スタッフの土田です。私は仕事で車のナビ開発を行っております。そんなこともあり、UX DAYS TOKYOスタッフのみんなでテスラのドライブテストを実施することにしました。
テスラにもVUIが備わっているので使ってみると、VUIではお馴染みのウェイクワード(Hi, Teslaなどの呼びかける小言葉)が、テスラにはありませんでした。ちなみに、日本の車のVUIは「Hi,***」がついています。
普段Amazon Alexaを使っている私は違和感があったのですが、なぜ、ウェイクワードがないのかを話していくにつれて、コンテキストを考慮してあえて搭載していないのだと気がつかされました。
コンテキストが変わるとVUI設計も変わる
VUIと聞くと、Amazon Alexaをはじめとしたスマートスピーカーを思い浮かべる人が多いでしょう。同じVUIを使っていても、スマートスピーカーと車ではユーザーのコンテキストが大きく異なることに改めて気がつくことができました。
スマートスピーカーは、リビングやキッチンで使うことを想定しています。一方で、車のVUIはドライバーが走行中に使用します。
スマートスピーカーを利用するときのコンテキストは、誰がいつ何時、話しかけるか不明です。そのため、「Alexa!」などのウェイクワードが必要となります。しかし、テスラのように車を走行中、メインで使用するのは手がふさがっているドライバーです。ドライバーはハンドルに常時手をかけているので、ハンドルにボイスボタンを設置すれば、ウェイクワードは不要です。ボタンを押して、要件だけを話しかけるVUIの設計が実現できています。
他にも、神戸市立須磨海浜水族園に展示されている「マゼランペンギン型解説システム」もコンテキストを考慮してVUI設計されています。
多くの人が集まる場で「Alexa!」などのウェイクワードで起動すると、周りの雑音を拾ってしまい、うまく言葉を認識することができません。そこで、ウェイクワードではなくボタンで起動する形式を採用し、メガホンに向かって話してもらうようにすることで、人混みの中でも言葉を認識できるようにしています。
当たり前を疑い、ユーザーのコンテキストの重要性を改めて感じた
今回のドライブで、新しいテクノロジーだと、全てを新しいもので実現しようとしたり、すでにあるスマートスピーカーの設計が当たり前だと思い、そのまま採用する思考になっていたと気がつくことができました。当たり前を疑い、サービスサファリやコンテキスチュアル・インクワエリでユーザーへの理解を深め、どうすれば使いやすいのかを常に考えてVUIを設計していきたいです。