を和ませたり、ウォームアップするための質問。いわゆる雑談と言われるものです。インタビューイー(interviewee: インタビューに答えてくれるユーザー)の属性情報を元に自由に話しましょう。
  • インタビューの主題となる設問やトピックス。

話題の対象となるトピックや人物について、その背景情報も少し集めておくべきです。

よく知らない分野の場合は、特にそうです。持ち家がある人に、どうやって住宅ローン斡旋会社を選んだかについては話を聞くのであれば、あらかじめ住宅ローンについて調べておきましょう。カスタマーサービスのトップに話を聞くときは?同様に前もってサポートフォーラムやよくある質問を読んでおきましょう。

インタビュー構成:緩やかにつながった3つの箱

1)イントロ

笑顔で自己紹介し、インタビューアーに、話をする時間を頂戴できたことについて心からの感謝を示します。(相手が高い謝礼をもらうとしてもそうですし、忙しい日々の仕事の中で時間を割いてくれるならなおさらです)。

会話とトピックの目的を説明しますが、答えに影響を与えないようにするために詳細は避けましょう。ここで得た情報がどのように使われ共有されるのかを説明します。会話を録音、録画することにきちんと許可を取るようにします。

プロセスについて質問があるか尋ねます。

確認する必要のある属性情報や事実の確認に進みます。ここで集めた情報をウォームアップの質問の基礎として使います。

「サンディエゴにお住みなんですね。そちらでは普段、なにかおもしろいことはありますか?」

2)インタビュー本題

最初の挨拶と雑談が終われば、本題に入っていきます。参加者が話の得意な人であれば、最初に直接ひとつ質問するだけで、知りたかった答えの全て、もしくはそれ以上の情報を得られるかもしれません。

この時、「はい」「いいえ」で答えられるような選択型の質問ではなく、相手が話しやすいような自由回答型の質問をしましょう。
(選択型質問:「マーケティング部門とはよくコミュニケーションを取っていますか?」 自由回答型質問:「お仕事の一環としてあなたがコミュニケーションを取る社内グループについてお教えください」)

インタビューアーがトピックについて十分な情報を提供してくれない場合は、「それについてもっとお聞かせください」といった、次に繋がるような、さらに情報を聞き出す質問を投げかけましょう。

話が最後までたどり着くために、話に間を取り入れましょう。沈黙は居心地の悪いものですが、それに慣れることで、会話の流れにおいて沈黙を急いで埋めることのないようにしましょう。

質問リストは、台本というよりはチェックリストとして使います。もしあなたが質問を一語一句を違わぬように読んだとすれば、機械的な記録調査のように聞こえてしまいます。

3)インタビューの結論

探していた、そして期待以上の情報を得ることが出来れば、スムーズに締めくくりに移行しましょう。
「質問は以上になります。今日お話ししていただいたことについて、何か他にお話されたいことはありますか?」などと聞いてみましょう。

時間を割いてもらったことに感謝を述べ、報酬やプロジェクトの次のステップなど、仕事の管理上の話があれば触れておきます。

もしインタビューの状況が生産性に乏しいと判断したら、恐れずに早めに切り上げましょう。時にインタビューアーが無口になったり、敵対してくることがあります。その場合は次のインタビューに進むことが最善策です。質問全てに答えてもらうまで粘らなくてはならないというルールなど、どこにもありません。ただし、最後までフレンドリーで丁寧な態度で接するように心がけましょう。

<h2>インタビューをコントロールする</h2>
インタビューをするあなた(インタビューアー)は、主催者と生徒の二役を演じます。うまくリードして、参加者にリラックスしてもらうことから始めましょう。参加者の居心地が良ければ良いほど、得られる情報はより多く良いものになります。リラックスしている参加者は心を開き、正直になり、良い印象を与えようと気に病まなくなります。

相手が話しやすいように自分のすべきことをした後は、邪魔をしないようにします。自分の存在感を失くすようにし、ニュートラルな姿勢で相手の言うことの全てを吸収します。

相手を世界の第一線の専門家であるかのように興味深くみましょう。トピックに引き戻したりはっきりさせる必要がある場合にのみ、自分自身を挟むようにします。言葉を挟める余地がないのに、全ての質問の答えを得られているような時は、インタビューが特にうまく進んでいるということです。

呼吸

ステージに上がっているような気になり、気付かない内に力がこもっていることはよくあります。緊張感は他の人にも伝播しますで、自然な呼吸するよう心がけ、リラックスして観察力を保てるようにしましょう。

アクティブリスニングの実践

呼吸するように「うんうん」「なるほど」など、興味を持っている時の声を出すようにします。面と向かってインタビューをする時は、しっかりと話し手を見て頷きましょう。答えが長引いたときなどは、特に関係の無い考えが頭に浮かんで来ることがあるかもしれません。気を張って相手に集中するようにしてください。

あいまいな答えに注意

詳細と具体性が必要です。「それはどうしてですか?」や「それについてもっと教えてください」といった、話を引き出す質問がいつでもできるように準備しておきましょう。

自分の話は避ける

時にアクティブリスニングから始まったものが、「私にも似たような経験がありまして…」に変わってしまうことがあります。インタビューはあなたやあなたの意見について話すものではありません。このことは覚えているのが難しく、そうならないためには練習を必要とします。話に自分を挟んでしまったことに気付いたら、焦らず会話を元の路線に戻しましょう。

手元チェックリスト

こちらの効果的なユーザー調査のためのチェックリストは、フィンランドのイノベーションファンドのSitraが運営するヘルシンキ・デザインラボのエスノグラフィー・フィールドガイドによるものです。(http://bkaprt.com/jer/10/):

  • 参加者が落ち着けるような温かい雰囲気を作り出す。
  • どんな時も話す以上に聞くようにする。
  • 自分が調べている人々の考えや行動を正確に伝えることに責任を持つ。
  • 自分が調べているトピックの自然なコンテキストで調査を行う。
  • それぞれのインタビューを目的の大まかな説明で始めるが、狭く答えにフォーカスしないように気を付ける。
  • 参加者に自身の考えを分かち合い、すべきことをしてもらえるようにする。
  • 誘導尋問や、はい/いいえ型回答の質問を避ける。事柄をより掘り下げる質問をする。
  • 前もってインタビューの質問のアウトラインを準備しておく。しかしそれから離れてしまうことを恐れない。
  • 可能な時はいつでも、興味深いものや行動の写真を撮る。
  • 参加者が使ったままのフレーズや語彙をメモしておく。
  • 録音、録画を止めた後、注意を払っておく。価値のある話が聞けることがある。

できるだけ自然な会話にするよう心がけましょう。
インタビューアーが質問すること無しに会話の流れでインタビューイーが自ら情報を出してくれれば素晴らしいことです。
インタビューアーの質問はただのきっかけで、それによりインタビューイーがインタビューアーが聞こうと思いもしかった状況や態度、行動などを明らかにする話を教えてくれることがあります。

会話の範囲を決めるに十分な情報を与えても、答えに影響を与えない程度にしておく必要があるでしょう。

インタビューの質問サンプル

以下はサンプルの質問です。
ミュージアムウェブサイトデザインの例に基づいていますが、必要に応じてアレンジしてください。

  • お仕事について教えてください。
  • あなたの生活の典型的な一週間がどのような感じか教えてください。
  • どのくらいの頻度でインターネットを使いますか?
  • どんなパソコンまたはデバイスを使いますか?
  • それらはそれぞれいつ使いますか?
  • そのうちのいずれかを共用していますか?
  • ネット上では通常何をしますか?
  • 休みの日には通常何をしますか?
  • 何をするかどうやって決めますか?
  • お子様はどのようにインターネットを使うか教えてください。
  • お子様と一緒に休みの日に何をするか、どうやって決めますか?
  • 仕事に関係の無いことで、特に興味のあることは何ですか?ニュース以外にネット上で何を読みますか?
  • ご自分の町の博物館へはどのくらいの頻度で行きますか?どの博物館に行きますか?
  • 行きたいと思わせるものは何ですか?

集めたデータの用法

インタビューは民族史学研究の基礎単位です。インタビューが終われば、それら全てを分析し、ユーザーニーズや優先順位、行動パターンやメンタルモデルを含んだテーマを見つけ出します。耳にした特定の言葉や単語をメモし、実際のインターフェースでユーザーの考え方や話し方をよりしっかり反映できるようにしましょう。もしあなたが生産力調査をしているなら、ニーズや行動をよく見て解決されるべき問題を指摘できるようにしましょう。ユーザータイプのクラスターを、あなたが取り組んでいる製品またはサービスに役立つペルソナに変えましょう。

出典Interviewin Humans:A List Apart

Satoshi Kikuchi

この記事を書いた人:Satoshi Kikuchi

UX DAYS TOKYO (代表)
見た目のデザインだけでなく、本質的な解決をするためにはコンサルティングが必要だと感じ、本格的なUXを学ぶため”NNG”に通いニールセンノーマンの資格を取得しました。業績が上がる実装をモットーにクライアントから喜ばれる仕事をしています。