この記事はUX CollectiveのThe Guide To Designを翻訳転載したものです。配信元・著者の許諾のもと配信しています。
翻訳元記事:Chapter 6 Talking to users
ユーザーリサーチの重要性を、デザインした体験がニーズを満たしているか効果的に検証できるツールという側面から紹介します。
あなたはユーザーではない
ゴール
現実の問題を解決する製品を作るための、リサーチの重要性を理解する。
デジタルプロダクトのデザインを深く掘り下げていくと、ユーザーリサーチ、UXリサーチ、ユーザビリティ・テスト、ユーザー中心設計などの用語を目にするようになります。これらに共通しているのは、ユーザーをデザインプロセスに参加させることです。最終的には、実際の人々が使用する製品を作成していますが、多くの場合、これらの人々は私たちとは全く異なる考えや行動をしています。
ユーザーリサーチには2つの目的があります。1つ目は、正しいものをデザインしているかどうかを確認することで、2つ目は、デザインが正しくできているか確認することです。前者は、人々のニーズを理解し、ニーズを満たす機能を設計します。後者では、デザインが適切に機能しているかを確認し、使いやすいかどうかを評価します。それぞれジェネレーティブ・リサーチ(Generative Research)と評価リサーチ(Evaluation Research)と呼ばれることが多いです。
デザイナーやリサーチャーが洞察を得るための方法には、定性的な方法と定量的な方法があります。定性的な方法は、観察やインタビューから洞察を引き出すことに焦点を当てたもので、定量的な方法は、数値データで物事を測定することに焦点を当てたものです。
- ユーザーインタビュー:ユーザーの習慣を理解するために、インタビューをしてカジュアルな会話をする。
- ユーザビリティ・テスト:ユーザーと一緒に座って、タスクをうまく完了できるかどうかを確認するために、デザインを見てもらう。
- アンケート:フォームへのリンクを送って、回答してもらう。
- A/Bテスト:画面やフローの2つのバージョンを設計し、それぞれのバージョンを個別にテストして比較する。
これらは、ユーザーリサーチを形にするためのいくつかの方法に過ぎず、デザイナーとしてのキャリアが進むにつれて、それぞれの方法を学び、実際のユーザーと練習する時間が必要になります。最も重要なのは、どの手法をいつ使うかを理解することです。ユーザーリサーチは、あなたやあなたのチームが持っている質問や仮説に答えることがすべてです。リサーチ目標を達成するのに役立つ手法が選べるかは、デザイナーのあなたの手腕にかかっています。
記事・書籍リスト
- Just Enough Research(翻訳版なし)
良いリサーチとは、より良い質問をして、その答えを批判的に考えることです。
エリカ・ホール著
書籍 Just Enough ResearchはA Book Apartにて電子書籍が購入できます。
書評:凄腕エンジニアが紹介する書籍から見るエリカホール像 | UX TIMES
2. UXデザインリサーチの短期集中講座(A crash course in UX design research)
Matt Lavoie (15 分)
3. UXリサーチフィールドガイド(UX research field guide)
Quintin Carlson (35 分)
4. UXリサーチャーになるには:私の独学経験(Beco分g a UX researcher: my experience and things I’ve learned along the way)
Tatiana Vlahovic (6 分)
5. 倫理と権力:UX研究における恥の役割の理解(Ethics & power: understanding the role of shame in UX research)
Vivianne Castillo (6 分)
6. 問題のデザインをしないとどうなるか(What happens when you don’t design for the problem)
Mallory Kim (6 分)
7. どのUX手法を使うべきか?(Which UX research methodology should you use?)
Nikki Anderson (5 分)
8. 競合分析は方法であり、解決策ではない(Competitive analysis is a method, not a solution)
Caio Braga (6 分)
動画リスト
1. デザインの第一の秘訣は…気づくこと(The first secret to design is… noticing)
Tony Fadell
2. 人間中心設計(Human-centered design)
David Kelley
3. 自己否定のサイレン(The siren call of self-neglect)
Vivianne Castillo
深く考えてみよう
デザイン業務で、リサーチの役割は何でしょうか?
プロジェクトのどの段階で使うべきだと思いますか?
リサーチのプロセスに自分がどのように関わっていると考えていますか?
あなたは自分をモデレーター/ファシリテーターだと思いますか?
そのためには、どのようなスキルを身につける必要があると思いますか?
記事・書籍リストで読んだものに基づいて、定量的調査と定性的調査の適切なバランスとは何でしょうか?それぞれの長所と短所とは?
事例紹介
人々が何を必要としているのかを理解することは、どんなデザインの仕事でも出発点になります。良いデザインの事例は、良いリサーチの事例になります。研究や発見に焦点を当てたプロジェクトについて読むことができますし、研究セッションを最大限に活用するためのヒントやガイドを学ぶことができますし、リサーチャーの1週間の働き方がどのように見えるかを見ることができます。
次に事例を見たときは、自分自身に問いかけてみてください。
- デザイナーはどのようなリサーチ手法を使ったのか、その理由は何か?
- 問題についてのデザイナーの個人的な予測と、ユーザーから得られた洞察の差は何だったのか?
- デザイナーはどのように、リサーチからの洞察を最終的な解決策に落とし込んだか?
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この記事はUX CollectiveのThe Guide To Designを翻訳転載したものです。配信元または著者の許可を得て配信しています。
翻訳担当:池田茉莉花 (Marika Ikeda)
監修:菊池聡 (Satoshi Kikuchi)