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海外カンファレンス参加の費用はいくら?

皆さん、はじめまして。

私は、鈴木尚栄(すずきなおよし)と申します。
愛知県を拠点に、フリーでWebサイト・システム構築に従事をしています。

今回、UX DAYS TOKYO 2016に参加したいと考える方、あるいは参加予定の方に向けて、寄稿させてもらうことになりました。
私がインターネット上のメディアやイベントに寄稿するのは初めてです。
私が今までに、いくつものイベントに参加者として参加した経験がお役に立てるのでしたら幸いです。

さて、今回は海外の『インターネット関係のイベント(カンファレンス、ワークショップ)に参加するのにいくら必要なのか?』をお伝えします。

日本円換算の発生費用はいくらか?

海外カンファレンスの構成は、カンファレンスのみ、カンファレンスとワークショップ、ワークショップのみと3種類になります。
開催日数は1〜5日間が大部分です。
例として、主催者がUX DAYS TOKYO 2015の初開催にあたり参考にしたUX Londonなら、カンファレンスのみで3日間です。

イベントの料金はイベントによって違いますが、英語圏のイベントなら、交通費宿泊費で20万円前後、イベント費用で10〜15万円前後はかかります。
早割やクーポンコード(割引コード)が設定されていることが多いので、イベント費用を一般価格より数万円を節約できる場合があります。

個人にしたら、清水(きよみず)の舞台から飛び降りるような費用に感じるかもしれません。
法人・組織にしたら、一度の社員教育費では高すぎないかと感じるかもしれません。
まず海外に行くには、交通費宿泊費だけで費用がかかるのは不可避なことです。

今回、世界トップクラスのUX関係の演者が東京に来て講演、ワークショップを行います。
海外に行く時に発生するいろいろな手続、準備、所要時間、費用を考えれば、元が大いに取れます。

私が参加したことのある海外のイベントとは?

私が今まで参加したイベントは下記の4つです。

(1) CSS Dev Conf 2012
Webサイト:http://2012.cssdevconf.com

In Control Conference 2012
Webサイト:消失
Lanyrd: http://lanyrd.com/2012/in-control-honolulu/

時期:2012年12月
場所:ホノルル
※2つは同じ場所で連続開催

夕焼けのワイキキビーチ

夕焼けのワイキキビーチ

会場内のイベント案内板

会場内のイベント案内板

会場となったホテルの内観

会場となったホテルの内観

(2) Web Direction Respond 14
Webサイト:http://www.webdirections.org/respond2014/

時期:2014年2月
場所:シドニー

オペラハウス

オペラハウス

会場外観

会場外観

会場内のイベント案内板

会場内のイベント案内板

(3) UX Immersion Mobile Conference 2014
Webサイト:https://uxim14.uie.com

時期:2014年4月
場所:デンバー

コロラド州会議事堂

コロラド州会議事堂

会場内のイベント案内板

会場内のイベント案内板

会場内観

会場内観

海外に行ってまで勉強する理由とは?

(1)収益を大きく上げたいから

個人、法人・組織でも、一度は「誰よりも大きな仕事をしたい!いい仕事をしたい!」と考えるものです。私は常にこう考えます。
その仕事をやるからには相応の資質があるのか、仕事の依頼者は当然厳しく見てきます。

個人という立場で言わせてもらうなら、法人という信用がないので、自分という商品価値を高め、商人として顧客に高く売り込むしかありません。
価値の高低は、知識、経験、技能、知恵がどれだけ自分にあるかにかかります。
飛躍的にこれらの量を増やし質を高める契機として、海外に行って勉強することはまたとない機会です。

自分が見聞し経験したことを仕事で顧客に還元し、仕事の高い対価をいただき、顧客の事業や活動がうまくいくのなら、職業冥利でしょう。

(2)自分が知らない外の世界を把握する契機になるから

皆さんに考えていただきたいことがあります。
「将来に海外の案件に参画ないし協業する状況となった時、自分の志向や注意を日本だけに向けていたらどうなるのか?案件に対応できるのか?」です。

和食のユネスコ無形文化遺産への登録、伊勢志摩サミットの開催、東京五輪開催といった出来事により、訪日外国人の数の増加、日本に対する関心が世界中で高まっています。
また、世界の国の中では、日本人と事業や仕事がしたい、日本人に来て欲しいと願っている政府関係者、ビジネスパーソンが存在します。
日本における経済活動基盤の縮小傾向、昨今の状況を踏まえると、日本人が海外の案件に参画する、海外の人と協業するのが必然になります。
IT、インターネット業界とて例外ではありません。

日本人が主催する日本人だけのイベントだけに参加していたら、どうしても内向的になりがちです。
Google I/OApple Worldwide Developers ConferenceSXSWといった、日本ではまず行われないような一大イベントに参加した場合、自分の枠は否が応でも外れます。
自分の考え、既成概念、先入観がガラリと変わる契機にもなりえます。

海外のイベントに参加して、情報収集や動向を探ること、多種多様な考えに触れること、違った雰囲気を感じることは、自分が知らない外の世界を把握する絶好の契機になります。

(3) 情報格差や知識格差をなくしたいため

2005年前後から情報格差、2012年あたりから知識格差が表面化しています。
情報や知識の格差によって、人々の間で教育や収入の格差に直結することです。
現に、日本人のIT関係の労働者と英語圏のIT関係の労働者では、英語圏の労働者のほうが年収が総じて上な傾向となっています。

日本語話者が1億人、英語話者(母語、第2・第3言語としての話者)はその10倍以上です。
日本と海外とでは、情報量の差、議論の量の差は歴然です。
インターネット上なら、個人ブログ、コミュニティ、大手メディア(Smashing MagazineA List Apartなど)で15年以上に渡り、活発な意見交換がされています。
普段の仕事や生活で時間が限られる中で、日本人が英語の情報に触れること自体の障壁(言葉の壁、民族性)があり、情報を追うことはとても気力が必要です。
日本ならではの不利な状況が生み出す、情報格差や知識格差を無くす必要があるはずです。

海外のイベントとは、日々の議論を通して、集約や洗練された考えが集まる場所です。
演者の発表では、主張の背景にある歴史、文化、思想が説明され、他者の発言や著書から重要な箇所が引用されます。
演者や参加者はいろいろな背景を持った人が集まるので、自分が知らない分野の情報を知る機会にもなります。

海外のイベントに参加すると、自分が知らなかったことを知る、膨大な情報収集にかかる時間とエネルギーの省力化ができます。それが一度でなしえるのなら、安い買い物だと思いませんか。

海外カンファレンス参加できついこと

(1)英語の理解

日本語の同時通訳や逐次通訳はいませんので、本場の土俵で戦うことになります。
イベントは全て英語で行うので、英語に不慣れだと頭が熱くなるくらい痛くなります。
それこそ、頭を冷やすために水分の摂取が進みます。

一方、英語の会話や理解ができるのなら、参加者や演者と直接いろいろと話せるまたとない機会です。一度は会いたいと憧れる演者が目の前にいるので、自分の願望を達成できます。
また、日本から遠路はるばる参加したことに、イベント主催や参加者から歓迎されることが多いです。

(2) 出費

参加費用については上述したとおりですが、為替相場の動向で日本円換算が左右されます。
円安ならが多くかかり、円高なら安くなります。
私は円高の時に行きたいですよ。(苦笑)

主催者にとって、イベント開催の場の選択は大事なことです。
場というのはなかなか侮れないもので、どこを選ぶかでイベントの質の決定、イベントの成否にも直結します。
イベントによりますが、都市の中心部にある高級宿泊施設、リゾート地が選定され、宿泊とイベントが同じ施設内で行われる事が多いです。
イベント会場の周囲に他に安い宿泊施設がない、あるいは高級な宿泊施設ばかりの場合は、少しでも出費を抑えたい人には辛いでしょう。

一方で、イベント主催者と宿泊施設が提携して、申込期限ありでイベント開催期間中に宿泊料金が割引になることがあります。
割引を適用できたら、普段はなかなか経験することができない高級宿泊施設を経験することができます。

(3) 精神的な戦い

海外に行くことは、普段いる場所とは違う環境に行くことになります。
言葉や意思疎通の問題はもちろん、旅行中に発生するいろいろな問題は、自分で解決しないといけません。

帰国するまでは、自分の命への危害、物品の盗難を避けるなど、最大限の注意が必要です。
いつ何が起こっても変なことではなく、まさかなことが潜んでいるので、精神的な戦いは意外ときついです。

私自身、UX Immersion Mobile Conference 2014に行く旅中で、心労する経験をしました。
まず、中部国際空港から成田に行く便が、直前の運行航路での雪による機材遅れで出発時間が遅延しました。
そのため、成田でデンバー直行便に定刻に乗ることができず、運行会社の手配により、サンフランシスコ経由で行くことになりました。
サンフランシスコ国際空港に到着したものの、今度はデンバーへの乗り換え便が機材不良で当初の出発時刻から数時間遅れ、デンバー国際空港に到着したのが夜でした。
空港からデンバー市中心部まで距離がありますので、バスに乗車して1時間・・・。
会場のホテルにようやく到着しました。
到着した時、「ああ。やっと着いたか・・・!」と安堵すると同時に、度重なるまさかに我慢していた精神的な疲労がどっと出ました。

旅中に何の問題もなく行けることは理想であり、そう思うのが人情でしょう。
旅行ならではの問題のきつさは、実際に経験しないとわかりません。
問題に直面した時は精神的にきついですが、乗り越えた時は自分を1つ成長させる材料です。

参加する価値は何か?

(1) 自分で取りに行く行動の価値を上げる

自分が必要とする情報や技術は、自分で取りに行くものだと私は考えます。

取りに行く場所が日本国内なら誰でもできます。
なかなか行く機会がない英語圏の海外だから、自分が出向いた時の価値は計り知れません。
イベントでは日本人の参加者が皆無なことが多い中で、自分で考え疑問を質問し回答を得るという経験は、なかなかできることではありません。

イベントの登壇者は、イベント主催者によってテーマに沿って厳選されていますので、質は保証されています。
自分が参加したいと思うイベント、会いたい話したいと思う演者が登場するイベントを選んで行けば、自分が自ら参加した価値は何物にも代えがたいものです。

(2) 自分教育、社員教育として価値ある機会になる

人への投資は、仕事をやる上でとても重要なことです。どの業界、業種でもいえます。
インターネット業界なら動向の移り変わりが早く、常に研鑽、新陳代謝が必要です。
人への投資をするかどうかで、個人や法人の間で情報格差や知識格差が広がっています。
今では、法人よりも個人がいろいろなことを知っている場合、仕事で対応できることが多い場合も出てきています。

日本で知ること、学べることの範囲でいいじゃないかと考えるかもしれません。
しかし、日本に入ってくる情報は、全体の情報のわずかであることが多いです。
分母の多さがある海外で、生の情報を1つでも多く仕入れる優位性は動かしようがありません。

日本で考えや技術が普及するのが海外から数年遅れという状況を逆手に取れば、海外で学んだことを仕事上で活かせば、先行者利益を得られるわけであります。
先行して試行錯誤を重ねて実績を作れば、自ずと結果はついてきます。

個人としてなら、英語が理解できるのであれば、何か1つ参加するだけでも違います。
法人としてなら、一人でも英語がわかる社員がいればイベントに行かせて、社内に持ち帰り、社内で情報共有ができます。

(3) 第1歩を踏み出すことへの価値がある

なんでもそうですが、自分が今までやったことがないことをやる前、行ったことがない場所に行く前で、第1歩を踏み出すまでに心的な葛藤があります。
この第1歩を踏み出すことに、大いなる価値があります。
1歩を踏み出せば、2歩3歩は自ずとできるようになります。
海外旅行がまさにそうです。

私もかつては、第1歩が踏み出せませんでした。
旅行で海外に行ったことがありましたが、海外留学経験なしで、英語が上手ではなく単独で海外のインターネット関係のイベントに出かけるなんて、ありえませんでした。

私が海外のイベントに触れるきっかけとなったのは、Web Directons East 2008でした。
参加するまでは、海外で有名なイベントや演者は無知でしたが、このイベントに参加したことで、私の考えは大きく変わりました。
「自分はいかに狭い世界でしか生きていなかったんだ?」という強い衝撃さえ受けました。

Web Directons East 20092010と参加することで海外に行きたいと思うようになり、「Web Directons Eastに頼るのはなく、自分で行きたいと思う海外のイベントに行けばいいんだ!」という思いに変化しました。

そして自分で探して、今まで一度も行ったことがなかったホノルルで、CSS Dev Conf 2012とIn Control Conference 2012が開催されることがわかり、実際に行きました。
行ったら凄く歓迎され、高名な演者諸氏と直接話す機会に恵まれました。
この時の経験は、私にとって何物にも変えられない一生ものの価値になるでしょう。

以上、いかがでしたか。
海外のイベントは料金はかかりますが、代わりに得られるものも大きいです。
UX関係のイベントは、海外でたくさん行われています。
日本にいるのは非常にもったいないです。機会損失です。
UX DAYS TOKYOへの参加を契機として、皆さん越境をしましょう!

UX DAYS TOKYO (代表) 見た目のデザインだけでなく、本質的な解決をするためにはコンサルティングが必要だと感じ、本格的なUXを学ぶため”NNG”に通いニールセンノーマンの資格を取得。 業績が上がる実装をモットーにクライアントから喜ばれる仕事をしています。

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