TOP デザイン・情報設計・UI デザインガイド デザインガイド5:情報アーキテクチャ

デザインガイド5:情報アーキテクチャ

Guide to design 第5章 情報アーキテクチャ

デジタルプロダクトの設計において、情報を整理する力がますます重要になっています。今回は、情報アーキテクチャ(Information Architecture, IA)がどのように私たちのプロダクト設計に影響を与え、どのようにそれを実践できるかを探ります。

私たちの周りの世界を整理する目に見える、そして見えない構造。お気に入りのスニーカーショップのウェブサイトのメニューから、オンラインで真実を探し出すために辿るべき道まで、情報はどのように整理されているのでしょうか?

デザインガイド 5の目標(ゴール)

情報の整理、優先順位付け、明確さがデジタル製品設計においてどれほど重要であるかを理解しましょう。

Upside down illustration of a person
イラスト:Michela Picchi

デザイナーとしては、自分が作った製品を使う人が、欲しい情報を迷わず見つけられるようにしたいと思うものです。

そこで重要になるのが情報アーキテクチャ(Information Architecture、IA)です。情報アーキテクチャとは、情報を構造化し、ユーザーが直感的に理解しやすくするための設計や整理の方法を指します。
たとえば、ウェブサイトやアプリにあふれる膨大な情報を、どのように整理し、優先順位をつけ、見やすく配置するか。その考え方や技術が、情報アーキテクチャです。
そして、この情報アーキテクチャを専門に考え、設計を担うのが情報アーキテクト(Information Architect、IA)です。ユーザーが必要な情報に迷わずたどり着けるように、情報の流れや構造を整える役割を果たしています。

とはいえ、すべての企業に情報アーキテクトがいるわけではありません。だからこそ、デザイナー自身が、製品の情報をどんな構造にすべきかを考える必要があります。
たとえば、アプリで人々にどのように操作してもらいたいのか?メニューの項目にはどんなラベルを付けるとわかりやすいのか?製品内のさまざまな要素の間に、どんな階層や関係性を持たせるべきか? こういったことを考えることが大切です。

“一見シンプルに見えることも、複雑に見えることもあるが、結局すべてのものは複雑だ”

Abby Covert

デザイナーがインターフェイスに加える変更は、企業の構造や内部のワークフローにも影響を与える可能性があります。新しいコンテンツ構造の提案は、今の会社の組織やチームの編成方法、カスタマーサポートのチャネル、社内の業務の流れにまで、新たな課題を投げかけることがあるかもしれません。

また、こうした決定は、社会全体にも波及する可能性があります。
たとえば、私たちの社会(訳注:特にアメリカ)では、遠隔医療サービス、ソーシャルアプリでのライブ配信、政府による国勢調査、バーチャルコンサートなど、さまざまな重要な社会的なやりとりが、どんどんデジタル空間へ移行しています。だからこそ、情報をどのように整理し、誰もが簡単にアクセスできるようにするかが、これまで以上に重要になっています。

では、こうした新しいデジタル空間を、私たちはどうやって誰もが迷わずに使えるように支援できるのでしょうか?人と人とのやり取りや、大勢の人に向けたコミュニケーションには、どんな形があるのでしょうか?

私たちのデザインは、ユーザーの日常にどんな影響を与えているのでしょうか。どんなサービスが、新しい体験を届けているのでしょうか。

たとえば、アプリのナビゲーションシステムのデザインなど、一見すると単純で小さな決断に見えるかもしれません。けれど、こうした決断が、誰かの一日に深い影響を与えることもあるのです。

Abstract shapes

デザインガイド5では、情報アーキテクチャの基本的な定義を見直し、それが歴史的にどのように私たちが使う製品に影響を与えてきたのかを学び、私たちが作成する製品に情報アーキテクチャをより戦術的に適用する方法を理解しましょう。

おすすめの本や記事

情報建築家(インフォメーション・アーキテクト)の第一人者アビー・コバートによる、「しっちゃかめっちゃか」への処方箋。あらゆるビジネスにおける問題解決のベースとなる〈情報設計〉のエッセンスを、7つのステップをたどりながらやさしく手ほどきします。錯綜した情報や複雑さに立ち向かい、それらを解きほぐして整頓するための考え方と心構えが身につく一冊。IA、UXデザイン、コンテンツ・ストラテジーへの最良の入門書です。(Amazonより引用)

アビー・コバート著。

お近くの図書館で借りるか、書店で買ってください。

2. 情報アーキテクチャの完全初心者ガイド(Complete beginner’s guide to information architecture)
UX Booth (15 分)

3. ナビゲーションと情報アーキテクチャの違い(The difference between information architecture and navigation)
Jen Cardello (6 分)

4. 情報と情報アーキテクチャ:全体像を紹介(Information and Information Architecture: The BIG Picture)
Carrie Webster (17 分)

5. タスクフローの作り方(How to Build a Task Flow)
Laura Klein (8 分)

6. 情報アーキテクチャの戦略的価値(The strategic value of information architecture)
Jorge Arango (2 分)

7. なぜUXにIAが重要なのか – 情報アーキテクチャの簡単な歴史(Why IA matters for UX — a brief history of information architecture)
Lucia Wang (4 分)

8. IA(情報アーキテクト)になりたい?(So you want to be an IA?)
Abby Covert (9 分)

おすすめ動画

1.選びやすくするには(How to make choosing easier)
Sheena Iyengar

2. アーキテクチャはどのように私たちをつなぐのか(How architecture can connect us)
Thom Mayne

深く考えてみよう

情報アーキテクチャを実践するとは、具体的にどんなことを意味するのでしょうか?もし同僚に説明するなら、どう伝えますか?

また、情報アーキテクチャは、あなたの日常生活にどんな形で活かされていますか?よく訪れる空間や、毎日使っているデジタルサービスは、どんな構造で成り立っているのでしょうか?

さらに、あなたが日常的に接しているコンテンツにはどんなものがありますか?
それぞれのコンテンツは、どんな形式で提供されていますか?(例:テキスト、ツイート、動画、音声、書籍など)
そして、それらのコンテンツは、どのように整理され、カテゴリー分けされているのでしょうか?

実際にやってみよう

この章の記事・書籍リストでは、情報アーキテクチャと、そのデザインの実践に深く浸透しているかについて、ほんの入り口を紹介しているに過ぎません。情報アーキテクチャが実際にどのように機能しているのかをより深く知りたいなら、関連する事例や、ガイドを探してみてください。

そして、ぜひ実際に手を動かして試してみましょう。たとえば、お気に入りのアプリの登録フローに含まれるステップを書き出してみるのも一つの方法です。練習を重ねるうちに、周囲の情報がどのように整理され、見せ方が工夫されているのか、自然と意識が向くようになっていくはずです。

次へ

デザインガイド6: ユーザーと対話する

本記事はUX CollectiveThe Guide To Designの翻訳です。配信元、または著者の許可を得て配信しています。
翻訳担当:池田茉莉花・推敲:森・監修:菊池聡

まずは言葉を覚えよう

「UX用語」のカテゴリー

UXを取り入れるためのマインドセット

「UX格言」の新着

UX格言 一覧

現場の声をリアルで届ける

動画で学ぶUX 「You X Tubo(ゆーえっくすつぼ)」の新着

You X Tubo(ゆーえっくすつぼ) 一覧