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重要なことにフォーカスできるタイムマネジメント術

本記事は、プロダクトマネージャーが愛用する、世界で評価されたツール「Prodpad」のブログ記事の翻訳です。Prodpad創業者のJanna Bastow氏の 組織変革ワークショップの予習として活用しましょう。

プロダクトの成功を左右する鍵は、リソースの活用方法にあります。限られたリソースで何を実行するのか、優先順位が成功のポイントとなります。

原文:https://www.prodpad.com/glossary/eisenhower-matrix/

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Dan Collins(ダン・コリンズ)

アイゼンハワー・マトリックスとは何ですか?

アイゼンハワー・マトリックス(Eisenhower Matrix)は、タスクの優先順位を明確にするためのフレームワークです。どのタスクが「最も重要かつ緊急」なのか、また「それほど重要ではないが緊急」なのか、さらには「重要でも緊急でもないため後回しにしてもよい」のかを分類します。

このシンプルな意思決定ツールは、プロダクトのバックログを整理するというよりも、プロダクトマネージャーとしてのタスクの優先順位付けに役立ちます。また、このマトリックスを活用することで、他の優先順位付けフレームワークを試す時間を確保することも期待できます。

ビジネスシーンで広く使われているこのタイムマネジメント・マトリックスは、2×2のボックスを用いてタスクを評価し、効率的に整理するためのツールです。

なぜ「アイゼンハワー・マトリックス」と呼ばれるのですか?

アイゼンハワー・マトリックスは、元アメリカ大統領ドワイト・D・アイゼンハワーが用いたとされる時間管理術にちなんで名付けられたフレームワークです。実際に彼がこのマトリックスそのものを使っていたわけではありませんが、スティーブン・コヴィーが1990年に著した『7つの習慣』で、その方法からヒントを得たとされています。

アイゼンハワーは、アメリカ陸軍の将軍として第二次世界大戦中に欧州の連合軍最高司令官を務め、後にNATO初代最高司令官を経て、アメリカ第34代大統領となりました。このような高いプレッシャーのかかる地位にあった彼は、日々の膨大なタスクを効果的に管理する必要がありました。

1954年のスピーチでは、次のような言葉を残しています:

「私には2種類の問題があります――緊急なものと重要なものです。緊急なものは重要ではなく、重要なものは決して緊急ではありません」

彼は緊急だが重要でない事柄が、自分の時間を奪うことを許さなかったとされています。

アイゼンハワー・マトリックスは、別名「アイゼンハワー・ボックス」や「緊急-重要マトリックス」とも呼ばれています。

アイゼンハワーマトリックスはどのように機能しますか?

アイゼンハワー・マトリックスは、タスクを「緊急度」と「重要度」で分類し、優先順位を明確にするタイムマネジメント・マトリックスです。4つの象限にタスクを分ける構造になっており、それぞれ

  • 緊急かつ重要
  • 緊急ではないが重要
  • 緊急だが重要ではない
  • 緊急でも重要でもない

のいずれかに振り分けます。マトリックスを活用することで、本当に重要なタスクに集中しつつ、日々の業務や長期的な目標を緊急度に応じて優先順位付けできるようになり、より効果的に時間を管理できます。

独自のアイゼンハワー・マトリックスを作成するには、まず最初に下の画像のような4象限のマトリックスを描きましょう。ホワイトボードやデジタルのホワイトボードツール(紙でもOK)を使うと、タスクを書き出してすぐに対応する象限に振り分けやすくなります。

アイゼンハワーマトリクス

次に、書き出したタスクを見直し、それぞれがどのカテゴリー(緊急度/重要度)に当てはまるかを決めて、該当する象限へ割り当ててください。これにより、どのタスクが時間の制約が大きいか、どれが重要で長期的に取り組むべきか、そしてどれをやることリストから外しても問題がないかを判断しやすくなります。

各象限に入れるタスクの数は、8~10個程度を目安にしましょう。特に「Do(行う)」の象限には、あまり多くのタスクを詰め込みすぎないように注意が必要です。もし制限を超えるほどタスクが増えた場合は、新しいタスクを追加する前に、既存のタスクをまず片付けるようにしましょう。

第一象限:緊急かつ重要 – DO(すぐに実行する)

第1象限は、重要かつ緊急で、直ちに対処すべきタスクを分類するためのものです。これには、顧客からの緊急要望やプロジェクトの締め切り、解決が急務の重大な問題などが含まれます。これらは最優先で対応しなければなりません。

第二象限:重要だが緊急ではない – DECIDE(実行を計画する)

第2象限は、重要だが緊急ではないタスクを分類するためのものです。これらのタスクは、後でスケジュールに組み込むことが可能で、長期的な成功につながります。具体的には、長期的なプロジェクトの計画、スキルの向上、人間関係の構築など、計画や準備が必要な活動が含まれます。

第三象限:緊急だが重要ではない – DELEGATE(誰かに委任する)

第3象限は、緊急だが重要ではないタスクを分類するためのものです。これらは、委任やアウトソースを検討すべきタスクで、通常は日常的なメールや電話対応などが該当します。直ちに対処が必要に見えるものの、他の人でも処理可能な低優先度のタスクです。

第四象限:緊急でも重要でもない – DELETE(やることから消す)

第4象限は、緊急でも重要でもないアクティビティを分類する場所です。これらのタスクは削除するか後回しにして構いません。重要な目標の達成に貢献しないため、時間を無駄にする原因となります。不要なタスクを減らすことで、より有効に時間を活用できるようになります。

アイゼンハワー・マトリックスの活用ガイド

もしはじめて「アイゼンハワー・マトリックス」を試す場合、以下のシンプルな手順に従います。

  1. 完了しなければならない全てのタスクやアクティビティを書き出す。
  2. 重要度と緊急度に基づいてタスクを分類する。
  3. アイゼンハワー・マトリックスを使ってタスクを4つの象限に優先順位付けする:
    • 重要かつ緊急
    • 重要だが緊急ではない
    • 緊急だが重要ではない
    • 重要でも緊急でもない
  4. 第1象限のタスクを最優先で完了させる。
  5. 第2象限のタスクは、後で完了できるようにスケジュールを組む。
  6. 第3象限のタスクは可能であれば他人に委任する。
  7. 第4象限のタスクは排除するか最小限に抑える。
  8. タスクや優先順位が変化するたびに、定期的にアイゼンハワー・マトリックスを見直し、更新する。

最後のステップが最も重要です。変化する状況に柔軟に対応しながら、常に最も重要で緊急なタスクに集中できるようになります。状況が変わった際には、タスクを別の象限に移すことも必要です。適宜見直しを行い、最適な判断を下しましょう。

最適にアイゼンハワー・マトリックスを使うヒント

タイムマネジメント・マトリックスを作成することは効果的な第一歩ですが、それ自体が難しい決断を代わりにしてくれるわけではありません。第2〜第4象限にあるタスクを適切に委任したり、時間を割り当てたり、思い切ってやることリストから外すことで、より効果的に管理する必要があります。

また、「Do(第1象限)」のタスクを減らすことが重要です。そうすることで、本当に重要なタスクに集中できるようになります。もし第1象限にタスクが溜まりすぎると、時間を効率的に管理するどころか、常に緊急対応に追われ、ストレスが増してしまいます。

このマトリックスは、仕事だけでなく日常生活にも応用できます。仕事用と個人用でそれぞれ作成するのも良いですが、仕事とプライベートを一体的に管理することで、より高い効果が期待できます。これにより、職業上の目標にとらわれすぎることなく、自分にとって本当に大切なことに時間を割くことができ、燃え尽き症候群の予防にもつながるでしょう。

以下は、アイゼンハワー・マトリックスを使う際に役立つ追加のヒントです:

  • カテゴリーを決める際、色分けや記号を使ってタスクを視覚的に区別する
  • タスクを緊急度と重要度のレベルに応じて優先順位付けし、それに応じて時間を割り当てる
  • マトリックスを使用して緊急タスクに集中し、優先度の低いタスクや重要ではないタスクを委任または除去する
  • 「Do」のカテゴリーは控えめに使う。重要かつ緊急なタスクが多すぎると、すぐに手に負えなくなる
  • タスクを定期的に見直し、更新して、まだ進捗状況が順調であることを確認する
  • 日または週のスケジュールに、各象限のタスクに集中する時間を確保する
  • 重要だが緊急ではないタスクは、可能であれば委任する。これは、求められている作業のやり方を説明したメールに返信する程度のシンプルなことでもよい
  • 後々時間に追われないように、重要だが緊急ではないタスクのための時間を事前にスケジュールに組み込む
  • マトリックスを使用して、自分の仕事習慣のパターンを特定し、それに応じてアプローチを調整する
  • 象限にタスクを詰め込みすぎない。各象限に割り当てるタスク数の制限を守り、それを完了させてから新しいタスクを追加するようにする

さらに読む:

  • Which Prioritization Model Is Best for My Product? – ProdPadのCEO兼共同創業者であるJanna Bastowが、さらに4つのタスク管理ツールの概要と、自社のプロダクトに最適なツールを選ぶ方法を紹介しています。
  • Fix Your Prioritization Problems With A Lean Roadmap – ProdPadのCPO兼共同創業者であるSimon Castが、タイムライン形式のロードマップをやめることで、重要なソリューションに優先順位をつける方法を説明しています。

ワークショップのご案内

重要なことに時間を使わなければならないのは、個人だけではなくチームも同様です。OKRを組み合わせて活用できそうですが、組織改革は一筋縄ではいきません。本を読むだけではなく、成功事例に基づいた学びが必要です。

本ワークショップでは、実際に組織をまとめ上げ、変革を成功させてきたスピーカーが、豊富な経験をもとに実践的な手法を伝授します。プロダクトマネジメントを学びたい方はもちろん、組織改革に挑戦している方、さらなる成長を目指している方にも最適です。

ワークショップで得られる実践的な知見が、プロダクトと組織の改善に大きなヒントを与えてくれるでしょう。 無駄を省くリーン思考と、組織を成長させるためのOKR(目標と成果指標)を、実践的なワークショップで学びましょう。

プロダクトサクセスの設計図:リーンロードマップ×OKRで実現する組織変革ワークショップ
開催日時:2025年3月30日(日)9:00〜

BtoB人事業務アプリのコンサルタント→エンジニア→BtoCのWebディレクターを経て、再度BtoB業務アプリとなる物流プラットフォームのUIUXに挑戦。オンライン/オフライン双方でのBtoBUXを改善すべく奮闘中。

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