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自治体のための情報設計

Brighton Hove City Council Website

2013年当時、イギリスの南東部のブライトン&ホブ市議会は、デジタル化へのアプローチを進めていました。政府のデジタルサービス事業に一部触発された部分もありますが、他の地方自治体と同様、中央政府からの予算が劇的に削減された中で、十分なサービスを提供する手段を探す必要があるためでした。

ブライトン市はウェブサイトの見直しに当たり、Clearleft(ブライトンのコンサルティングファーム)に協力を求めて連絡をしました。新しいサイトには、情報アーキテクチャー上でいくつか急ぎの対応が必要であり、また将来的にはClearleftの手を借りず自分たちででサイトのセクションをいかに再設計するか、その最善の方法を理解する戦略的アドバイスも必要としていました。

プロセス

市議会との話し合いの初期段階で、Clearleftはまったく異なる2つ​​の仕事があることに気づきました。

サイトの更新

最初の作業は、今後のサイト更新に合ったトップレベルの情報アーキテクチャと設計を開発することでした。

他の市議会では、コンテンツの膨大な選別を行い、時にはページの90%を削除することもあるようです。 Clearleftは、何十もある部署と共同作業をする時間がなかったので、プロジェクト内の膨大なページのすべてに取り組むことはできませんでした。そこで、サイト内のトップ2または3レベルに影響する設計だけを提案しました。

Clearleftは、コンテンツの監修、ユーザビリティに関するテスト、カードソートをおこないました。これを基に、サイトマップやワイヤーフレームの見直しも図りました。 また、デザイナーの空き時間を使って、ワイヤーフレームをしっかり検証したビジュアルデザインに変更しました。

リフレッシュされたサイトは、ブライトン市民に非常に好意的に受け入れられ、市民が探しているコンテンツを見つけるまでの時間も大幅に短縮することができました。

Brighton and Hove City Council

プロトタイプとロードマップ

もう1つのワークストリームは、サイト内で頻繁に使用される領域のためのプロトタイプを開発することでした。 プロトタイプの目的は2つありました。1つは、市議会に再設計のプロセスを説明し、それを後々市議会が自分たちでできるようにすること。そして、もう1つは、後からの作業をより効率化するために、インタフェース・パターンのライブラリーを提供することです。 Clearleftは、市議会のチームと非常に密接に関わり、確実に知識を伝え、またレシポンジブなプロトタイプによって他の部署にも今後の作業ができるようにしました。

市議会にはロードマップも必要でした。つまり、サイトのどのセクションを優先して再設計する必要があるか、将来的にやることをいかにして選定するか、 5年後にどうなっていたいかの目標と、その方法は何かといったことです。

Clearleftは戦略的な作業からプロセスを開始しました。KJ法を使って、市議会の幅広いウェブ編集者のグループと、どのようにサイトを改善できるかについて共通認識を深めました。それから、強制的にランク付けする方法を用いて、我々の作業を決めるにあたり、8つの異なる戦略目標に優先順位を付けました。

調査や初期ユーザビリティテストによって、市民たちの間では、それが簡単なものであれば、ウェブサイトを通したセルフサービスへのニーズが高いことが分かりました。そこで我々はプロトタイプの題材として駐車場を選びました。

現場のスタッフとのワークショップでは、市民が駐車場に関する問い合わせを市議会にするときの、質問やタスクを特定しました。 また、市民の理解と共感を築くために、彼らに駐車場オフィスのカウンターの中に入り、そこで直面する問題を聞いてもらうことにしました。たとえば、望んでいる製品の名前を知らなかったり、覚えていないといったような問題です。

駐車場に関連するウェブ設計上の問題の性質を発見することにより、ユーザーのさまざまな経験を想定して、「モバイルファースト」アプローチを使い、ブライトン市のチームとアイデアを形にしていきました。

その後、より詳細なインターフェースを描き、それに基づく半機能で、応答性のあるHTMLのプロトタイプを作成し、ユーザビリティテストの準備をしました。 また、さまざまな市民に携帯電話やノートパソコンを使ってテストしてもらい、 そのテスト結果を取り入れながらプロトタイプを繰り返し改善していきました。

clearleft whiteboard drawn human

最終的に、プロトタイプとパターンのライブラリを1つにまとめて、ブライトン市のスタッフが参照に使うことのできる特別仕様のサイトを作り上げました。

制作作業をした後には、ブライトン市のチームにできる限り多くのリソースを提供し、ウェブサイトに関する今後の無数の変更に対して、彼らが準備、対応できるようにしました。

Clearleftが学んだこと

市議会がサービス等を名付ける方法は、使いやすさに大きな影響を与えています(政府のガイドラインに基づいてなされることが多いのですが)。 使いやすさを得るために最も有効なことは、その呼び方を簡単し、市議会部署を中心とした従来のアプローチから、市民中心のアプローチにコンテンツを再構築することでした。

Clearleftはまた、英国の他の公共サービスが直面している課題についても理解を深めることができました。そして、利用可能なリソースをできるだけ効率的に使用する方法について、自分たちのアイデアを再確認することができました。

インパクト

市民の手助けができたことで、Clearleftとしても大変満足のいく結果となりました。

新しい設計によって、市民は作業完了までの時間を短縮でき、また、より多くの人が、多くの異なるデバイスからもアクセスできるようになりました。

Clearleftの作業結果は話題になり、市議会の上級職員や議員たちに、設計に対する我々のアジャイルアプローチというものを知ってもらう機会につながりました。

Clearleftは、市議会が今後数年間ですべてのデジタルサービスを改善していくに当っての、ロードマップの作成を手伝いました。その設計において、まず市民のニーズを優先することにより、説得力のある事例を作り上げ、サービス体験に対する市議会のアプローチを変化させたのです。

UX DAYS TOKYO (代表) 見た目のデザインだけでなく、本質的な解決をするためにはコンサルティングが必要だと感じ、本格的なUXを学ぶため”NNG”に通い日本人としてニールセンノーマンの資格を取得。 業績が上がる実装をモットーにクライアントから喜ばれる仕事をしています。

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